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2話
『どうぞお入りになって』
ー専属騎士なんていらないわよ。どうせ第三王女なんて、誰かに狙われなんてしないんだから。
姫君はそう思いながら、入室を促した。
『は。失礼致します。』
入ってきたのは、女騎士だった。
艶やかな黒髪をサイドでまとめ、甲冑を身に纏った凛々しき女性。彼女はさっと膝をつくと、腰に携えた剣を鞘にしまったまま床に置いた。
『本日より専属騎士として姫様にお仕えいたします。レフィリアと申します。』
『…よ、宜しく。』
姫君は突然はっとした顔すると、頬を赤らめてそっぽを向いた。
『…私は第三王女、ミレディ。
よ、宜しくお願いいたしますわ…』
…姫君は昔からなぜか、美人に弱かったのである。