光の路
「アルマ、貴女が言う『迷う』は何かしら?」
エターナは、両手から解き放つ黄金色の輝きを止めて言う。
「姉上、私は貴女の生き方が羨ましい」
溜息混じりのアルマはエターナの手を取って言う。
「捨てたかった“力”が《団体》に利用されてしまったのよ」
「『愛』の為に我がを貫いたのではなかったのですか?」
「タクトさんの前でそんな訊ね方は見苦しいですよ」
エターナは頬を朱に染め上げると、救護室の扉に向かって行く。
「何処に行こうとしているんだよ」
「バースさん、退いてください。今から路を引くために、私は外に出るのです」
ルーク=バースが扉を塞ぐように立っていて、エターナは間をすり抜けようと右往左往をする。
「タッカさんの居場所を掴んでくれたのです。おふたりが戻ってきたら行くようにと、お話しをしてくれました」
「タッカの居場所だと?」
タクト=ハインの言うことに対して、バースは眉を吊り上げて反応を示す。
「センダ坑遺跡です。貴方たちの上官であるハーゲ=ヤビンと共に【関所】から移動したのです」
「ひとつだけ訊く。あんたは『路を引く』と言ったが、それはどんな方法なんだ」
「私の“力”を使います“光の路”が貴方たちを目的地まで連れていってくれます」
「ならば、もうひとつ訊く。あいつらの居場所はどんな方法で突き止めたのか?」
「それはーー」と、エターナは瞳を曇らせる。
「俺の質問にハッキリと答えきれないならば、あんたが言う『方法』は却下をする」
バースはそう言うと、軍服の左胸のポケットから小型通信機を取り出して左耳に装着をする。
数分後、救護室にバンドが入室をする。
しかしーー。
「バンドさん〈目〉があったんだ」
タクトのひと声でバンドは注目の的となる。
「女子達の『ヘアサロンごっこ』に付き合った」
バンドが渋渋と言うと、室内には爆笑の渦が沸き起こる。
「バンドのぱっすん前髪はほっとけるが、こいつを呼んで何をするつもりなのだ? バース」
アルマは笑いを漸く止めてバースに言う。
「俺とバンドとタクトでタッカを連れて帰ってくる。バンド、転送装置は持っているか?」
「バースさん?」と、タクトはバンドから転送装置を渡されるバースを見つめるとバースの視線はエターナに向けられる。
「ヨメさん、タッカは俺達の仲間だ。俺達の手と足で見つけるのが当たり前なんだよ。あんたが手を出す必要はない」
ーー行くぞ。タクト、バンドッ!
ーー了解っ!
タクトとバンドはバースの肩に掌を乗せると、七色の閃光と共に三人の姿は消える。
「せっかちな方ですことーー」
エターナは口元を衣の袖口で押さえながら言う。
「いつものことだ。だが、今回ばかりは諦める他なかった。ところで姉上、バース達の帰りを待つ間に『我が子』とご対面されるはどうですか?」と、アルマが訊くとエターナはこう言う。
「バースさん達が『仲間』を連れて帰ってきた時に、お言葉に甘えるつもりよ、アルマ」