少女の覚醒
その夜
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わたしは、みなちゃんを家まで送り、自宅に帰宅した。
「ふぅ…。我ながら泣いてひどい顔だな。」
今日はご飯の前に、お風呂に入ることにした。
「……………。」
湯船に浸かったわたしは、つい今日の出来事を気にしてしまう。
ダメだ、やっぱり考えてしまう。
わたしは一体何者なの…。
人じゃないの…?。
嫌だ嫌だ、そんなの嫌だ。
みなちゃん、おばあちゃんと離れ離れとかにはなりたくい。
今の生活を続けたい。
「うっ…。なんでこんなことに。」
わたしは湯船でまた涙を零した。
今日は一体どれだけ泣けば気が済むのだろう。
「…ご飯食べたら今日はすぐ寝よ…。」
そう言いながら、わたしは風呂場を後にした。
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食卓
「…もぐ。」
わたしは、おばあちゃんが作ってくれたご飯を口に運んだ。
いつもの美味しいご飯だった。
「…。」
おばあちゃんのご飯美味しいな…。
ずっと食べていたいな…。
そう思うと、気持ちがこみあげてしまい、祖母の前でも涙を零した。
!!?
「ありす!どうしたんだい!」
「ご飯美味しくなかった?喉詰まった?」
おばあちゃんは、わたしの肩をさすって心配してくれた。
「ううん。おばあちゃんのご飯美味しくて、つい涙が出てきちゃった。大丈夫だよ、ごめんね。」
と、わたしは明るく振舞った。
「…。ありすや、今までご飯食べて泣いたことなんかないだろう。」
ありすはどうしたのだろうか…。
「何か嫌なことでもあったのかい?」
ありすに問いかけた。
「…。」
おばあちゃんに話してもいいのかな、いや、話して、そんな事ないって否定をしてくれるはず!
わたしは普通の人間だ。そうに違いない。
決意を現した、ありすが口を割った。
「あのね、私自身…について聞きたいんだけど。」
恐る恐る口に出す。
「うん、なんだい?」
「私、普通の人間じゃなのかな…」
とありすは口にした。
!!!???
祖母はその発言を聞き、困惑してしまった。
…ついにこの日が来てしまった。
話すしかあるまい…。
「おばあちゃん、どうなの?…。わたし(普通)じゃないんだね?」
…。祖母はどう返事をすればいいか迷っていた。
素直にそうだよ。と言うか、そんな事はない。2択だ。
…。
「ありす、よくお聞き。」
祖母が口にした答えは。
「そうだよ、あんたは普通の人間じゃない…。」
……!?。
ありすはそう聞いた瞬間涙が溢れてきた。
「あっ、あああ…。う…そ…だよね?」
「わた…し、おばあちゃんの孫だ…よ…ね…?」
必死に訴えるありす。
それを見ても尚、祖母は否定をするように首を横に振っていただけだった。
「ありす、あんたは、赤子の時に空から降ってきたんだ。それはそれは、真夜中だと言うのに、まるでお月様のような輝きを放ちながら降って来た。」
ありすはこの時点で、祖母が自分の話をしているのは理解したが、内容については話が入ってこなかった。
「…それで、赤子の傍に、(この子はありすと言います。よろしくお願いします。)と殴り書きで、書かれた手紙が添えてあった。」
うそ…。
嘘だよね…。
なら、おばあちゃんは赤の他人…。家族ではない。そんなことって…。
「だから、ありす、親は居ないと言ったが本当の家族は居るはずだよ。今日まで黙ってて悪かった。」
と、祖母はわたしの目の前で深く頭を下げた。
嘘だ。こんな結末わたしは望んでない。
…ねぇ、冗談だよね?
あっ、わたしに冗談言って困らせようとしてるんだ!
もー、おばあちゃんったら!
