陽光臨戦〈1〉
【サンレッド】其処は16名の子供の護衛任務の終着駅。ルーク=バースを筆頭にして、陽光隊は更に先を目指すと誓う。
新たなる始まりを迎えたのは、彼等の上官だった。
ルーク=バースは予測される対峙に備えて選抜した隊員6名と共に、その時を待ち構える。
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「ほう、たったひとつの“力”でも対峙を致すつもりなのだな? ロウスよ」
男がそう訊くと、ロウスは眉を吊り上げて唇を噛み締める。
「バースさん、やっぱりこの人がロウスさんの“力”を奪ったのですね?」
「ハーゲ=ヤビン。俺達とは滅多に顔を見せないと思っていたら、裏で悪どい事をしていたっ!」
「と、言うことは……。レールに罠を仕掛けたのもこの人に間違いないのでしょうか?」
「とっちめて素直に白状するような奴じゃない。だが、順番を追ってやるぞ。タクト」
「了解。宜しくお願いします、バースさん」
陽光隊よりバース、タクト、アルマ。タッカとバンドそして、ザンル。更にロウスが、男が引き連れた武装する軍服姿の人員と正面に向き合っていた。
バースは前もって紅い列車を転送させる。乗車している子供達は《団体》より護衛依頼を承けて、到着した目的地で任務を終了する筈だった。
此れまでの経緯を振り返るバースは、目の前の状況で確信する。
全ては繋がっていた。軍は最初から《団体》と手を組んでいた。わざわざ陽光隊に子供達を護送させた理由を訊くを含めての対立。護送中のさまざなアクシデントに男が関与している。俄に信じがたいが、嫌でも現実として突き付けられた。
バースはじわじわと、怒りを膨らます。
「アタック開始っ!」
バースの合図と同時に陽光隊は一斉に〈敵〉に向かって駆け出していく。
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双方は激突をさせていた。陽光隊は各各“光の力”を発動させ〈敵〉の攻撃を振り払い、薙ぎ倒していく。
「タクトッ! 俺に“加速の力”を被せてくれ」
バースの指示にタクトは不安げにアルマを見る。
「心配するな。おまえの“力”を注入してもバースは壊れたりしないっ! ただし、加減をするのを怠るな」
アルマは真紅の大輪の花を彷彿させる“光”を掌で輝かせると花びらを散らすように〈敵〉に命中させながらそう言った。
タクトは安堵の面持ちになると、バースに駿足して“蒼い光”を解き放す。
うぉおりゃあああっ!
バースは加速を増して握り締める“光の力”で象る剣を〈敵〉に向けて振り翳す。ひとり、また、ひとりと撃退させてる。
ーーお待ちなさいっ! アナタの相手はこのワタシなのよ。
ーーいやだぁあ。どう見ても俺を押し倒そうとしているぅうっ!
「ザンル、真面目に闘えよ」
バンドは、逃げまくる〈敵〉をザンルが追い掛ける姿を呆れて見つめる。
「ほっとくのだ。ザンルの止まらない想いは、こうして役にたっている」
タッカに真っ直ぐと向かってくる〈敵〉はたちまちザンルによって取り抑えられて、肉厚な腕の中で失神する。
薄い頭髪を風に靡かせるハーゲが握り締める指揮棒が、音をたてて真っ二つに折れた。