画竜転生
まだ半分プロローグみたいな感じ
赤ちゃんが主に泣く事と笑う事しか出来ないのはわかる。 それ以外で感情を表現出来ないのだから。
「うわあああーーーーーん!!」
だが、ここまで耳もとで泣かれ続けられると、うるさいし、不快だ。
「おぎゃあああああーーーーーーーーー!!!」
…なんだ、なぜか俺が不機嫌になればなるほど鳴き声が、大きくなっているような…
少し辺りを見渡してみると、給仕服を着て大はしゃぎしている女性たち、 鳴き声は…俺の口から。
あれ、赤ちゃんからスタートだったっけ?
「サマル様!」
「おめでとうございます! もう本当に宝石のようにきれいな男の子で!」
「ああ」
ギイ、とドアが開き俺の父親がその姿を見せた。
赤ちゃんの目から見てもわかる、俳優並みのイケメン。
「よくやった! おうおうこんなに元気に泣いて、私たちにそっくりだな!」
「ええ、本当に」
俺のすぐ横には俺の母親が寝ていた。こちらもまた俳優並みの美形。 こんな2人から生まれる俺、絶対モテるでしょ、 とか思っていた。
「早速だが、この子に名前をつけないとな」
「うーーーーむむむ…」
「思いついたぞ! サビトというのはどうだ」
「まあ、素敵!強そうで、優しそうで!」
「でもね、私考えていたのです」
「マナスというのはどうでしょう?」
「マナス? なんだかひ弱そうな名前だが…」
「まあ、お前が気に入っているならそれにしよう!」
そして俺を抱き上げ、俺の父はこう言った。
「今日からお前はマナスだ!」
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―――
―
自分のベッドにただ寝ているだけでは、スマートフォンがある地球にいたので、かなりヒマだ。
なので少し情報収集をしてみることにした。
ここは「ノヒュー」と呼ばれる人間族の土地(ということはほかの種族があるということかもしれない)らしい。
うちは、そこの中でも男爵の地位についたロナン家。
つまり俺は「マナス・ロナン」だ。
異世界だからか、魔物もいるらしい。まあ、そのために魔力を無限にしてもらったわけだし、特に問題は無いだろう。
しかも男爵ということは特に政治的な事に関わらなくても良い(はず)ので、家を継がずに、
家出して俺TUEEEEEE!!!みたいなことができるだろう。まさしく理想的な環境だ!
あと地図を盗み見たところ、ミラー図法の(?)地図の中心を大きな6つの大陸が円形に覆っていて、中に大きな湖的な海がある感じっぽい。伝われ。
さらに(ステータス)と念じると
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マナス・ロナン
LV.1
攻撃力 1 <称号>
魔力 ∞ 地球より来たれし者
防御力 1 (隠蔽中)
敏捷力 1
<所持スキル>
人間言語理解 S
(隠蔽中)
―――――――――――――――――――――――― といった様に、自分の能力の値が見える。スキルとか、隠蔽とかいうのは神のご厚意ということだろう。
改めて感謝である。
だが、その神に面白そうだしという理由で赤ちゃんから前世の記憶を思い出すのはやめておいたほうがいい。(そんな経験は無いと思うが)赤ちゃんは基本的に自分だけでは何も出来ない。例えば食事の場合
「ほら、マナス。ご飯の時間ですよ」
ここでいうところの「ご飯」とは、もちろん母乳である。超恥ずかしい。前世で非リアで童○だった俺には刺激が強い。だが飲まないと死んでしまう。要するにプライドか命かの2択。なので
「よしよし、よく飲めました♪」
いつもプライドを捨てて生きなければならない。
トイレに行きたい時も向かえないのでその場で漏らし、あまりの気持ち悪さに号泣。そして
「おお、どうした?オムツ換えて欲しいのか?」
とかなんとか言われてサマルにオムツを換えられる。
そんな趣味は無いので、また気持ち悪くなる。
他にもいくつもあったがそんな黒歴史の様なものを語りたくも無いのでやめておく。
つまりはなんやかんや無事に6歳まで生きられたのだ。
どうして6歳かというと、「能力開示の儀」をさせられるからだ。簡単に言えば自分のステータスを「能力盤」なるものに映し出される。俺の魔力∞が知れ渡る絶好の機会ということだ。漠然と、楽しみだなぁ とか思いながらゆっくりと眠りについた。
と、思っていた日が俺にもあった。 まさか人生で最悪な誕生日になってしまったなんて…
え? 赤ちゃんパートが急に飛んだだって? あれは演出です。決してネタが早くも切れたわけではありません。 決してネタが早くも切れたわけではありません。(大事なことなので2回言いました)