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ビスクドール
最近着たい服装のテイストが変わってしまったので、風変わりな作品が出来ました。
揺籠で眠る ビスクドールのような赤ん坊
ビスチェやコルセットを身に着け ドレスの似合う女性になった
彼女は蝶のように美しくなった けれど私は執事の命を授かった頃から変わらぬ姿
誕生を祝う数が増える度 首を締めるように胸が締め付けられる
人の形をした機械 元より体温はないのに
心だけが なぜ植え付けられているのだろう
顔を合わせる度に見せる笑顔 きっと誰にでも見せている
洗脳するように 思い込ませた
冷たい腕では 幸せを作ることなどできはしない
女主人が持ってきた 良き縁談
身分も人柄も 申し分ない
彼女の幸せこそが 自分にとっての幸せ
そう信じてきたのに 渦巻く黒い感情
もう既に執事としては欠けている
いつからだろう 中途半端な人間になってしまった
この世で一番美しい姿で 彼に手を取られやってきた彼女
清廉と深愛を誓う儀式 心にもない祝詞を贈った
闇夜だけは優しくしてくれるだろうと 窓辺でひっそりと袖を濡らした
月日が経てど 屋敷から離れられない
彼女はもう 他の国に嫁いでしまったというのに




