water jewel
魔女の手によって人魚に変えられた彼女をもつ主人公の話です。
彼女が憤怒しないのは、いつも会えなくても彼が傍にいるからです。
魔女の怒りに触れた君は 人の姿を奪われた
それまでは 平穏に暮らしていたというのに
君が変わってしまったことよりも 命を残してくれたことがまだ救い
そう思う僕を 怨んでくれて構わない
自由と引き換えに 植え付けられた鰭
大地から離された君は 今や海を統べる
僕は水の中で暮らせない
君は地の上じゃ生きれない
唯一の逢瀬 君が水面に身体を委ねる夜明け前だけ
安らかな眠り 略奪されて
桜色に染まる指先 もう二度と物を掴めない
愛を伝う唇と視線 時は波とともに消えてゆく
ふたつのアメジスト 悲しげに光放つ
朝焼けを焦がしながら 煤を纏った魔女が囁いた言葉
「人と獣 交わりし時を同じくしても
相容れることは 想像できない」
そんな事態に 誰がしたというんだ
怒りに震え 握り拳を形作る
諌めるかのように 僕の腕に触れた
冷たい感触 人ならぬ腕はあまりにも優しすぎる
相応しい言葉 見つからなかったのだろう
細い両の腕で 抱かれていた
意思を持たない涙 海へと帰る
水面に浮かぶ 宝石の如く光放つ




