タイムトラベラーにお願い [映像スクリプト用]
A「さっきの席替えさ。運がなかったよな」
B「みんな揃って窓際だもんね」
C「暑くて茹でダコになってしまうよ」
A「よしもう忘れよう。暑いって言ってたら余計暑くなる」
B「じゃあ、別の話しよう」
A「ドラえもんの道具で1番欲しいものは?」
B「良いねえ!僕はやっぱり、どくさいスイッチかな!!」
A「気に食わない人を消しちゃう道具だよね」
C「突然の破滅主義!!何か嫌なことでもあったら相談しろよ」
A「Cはなにが欲しいの?」
C「俺は、できればタイムマシンかな」
BA「どうして??」
大きな衝撃音
ドアが開き、男が入ってくる。
ABC「うわ、なんか出てきた!!!」
D「すいません。今って西暦何年ですか??」
A「2021年の9月25日だけど」
D「やったー!!!やっとタイムマシンが完成したぞ!!!」
ABC「うそおおおおおおお」
D「……開発に成功しました」
C「マジか!本物の未来人???」
D「そうです。すいません。申し遅れましたが、わたくし、Cと申します」
A「C……?」
B「え……?同姓同名??」
D「あ、本人です」
C「うそおおおおおおお、俺そんなにセンスない格好するの?!」
A「片っぽ袖がないよな」
B「帽子真横に被ってるしね」
D「最新のファッションを真似したからイケイケのはずですよ。出典元はパリコレ2041です」
A「未来でも奇抜!」
B「絶対真似しちゃダメだろ」
C「イケイケってフレーズがもう古くさい」
B「で、どうしてこの時代に来たの?」
D「わたくし、どうしても叶えたいことがありまして。大学入ってから20年かけて、ひたすら研究に打ち込んだんです。デートとか遊びなど浮ついたこと絶ってです」
C「あと20年彼女がいないことが確定してしまった」
B「ドンマイ。で、結局叶えたいことって?」
D「ああ、それは」
C「うわああ、それは言わないでくれ!!」
A「良いじゃんかよ。未来のお前がせっかくこの時代に来たんだぜ?教えて欲しいじゃんか」
D「Eさんの隣の席になるように、アミダの位置を教えるために来ました」
A「お、お前。さっきの席替えそんなに引きずっていたのか……」
B「目的がショボすぎる」
C「うわああああああ。バラさないで欲しかったよ!!恥ずかしい。絶対にこんな現実変えてやる」
A「なるほど。こうしてタイムマシンを開発するのか」
B「でもちょっと時間間違えてない?もう放課後だし、席替えは7限のLHRだったよ」
C「今度こそ7限前にタイムマシンでたどり着いてやる!!」
D「ああ、いいんです。間違ってません」
C「いや、完成したなら何で!!何でアミダする前に来なかったんだよ」
D「そりゃ、君がこの後、耳を貸さずにタイムマシンを研究するのは知ってるんだけど」
C「Eさんと結ばれずにな」
AB「変な服を着てね」
D「初めは彼女の隣に座れるようにタイムスリップすることが目的でした。でもAとBと同じ大学に入って沢山好きなことを勉強しました。それが一番楽しかった。それで席替えの結果よりも大事なことがあるってことに気づいたんです」
AB「……C」
D「それを君に伝えたかった。じゃあ、わたくし、これで帰ります」
C「全然納得できない。俺は絶対作るぞ。アンタより正しい時間に来れるタイムマシンを完成させてやる。決めた。今から帰って勉強してやる」
D「やっぱり高校生のわたくしは話を聞かなかったですね。では、A君、B君、また未来で会いましょう」
大きな衝撃音
A「行っちゃったな」
B「ああ。でも気付いた?」
A「もちろん」
AB「左手の薬指」