AI面接
こんな世の中間違っている・・・
どうにかしなければ・・・
・・・そうか、AI。
AIで・・・
俺はすぐにシステムをイメージした。
AIを活用したシステム。
これで、救われる人が増えるだろう。
それに副産物もある。
みんなが利用すれば俺も潤う。
さっそく、俺はシステムの設計に取りかかった。
『志望動機は何ですか?』
「御社の画期的ビジネスモデルに感銘をうけまして、
私も社会に貢献できる・・・」
『もっと率直に言っても構いません。
この会話は録音・記録されません。
友達と話すようにでいいですよ』
「安定した収入が欲しいですね。
30万円くらい。
あとコンピュータ系は得意かなって思って」
『どういう仕事がしたいですか?』
「それがよく分からないんです。
何が向いているとか」
その後も面接は続いた。
オンラインの。
それもAIとの。
普通の面接なら、これではじかれるだろう。
やりたいこともハッキリしないと面接官が落とす理由を見つけて。
でも、どうだろう。
やりたいことが明確にあって、優秀な人、
が本当に会社に必要だろうか。
まず、入社しても希望の部署に入れない。
しかも入っても希望する仕事ができるとは限らない。
そこで折れてしまう人もいる。
希望する仕事に就けて、バリバリ働く人もいるだろう。
でも、そんな人はステップアップを狙うに違いない。
その会社でキャリアアップできなければ、すぐ転職するだろう。
AIなら人事評価を蓄積し、会社および働く人の希望に近づける。
長く働きたい人、長く雇用できる人。
スキルアップしたい人、即戦力になる人など。
でも、希望が通らない場合もある。
しかし、AI面接を基にそれに近い会社を紹介した。
俺の開発したAI面接システムは多くの人を救ったと言われた。
もちろん第1は新卒者。
何枚ものエントリーシートを作らなくても済む。
2次面接からのスタート。
それから、自分が希望していない会社からでも、誘いがくると、
嬉しかったと涙を流した学生も多かった。
必要とされている実感を持てたそうだ。
企業側の負担も軽減された。
箸にも棒にもかからない学生のエントリーシートをチェックしなくても済む。
それに真の学生の姿を知れるのだ。
それこそがこのAI面接システムの特徴だ。
AIはエントリーシート、大学の成績だけでなく、
日ごろのSNSも分析していた。
批判的、攻撃的、指摘されたことに対する反撃など。
もちろん他人や社会との融和、協調性なども。
3年後、俺の開発したAI面接システムは世間に浸透しつつあった。
真の目的を達することができただろうか。
俺はある人たちを救う目的でこのシステムを作った。
就職したい学生や企業のためではない。
本当に助けたい人は、ネットでいわれない非難をされる人たち。
自殺に追い込まれた人もいた。
これを防ぐにはSNSを規制するしかない。
でも、厳しい規制は憲法上もできない。
だから、俺がSNSの発言に対するペナルティを作った。
人を傷つけた人には就職に不利になるという。
一部の人は気づきつつある。
無頓着に他人を傷つける人は、報いを受けることに気づくべきだ。
AIは過去のSNSの発言も読み解くのだから。