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三話 確認、襲撃


 みんなで現状確認をしようか。



「とりあえず、名前を聞いても?」

「はい、私の名はアテナ・フィン・ファル・アルカナ。 この王国の王女です」



 なんと、王女様だったのか。



「ここは王国なのか?」



 王国は20ヶ国程ある、自称王女の名前的にヨーロッパ圏か?

 だとしたらオランダ、イギリス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ノルウェー、ベルギーのどこかか……?

 ……いや、もう現実逃避はやめよう。

 彼女らの言葉は日本語で聴き取れる。

 さっきも魔法みたいなの使ってたし…… 地球ではないのだろう……。



「はい、アルカナ王国という国です。」



 確定。

 アルカナなんて国は地球にはない。

 まさか自分が異世界に飛ばされるとはな。

 仕事の合間にそうゆう話の小説も読んだことがある。

 異世界転生してチートスキルで無双するやつとか結構面白かったな。

 だからいわゆるラノベ知識も多少は頭に入っているのだ。

 自分が巻き込まれるとは思わなかったが。



「な、なるほどな……。 それでこの場所は?」

「はい、王城の地下にある儀式の間という所です」

「儀式の間ね……。 そう言えば、さっき召喚がどうのとか言ってたな。 俺を召喚したのか?」

「はい‥…。 今は戦争中で、この国は敵国の軍隊に攻め込まれています。 もう敵はすぐそこまで迫っているのです。 一縷の望みをかけて召喚の儀式を行っていました。 そして、13回目にしてやっと、貴方の召喚が成功したのです。」



 12回も儀式に失敗したのか。

 そのせいで王女はだいぶ疲れている顔しているんだな、頑張ったんだろう。

 でも召喚したのが俺で残念だったな。

 軍隊となんて戦えるわけない。 大海を手でふさぐとはこの事だ。

 召喚されなかったら既に俺は死んでいる。 助けてくれたってゆう恩義も感じる。 でも軍隊は無理だ。 俺は兵器じゃない。



「戦争に勝つために召喚の儀式をしたのか…… でも悪いな、俺には無理だ。 軍隊なんか相手にできるわけないだろ?」

「えっ? い、いやでも、儀式で召喚された者は強力なユニークスキルを持っていると伝えられています……。 あ、貴方のステータスを教えては貰えないでしょうか?」



 スキルにステータスか。

 そうゆう概念のある世界なんだな。 ラノベ知識に感謝。 ここまで付いていけるのはあの本たちのお陰だろう。



「ステータスか……」



 聞き返すようにその言葉を口にすると頭の中に色々浮かび上がってきた。



名称:阿佐ヶ谷 真ノ佑 年齢:26歳

種族:人間?:死神?

レベル:???

ステータス

STR:?????

DEX:?????

VIT:?????

AGI:?????

INT:?????

スキル

銃撃:Lv? 短剣:Lv? 投擲:Lv? 不意打ち:Lv? 回避:Lv? 瞬動:Lv? 小細工:Lv? 気配操作:Lv? 気配感知Lv? 消音:Lv? 精神耐性Lv?

ユニークスキル

武具召喚 眷属召喚

エクストラスキル

スピリットオペレーション

称号

死を運ぶ者 魂の管理者



 ……なんだこれ。

 種族が人間? 死神?どっちなんだい!

 本当に死神として召喚されたとかもあるのか?

 レベルは確認出来ない。

 ステータスは…… なんも分からんのかい!

