最凶の魔力
たまご
「お誕生日、おめでとう! マナスちゃん!」
「母さん! ありがとう!」
豪華な夜の食卓を囲む僕とその家族。今日は僕の誕生日なのだ。
「今日でもう6歳か」
前世でも小学校に入る歳だった様に、6歳というのは人間における節目の歳だ。ここ、マナソールでもそうで、「能力開示の儀」が6歳になってすぐに行われる。
「マナスの能力、どうなっているのかしら」
自分のステータスは好きな時にいつでも見ることができるが、自分にしか見えない。さらに、その儀式を受けるまで、他人にどの様な手を使っても伝える事が出来ないのだ。
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――
――――
例えば(僕の攻撃力は1だ)と言おうとしても
「………」
といった感じで声にならないし、書こうとしても
「かあしゃま、これみて」
「この紙がどうかしたの?」
「なんてかいてある?」
「何も書いてないけど…」
となってしまう。
「あ、もしかしてステータスの話?」
「うん」
「あら、本当に自分のステータスが見えるのね!?」
「うん」
確かに、普通6歳にも満たない子供はステータスに興味を持たないか。 なんなら(ステータス)と念じると見えるなんて赤ちゃんのとき、暇つぶしでたまたま見つけただけだし。
「普通の子は儀式の時に初めて知るのに…」
「やっぱりうちの子は天才なのかしら…」
「マナス、すごい?」
「すごいわよ!さすがはうちのマナスちゃんね!」
「えへへ」
こんな美人な母親に褒められて、頭を撫でられるなんて前世の記憶を持つだけでも十分チートだな。
「あっ、そうだ」
「マナスちゃん。今からマナスちゃんのステータスを、ママが聞くから、質問に答えてくれる?」
「うん!」
「ありがとう。じゃあ、第一問」
「あなたの攻撃力は1ですか?」
俺は、その質問に頷いて"はい"と答えようとした。しかし、口はともかく頭を動かすこともできない。金縛りにあったような感じだ。
「どうしたの?マナスちゃん。攻撃力ってわかる?」
「こたえようとしたけど、むり。からだがうごかない」
「あら。じゃあ答えられないということね…」
――――
―――――――――――
――――――――――――――――――――――――
こんな感じで6年間焦らされてきたステータスがついに皆に発表されるのだ。年甲斐もなく、楽しみで仕方ない。…いや、「マナス」は6歳だからいいのか?
とか一人考えていると
「みんな。マナスが6歳になったということで、早速「能力開示の儀」をしたいと思う」
と父が言うとみんなが喜び、拍手が起きた。どうやら年甲斐もなく楽しみだったのは俺だけでは無い様だ。
「マナス、食べ終わったか?」
「うん」
「よし、じゃあ」
と言って父は重々しい石版をどこからか2つ取り出し、
テーブルの上に置いた。
「こっちがステータス用で、こっちが魔法と剣術の適正用」
「うちは代々空間魔法の適正があるからな。いやー楽しみだ」
「じゃあいくぞ」
直前になっていろいろバレて面倒なことにならないかと不安になったが、それよりもみんながどんな反応をするのか気になる。さあ、どうなる?
――――――――――――――――――――――――
マナス・ロナン
Lv.1
攻撃力 1 <称号>
魔力 ∞
防御力 1
敏捷力 1
<所持スキル>
――――――――――――――――――――――――
「魔力の表示がおかしくなってる…?」
母はそう言って∞のところを長押しした。すると
「無限(むげん、infinity、∞)とは、限りの無いことである。」
と語句の説明が出てきた。
「え…」
「なんでうちの子が…」
え、こんな嫌われる感じなの?
父は厳しい顔をしながら
「…適正の方も計ろう」
――――――――――――――――――――――――
魔法適正 なし
剣術適正 なし
――――――――――――――――――――――――
「…決まったな」
「あなた! 自分の子なのよ!?」
「こんな出来損ないをうちに残しておく訳にはいかない」
彼はずんずんと歩いていき、まだ状況が飲み込めていない俺にこう言い放った。
「マナス・ロナン 貴様からマナス家の全てを剥奪し、勘当とする」
展開が早いという苦情が来そうなので次回から展開を遅くしてみようと思います。
できたら。