学校
彼とのことが色々あって、見て見ぬ振りをしていたけれど部屋でゴロゴロと漫画を読んだりテレビを見たりしている自分が情けないことに気がつく。
お母さんは人との交流が出来たという意味で、少し前進していると言ってくれてはいるが普通に通えるようになったわけではないのだ。
彼はあんなにも必死に生きているのに私は、こんなんでいいはずがない。
そう思った私はゴロゴロするのをやめて、制服に着替えた。
時刻はまだ12時で、今から行けば午後の授業は出られる。
時間割を見て、急いで準備して下に降りるとご飯が用意されていた。
「ちゃちゃっと食べちゃいなさい」
やはり、お母さんは優しかった。
私の大好きなオムライスを食べて、早速家を出たのだった。
前までは、この扉を開けるのがすごく辛かった。
外に出て、悪口言われるのがすごく嫌だった。
修介くんと出会って、私は強くなれたかな?
そんな疑問を抱きながら、歩いているともう学校に着いていた。
今、門をくぐれば丁度お昼休みでさりげなく5限から参加することが出来る。
それなのに、それなのに私の足はここで、ピタリと止まってしまった。
自分の足が動かないことを察した自分自身がここにいた。
こんなにもスムーズに家を出て、門まで来たのに、なぜ私の足は動かないのだろう。
どうしようもなく、しゃがみ込むと、ポツリと私の腕が濡れた。
今すぐ走って門をくぐれば、雨に濡れずに済むだろう。
もはや、そんな動機でも良かった。
もう一度立ち上がってみるけれど、動く気配はない。
私の腕に当たる雨が段々と大粒になっていく。
傘なんてものは持っていない。
雨も強くなり、ポッキリと折られた心と一緒に濡れながら帰ることにした。
結局、私は強くなれてなんかいなかった。
ヒソヒソと周りの声が耳に入ってくるようになってしまった。
こんな雨の中、歩いてたらヒソヒソと話されても当然なのに、今の私は学校に行ってないことを非難されてるようにしか感じられなかった。
俯きながら、歩いていると前の人へ当たってしまったようで、体が突き返される。
「危ないだろって櫻井?」
そこにいたのは、彼の幼馴染と西条 陸だった。
「西条くんこそ、なんでこんなところに?」
「なんでってここ、俺の働いてるところだし」
どうやら無意識のうちにいつものコンビニに辿り着いていたのだった。
「とりあえず中入れよ。修介もいるし」
「じゃあ、入らない」
こんな無様な姿見せられるはずがない。
「しょうがないな、今日は書類届けに来ただけだからうちに来いよ。乾かして行け」
言われるがままに傘を差してもらいながら、彼の家に着いていったのだった。
何かを考える余裕も私には残っていなかった。