……。そう考えた彼女だが、目の前にいる祖母は未だ頭を下げたままだった。
「…。なら、わたしの親はどこにいるの…。わたしは一体何者なの!?。」
「ねぇ!答えてよ!」
祖母に八つ当たりをするありす。
それでも祖母はそれ以上の口を開けることは無かった。
「っ…ぐぅ。」
わたしは絶望と悲しみに苛まれながら自室へ戻った。
ご飯まだ途中だけど、溢れ出る涙でそれどころではなくなった。
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「わたし、これから一体どうすればいいの…。」
「誰かたすけて…。」
声を枯らしながら泣いた。
するとその瞬間。
(ガシャアアアアア)
(バアアア)
!?!?
なんの音!?
下から?
…!おばあちゃんに何かあった!!?。
ありすは下の食卓へ向かった。
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食卓
熱い、何これ、火事!?
「うっ、火が出てる。」
ありすは周りを見渡す。
そこにはつい先程まで食卓だった場所があった。
「なによこれ、壁突き破られてたり、火出てたりで無茶苦茶じゃない…。」
どうしてこんなことが、…。
「はっ、おばあちゃんど…」
そう言おうとしたありすの目の前に黒い影のようなものを纏った人物が現れた。いかにも普通の人間ではないと確信した。
「っ…、あなた誰!。」
「おばあちゃんはどこ!」
ありすは影の人物に訪ねた。
「いやはや、これはこれは、天女の娘では御座いませんか。やはりこの老人を見張っていてよかったです。」
そう人物が発した足元に祖母はいた。
「おばあちゃん!!!」
祖母は息をしていなかった。
見た目も無残で、腕は引きちぎられ、内臓も多々引きずり出されていた。
「あっ、あああ…。」
先程まで、話をしていた祖母の姿。
変わり果てた状態で、ありすの顔を目が映していた。
「ははは、娘よ。何故そう連れない顔をしておる?」
「先程まで、こやつに言われた言葉がが余程傷付いていたように見えたが?」
「居なくなって清清したのではあるまいか?」
と、影の人物はわたしに向かって口を開いた。
「…………。こんなことって、私どうしたら。」
確かに、おばあちゃんが言ってたことは信じたくもなかった。家族じゃないって言われて傷付いた。
だけど、これまでわたしをここまで育ててきてくれた。本当の家族じゃないと、人間じゃないって分かってて!!。
こんなに成長させてくれた!!!!
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シュッ。
「ん?」
なぬ、老人の姿が消えた!?
どこに行った。あやつは死しておるのだぞ。
1人で動くなどむりがあ…。
「なっ!」
影の人物の前に一筋の光が放たれた。
「ぎゃあああああ!!!眩しいいい!!!。」
その光は影の人物の左目を貫いた。
「めっ目があああ、わたしの目がああ!」
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…。おばあちゃん、ごめんね。
わたしが近くに居たせいで、巻き込んでしまって。
今ね、ようやく分かったんだ。
おばあちゃんが倒れてるの抱き抱えてさ、あいつから引き離した時にさ。
わたし、自分が人間じゃないって分かっちゃった。
火の中潜ったはずなのにさ、おばあちゃん燃えててさ、わたしは燃えてすらないんだよ。
おかしいよね。
今まで育ててきてくれてありがとう。
「今度は、わたしがおばあちゃんを守る番だね。」
ありすはそう無き祖母の死体に囁いた。
わたし、今おかしいや。
髪の毛こんなに銀髪だったっけ…。
目も熱くて、溶けちゃいそう。
まあ、いいや。
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「っ!」
ありすは瞬時に、影の人物に襲いかかった。
「ひぃっ!命だけは助けてください!」
「貴方様には叶いませぬ!」
はぁ、この人ここまで来て命乞いするかな普通。
「あのー、すみません。」
「はっはひぃ!」
ああ、ダメだこの人。もう許さない。
「すみませんが、わたしの家族を殺しておいて、命乞いするとか、」
「ぜーーーーったいに許すわけないだろぅがああああ!」
ありすの指先から一筋の光が放たれた。
今度は影の人物の額をぶち抜いた。
「!!!?????」
影の人物はそのまま霧散した。
ありすはそのままその場に倒れ込んだ。
っ、くうっ。
やばい、めっちゃ身体重たい。
おばあちゃん外に運ばなきゃ…。
「あっ、ああ、おば…あ…ちゃん。」
手が届きそうで、届かない。
待って、まだ、わたしは、おばあちゃんに伝えたいことが┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
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「うっ。」
どこだろ、ここ。
わたし家の中に居たはずだけど、
変だな。夜空の中に綺麗な満月が見える。
「………ありす。」
「…ありす殿。」
わたしを呼ぶ声が聞こえた。
「……、八咫烏さん?」
1人の綺麗なお姉さんがこちらを心配しながら顔を覗き込んでいた。
「ああ、よかった。ありす殿、意識が戻られたのですね。」
なんだろう、このお姉さんは知らないけど、口調からして八咫烏さんなんだけどな…。
夢でも見てるのかな。
すると、お姉さんの隣から、
「ありすちゃん!大丈夫?!」
とわたしに心配して駆け寄る親友のみなちゃんの姿がそこにあった。
「みなち…ゃん?」
するとみなちゃんはわたしの傍で泣き崩れた。
「あああ、よかった。ありすちゃん死んじゃったらどうしようかと…。」
「ありがとう、みなちゃん…。」
そうだ、おばあちゃんは…?
