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崩界リージョン・ディヴィジョン  作者: イルオ
別れと出会いのプロローグ
5/8

4話 仲間・家族


「知っている情報を全て吐け。妙な真似をしたら命はないものと思え。」

「なっ…⁉︎」

 私は予期せぬ事態に身体が硬直する。

「待ってくれ!何の事だよ⁉︎俺達は入隊したばかりでなにも知らない‼︎」

 レンは両手を挙げ、必死に訴える。すると少女はレンの方に銃口を向け、睨みつける。

「動くなと言ったはずだ‼︎さっさと情報を吐け‼︎」

「本当だって‼︎」

「とぼけても無駄だ‼︎」

 私も詰まった喉から声を絞り出す。

「本当に、本当に何も知らないんです…!信じてください…!」

「そうか…。」

 少女は眼を閉じ、ため息をつく。

「ならば貴様らに用はない‼︎」

 少女は銃の引き金を引いた。火薬の弾ける音、硝煙。私達が眼を伏せた瞬間に、銃弾が私達を貫く…



 のではなく、赤、青、黄。カラフラなヒモがふわりと降りかかってきた。

「…ん?」

 私は薄く目を開ける。その少女は笑いを堪えて、そしてついに吹き出し、

「テッテレー‼︎ドッキリ大☆成☆功‼︎」

 その少女はしてやったりと言わんばかりに両手を挙げてはしゃぎ、私とレンはその様子を見て目を丸くする。

 すると少女は眼を爛々と輝かせながらと私達に駆け寄り、

「ねぇびっくりした⁉︎びっくりした⁉︎びっくりした⁉︎びっくりしたでしょ⁉︎ン?ン?」

 相変わらず少女は眼を輝かせながら私達の表情を伺っている。

「いや、何なんだよ!」

 レンはかかったヒモを払って少女へ食ってかかる。その少女はキョトンと首を傾げ、

「何って、サプライズだよ?」

 と言う。そこで私はもしやと思い、

「もしかして…リサさんの隊の…。」

「フフフ…そう…その通り‼︎」

 少女は勢いよく親指を自身へ向けて立て、

「座右の銘は『自意識過剰』!最強の美少女かつハイパーナルシスト!黒澤くろさわカエデとはあたしの事さっっっ‼︎」

 私が人生で未だかつて見たことのないようなドヤ顔だった。そして私達とカエデとの間に謎の沈黙が生まれる。なんだハイパーナルシストって。


「…何してるんですか…カエデさん…。」

 ヘッドホンを首にかけた少年が呆れた様子で歩いてきて、こちらに会釈をし、自己紹介する。

「どうも…はじめまして…新しい隊員の方ですよね…僕は涼谷すずやカイトです…。」

「は、はい。姫木アカリです。これからお世話になります。」

「えっと俺は刻野レン。」

 私達もカイトに挨拶を交わす。するとカエデがカイトの肩を掴み、

「ふふん、無口で可愛いでしょ!うちの隊の紅一点!」

「勝手に紹介しないでくださいよ…あと紅じゃないです…。」

 カイトは迷惑そうな顔をする。その様子を見て苦笑いしている私達の元にリサがやって来る。

「顔合わせは無事に終わったか?ハハ、ヒモ付いてるぞ。」

 リサは私の頭にかかっているヒモを払い、

「どうだ?賑やかな隊だろう?あらためて、ようこそ我が隊へ。」

 と手を広げる。私とレンはビシッと敬礼をし、

「「はい!お世話になります!」」


 するとカエデがシュッと手を挙げる。

「はいっ!リサ先輩!提案です!」

「どうした?カエデ。」

 カエデはポケットから小型三脚と携帯端末を取り出す。

「せっかくなのでみんなで記念写真を撮りたいですっ!」

「写真?いいだろう。」

 それを聞いたカイトは顔を背け、

「…僕はパスで…。」

「ええ⁉︎なんでさ‼︎」

 カエデは面食らったような顔をする。

「…写真撮られるの…あまり好きじゃないんで…。」

 するとカエデはカイトの肩を掴み激しく身体を揺らす。

「なんでー⁉︎いいじゃないのー‼︎減るもんじゃあるまいしー‼︎むしろ増えるものだしー‼みんなで撮らなきゃ意味ないでしょー‼︎︎」

「ちょっ…やめっ…。」

 カエデはさらに激しく揺らす。

「撮ーろー‼︎撮ーろー‼︎」

「分かった…!分かりましたから…!」

「わー!やったー‼︎」

 カエデはカイトを解放し、両手を挙げて喜ぶ。一方カイトは気分が悪そうな顔でうつむいている。

「さぁっ!撮ろうっ!あそこの壁が良さそう!さ、並んで並んでー‼︎あ、アカリちゃんとレンくんは本日の主役だからセンターね‼︎」

 カエデは壁を指差しみんなを並ばせ、丁度いい場所に小型三脚を置く。

「さぁ撮るよ!笑って笑ってー‼︎」

 カエデはタイマーをセットさせ、こちらに駆け寄り、一緒に並んでポーズをキメる。そしてカシャッと言うシャッター音と共に私達の「今」がカメラの中に収められた。




 私はあの後、人体活性化装置セル・インクリーサーの反動がやって来て、自室のベッドに寝そべっていた。

 今日は一日色んな事があった。最初は不安でいっぱいだったけど、隊のみんなが温かく歓迎してくれて、それがなによりも嬉しかった。まるで家族のように…


 その時、私は手術中に見た夢がフラッシュバックした。

「家族…か…。」

 私はぼそっと呟いた。それと同時にまぶたが重くなってきて、私は目を閉じて眠りについた。

ここまで読んで頂きありがとうございました。次回から本編のようなものが始まると思うのでよろしくお願いします。

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