 スキルは元の世界の技能が受け継がれているようだ。 しかしスキルレベルは不明……。

 ユニークスキルに武具召喚と眷属召喚…… 眷属って何よ。

 エクストラスキルは、スピリットオペレーション?…… これはまじで謎だ、使い方も分からないし。



「あの……」

「あぁ、確認は出来た。 俺の名前から教えよう」

「お、お願いします」

「俺の名前は阿佐ヶ谷 真ノ佑。 阿佐ヶ谷が性で真ノ佑が名前だ」

「アサガヤ シンノスケ?」

「あぁ、種族は……人間?だ。 レベルは……まぁいいか。 ユニークスキルは武具召喚ってやつだな。 以上。」



 多分、ある程度ならどうにか出来てしまいそうな感じはある。それこそ湖ぐらいなら手でふさげそうな気がしないでも無い。 ?????で弱い筈はないと思うし。

 でも戦争なんて関わりたく無いからな。

 かなり端折ったけど嘘は言ってない。



「武具召喚ですか……」

「武具召喚……」

「武具召喚、か……」



 三人とも微妙な顔をしてる。

 武具召喚だからな。

 剣とか槍とか出した所でたいした戦力にはならないだろう。

 しかも俺は剣も槍も使った事がない、仕事で使うのは主に銃とナイフだからな。

 ステータスだけでゴリ押し出来そうな気はしないでも無いが…… やはり?????ってのが引っかかるしな。 実は0でした〜!とかじゃお話にならないだろう。



「だから俺には無理だ。 すまないな。」

「いえ、謝るのはこちらの方です。 私の力不足のせいで貴方を召喚してしまい、申し訳ありません……」



 アテナは悲痛な面持ちで謝ってきた。

 どうせ地球には返せないとかって理由だろう。 ラノベ知識だ。



「元の世界に送り帰す方法はわからないのです……」



 当たりだった。

 別にいいんだけどな。

 俺はあそこで死ぬと思ってたし、別に地球に思い入れがある訳でもない。

 まぁ後輩の事は心配だがあいつらなら多分大丈夫だろう。



「あぁ、それは別にいいんだ。 殺される寸前だったしな。 寧ろ助けてくれて感謝してる」

「……ごめんなさい」



 それでもアテナは謝ってきた。

 左右の男はこの世の終わりみたいな顔をしている。

 国を救ってくれる英雄を召喚したと思ったらただの人間だったんだ、仕方ないだろう。

 実際はただの人間と言っていいステータスじゃないかもしれないが。



「命を助けてくれた恩もある。 国を救うのは無理だが、王女様を逃すぐらいならやってやれなくもないぞ?」

「そうか、頼む……」

「敵兵はもう城まで迫っているだろう。 我が国の兵はもはや壊滅状態……。 この場所もまもなく占領される。 姫さまを、どうか……」



 左右の男に懇願された。

 そんなにギリギリの状況だったのか……。

 なぜかアテナもビックリして目を見開いている。



「そうなのですか!? なぜ教えてくれなかったのです……!」

「本当の状況をお教えしたら姫さまが儀式に集中出来ないと思いまして……」

「申し訳ありませぬ……」



 左右の男たちは謝っている。

 アテナには秘密にしてたのか。

 ここまで状況が悪化したのはきっと訳があるんだろう。

 今は時間がない様だからその話は後だ。



「じゃあ早くここを離れようか。 拘束を解いてくれ」

「あっ! はいっ! すみません!」



 目隠ししか外してくれてなかった事に気付いてくれた。

 やっと拘束から解放される。



「では、私は逃げ道の確認をしてきます。」



 右の男がそう言って儀式の間の扉を開けようとした時だった。


 三十一の気配が迫って来てる。


 敵か味方かわからないが、忠告した方がいいだろう。



「おい、扉から離れた方がいいぞ。 なんか向かって来てる」

「っ!?ぐわっ!」



 遅かったか。

 男が離れようとした途端に儀式の間の大きな両開きの扉が内側に向かって勢いよくブチ開けられた。

 近くにいた男が扉に突き飛ばされて倒れる。

 瞬く間に兵士達がなだれ込んでくる。

 三十人の兵士が十人三列で整列した。



「ぐあっ!!」



 突き飛ばされて倒れた男が近くの兵士の槍で突き刺された。

 殺されたか……。

 って事は敵兵だな。



「やっと見つけましたよアテナ王女。 こんな所にいたのですね?」



 敵兵の隊長らしき人物が列の後ろから前に出て来た。

 悪そうな笑みを顔に浮かべている。



「おい! 王女を拘束しろ!」

「はいっ!」


 隊長が部下に命令すると5人の兵士がこちらに走って来た。



「シンノスケ殿…姫様を頼みますぞ! せいやぁぁぁぁ!!」



 左の男がそう言って吶喊して行った。

 走って来た兵士を、携えていた剣で切り倒していく。

 しかし三人ほど倒した所で二人の兵士に槍で突き刺された。

 口から真っ赤な血を勢いよく吐き出した。



「セルジオォォ!!」

「グフォッ! ……頼み、ますぞ……」



 アテナは叫ぶが、間も無く左の男、セルジオは絶命した。



「そんな……」



 側近の男二人が瞬く間に死んでしまい、アテナはへたり込んでしまった。



「フハハ! もう逃げられませんよ! 大人しく捕まって下さいね!」



 隊長がそう言って、セルジオを殺した兵士二人が近づいてくる。



「がっ!」

「ぐっ!」



 近づいてきた男が短い悲鳴を上げて倒れた。

 俺が気配を消しつつナイフを投擲したのだ。



「なんだ?」



 隊長は何が起こったかよく分かっていないだろう。

 取り敢えず他の兵士達を出来るだけ片付けるか。

 投擲用仕込みナイフがあと8本、仕込み銃は……誘拐された時に流石に取られたか。

 他の武器も全部無いな。

 とりあえず後ろの兵士から狩って行くか。




 敵兵達の一番後ろに回り込む。


 投擲用ナイフを手に持ち、音もなく流れるように二人を暗殺した。


 残り二十四。


 その流れのまま、一番後ろの列の残り八人も殺して、俺は空中に飛び上がった。


 残り十六。



「なんだ!?」



 隊長含む兵士達が、後列の兵士十人が一斉に倒れた音で驚きの声を上げる。


 全員が後ろを振り返っている所で、兵士たちの頭上を飛び越えた俺は、一番前にいた隊長の背後に無音で着地し、首を搔き切った。


 後十五。



「おい! 大丈夫か?」



 兵士達は隊長が死んだ事には気付いていない。


 倒れた後列の十人の兵士達にしゃがんで声を掛ける中列の十人。

 訝しげにその様子を見る前列の五人。


 その前列の五人も流れ作業で瞬殺して行く。


 後十。



「死んでる……? 隊長! ……っ!?」



 中列の兵士の一人が仲間の死に気付いた。

 隊長に声を掛けるが前列の五人も隊長も倒れている事に驚いている。

 他の兵士達もその現状に気付いて狼狽する。



「一体なにが……?がっ!」



 後は簡単なお仕事だ。

 離れた場所からナイフを投擲し一人ずつ殺して行く。

 最初に投げたナイフも回収済みだ。


 後九。


 八。


 七。


 六。


 五。


 四。


 三。


 二。


 一。


 ゼロっと。



 残り最後の九人は仲間が一人ずつ倒れて行くのを見て、恐怖しながら死んでいっただろう。



「ふぅ……。 さて、ここから離れるとしようか」

「一体何が起きているのですか…?」



 瞬く間に敵の兵士達が倒れてアテナも混乱しているな。



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