「みなちゃん、おばあちゃん知らない…?」
すると、みなちゃんの表情が変わった。
「ありすちゃん…のそばに居るよ。」
そう言う、親友が目を向ける先に祖母はいた。
……………。
よかった。
家から出れたんだね。
ごめんね、こんな形でさよならしなくちゃいけなくて。
わたしは体を引きずりながら、祖母の元へと近づいた。
「………。うう、ごめんね、守れなくてごめんね…。」
わたしは祖母の身体に顔を埋めながら喚いた。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
わたしはその夜泣きわめきながら朝を迎えた。
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朝になると、わたしの容姿は元に戻っていた。
みなちゃんに確認してもらうと、髪の毛の色が白銀に変わったのと、目の色も真っ赤な紅月に変わったそうだ。
八咫烏に聞いたら、其の姿が、わたしの本来の姿らしい。
「…。家無くなっちゃったな。」
おばあちゃんとの思い出の建物は火で焼かれ崩れ落ちてしまった。
わたし、これから一体どうすればいいのかな。
祖母の周りに綺麗な花々を飾りながら、考えた。
八咫烏さんと、みなちゃんと、わたしで祖母の埋葬をした。
ちゃんとしたお墓は作れなかったけど、私が崖から落ちたあの山に埋葬した。
「…。はあ、ついにひとりぼっちだ。」
わたしは空を見ながら、呟いた。
「ありすちゃん…。」
「ありす殿、わたしはあなたを待っておりました。」
八咫烏さんがわたしに言葉を発してきた。
「ん?なにが?」
「ありす殿を守る事が私目の役目にございます。」
「だから、ひとりぼっちでは御座いません!
この、八咫烏がそばに居まする!」
と八咫烏さんがわたしに言ってきた。
「ありがとう。けどわたし家族居ないし。」
すると、八咫烏が、
「御家族様ならいらっしゃいます!こうして私がありす殿の前に現れたのも御家族様がご指示をされたからにございます。」
!!!??
そっか、わたしひとりぼっちじゃないんだね。
「そうなんだ、ちなみにどんな人なの?」
わたしは八咫烏に聞いた。
「はっ!おばに当たるかたでございます。」
わたしには両親はいるかわかんないけど、おばは居るのか。
「分かった。八咫烏さん。」
「はっ、なんなりと!」
「わたしさ、そのおばさんにあっても大丈夫かな?」
酷く悲しげな表情でわたしは八咫烏さんに言葉を放った。
つづく
登場人物
空神ありす
・傷が一日も経たずに綺麗に治るという体質を持っている。
・満月の夜目覚めた。
・人間では無い。
・高校一年生。
水田海美子
・生まれつき脚が悪く車椅子。
・高校一年生。ありすの親友。
・使い魔リュウグウノツカイの使役者。
八咫烏
・ありすの使い魔。
・ありすの前に現れた不思議な生き物。
・リュウグウノツカイと同業者らしい。
・存在は不明
・見た目を人に変えることが可能。
リュウグウノツカイ
・海美子の使い魔。
・普段は海美子の身体の中で暮らしている。
・存在は不明。