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少女は自分を鑑定してほしいそうです。5

「それで、肉が大きかったから調理に時間がかかると思って目を話したってわけか。火を使う時は離れたら駄目だ。次に使うときがあるかわからないが、それだけはきちんと守ってくれ」

「ごめんなさい……」

「でもなんだ、未識別のエンチャントがどうやって調べているか気になってたんだろ。なら今度、一緒に解析してみるか?」

「き、機会があれば。興味はあるけどあの地下を見ていたら実際にやってみたいとは思わなかったです……」


 今日の客入りは機能と比べると少なかった。ディラーノたちと昼食を食べる余裕があるぐらいに客は居ない。ディラーノ曰く、昨日が特別おかしいということらしい。ピリティアにはこんなにも閑散としている方がおかしいと感じているが、黙っておくことにした。

 他愛のない会話とともに二人は肉やら野菜を口に含む。ピリティアとディラーノが出会ってまだ二日しか立っていない。それなのにお互いにだいぶ打ち解けていた感覚だった。ずっと前から親子というか兄妹だったなんていうつながりを疑うぐらいに。


「そもそもエンチャントって何なんですか?」

 

 肉を頬張りながら、ピリティアはディラーノに質問をする。


「お前、そんな事も知らないのか?」


 ディラーノは当たり前だと言わんばかりな態度を取る。ピリティアの親が冒険者だったらエンチャントの話は切っても切れないもの。ほとんど知識がないのは、親があえて教えていない限りありえないレベルの話だった。


「なんかこう、ダンジョンを探索する上で良いことが起こるっていうのはわかるんですけど、一体どんな意味があるのかなあって。みなさん鑑定に持ってくるのは良いですけど、もっとこう、鋭利な武器とか、頑丈な鎧とか、そういうエンチャントがなくても強そうな装備を集めないのかなあって。そんなにエンチャントってすごいんですか?」

「ああ、エンチャントはすごい。ダンジョンを潜る冒険者が後をたたないくらいにすごい。そもそも頑丈な鎧って言えば……ああ、【赤鉄のフルプレートアーマー】なんかがそうか。肌が見えないぐらい覆われた鎧とかが一般には頑丈な鎧と言われているな。でも、エンチャントはその常識をひっくり返すんだ」

「常識を……ひっくり返す?」


 ディラーノの熱意にピリティアはたじろぐ。


「例えば今着ている服があるだろ。これに……例えば身の硬さが上昇するエンチャント……そうだな【堅固】とかがつけば、皮の鎧程度の安心感になる。もし皮の鎧に【堅固】のエンチャントが付けば、鉄以上の鎧と同格、質が高ければそれ以上の強度になる。ダンジョンっていうのは、大多数の時間は戦闘ではなく移動になる。必然的に軽くて丈夫な素材が好まれるから、軽くて丈夫になるエンチャントが重くて硬い鎧よりも重宝されるというわけだ」

「は、はい……」

「しかもな、エンチャントによっては材質ではなく、身体能力が変わるものもある。例えば筋力増強、痛みを感じにくくなる、傷口が早く治るなどなど、エンチャントの効き目が薄いこの地上でも使われているものは使われているぐらいだ」

「えーっと、あーっと、とにかくエンチャントがあると生活がしやすくなるってこと……ですか?」


 ピリティアが不安そうな顔で聞き返すと、ディラーノは大きく頷く。思った以上に長い話をちゃんと聞けていたようでピリティアの口からほっとため息が出てしまう。


「あれ、エンチャントってダンジョンとそうでない場所で効き目が違うんですか?」


 ディラーノが話してくれた内容を頭の中で噛み砕くと、一つの違和感にたどり着いた。


「エンチャントは物質に魔が固定されているが、魔は他の魔が近くにあるとより活発になる習性があるみたいでな。ダンジョンのほうが魔が密集しているって言うわけだ。そういえば魔っていうのはさすがにわかっているよな?」

「魔は聞いたことがあります。誰でも体の中に大なり小なり蓄えているもので、器用な人だったら体の外に放出することができる、なんか便利な特技みたいなのですよね」

「よかったよかった。箱入り娘かっていうほど当たり前と思うことが知らなくてちょっと不安に思っていたぐらいだったんだ」

「たまたまですってたまたま。お父さんには賢いってよく褒められるんで、たまたま知らなかっただけです!」

「はいはい、飲み込みは早いからかしこいねー、よかったねー」

「あー、馬鹿にした! 悪い大人です!」


 ケラケラと笑うディラーノにピリティアはプンプンと目尻を立てて怒る。その姿に一瞬、ディラーノは物悲しそうな目を向けるが、ピリティアは不思議だなと思って特に気には止めなかった。

 明日になれば、ピリティアが知りたい情報がやってくる。そう思うと、今日も頑張れる気がピリティアはしていた。

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