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僕と蚊

作者: はむち

 最近は本当に気を付けている。

テレビでもよくやっているデング熱。

怖くて基本的には水辺などの近場には寄らない様にしている。

だが、今日はお墓参りだ。そうもいっていられない。


「完全防備で行くか……」


 長袖長ズボン。見た目は気にせずに麦わら帽子。

鬱陶しい雨が上がる久々の日差し。

蚊はや昆虫などは基本的に黒を好む。だから洋服は白っぽい色メイン。

家族総出で同じような服装だ。


「パパ暑い~。」


「我慢しなさい。蚊に刺されて病気になったらどうするんだ。」


「でも暑いの……」


 娘の言いたい事も解る。

久々の晴れ間がこんなにも暑いとは。

昨日までの雨が嘘のような晴れ。だからこそ湿気が凄い。

エアコンの効いた家でのんびりして居たい位だ。

だけど、今日を逃したら次がいつになるかわからない。だからこその『今日』なのだ。




 エアコンの効いた車は快適だった。

なぜ過去形なのか。それは墓地に到着したからだ。降りなければならない。

途中、花を買ったりお線香買ったりと、済ませる事は全部した。


「降りるぞ。」


俺は言う。


「皆、早く降りなさい。」


妻も言う。


「暑い~。やだぁ~。」


子供たちが口々に言う。

しかし言いながらも渋々と車から降りた。


 照り付ける日差しの中、虫除けスプレーを全員にかける。

もれなく俺もだ。

効果時間は2時間と聞く。2時間置きにスプレーをするのが蚊を避ける最高の時間らしい。


全員にスプレーが終わり、いざ出陣。




 いきんだ割には何事もなく墓参り終了。

綺麗に整備されており、蚊が潜む場所もないのだろうか。

蚊はおろか、虫にすら出会わなかった。幸運なのか何なのか。

はたまた万全の準備に恐れをなして逃げ出したか。

そのまま車に乗り込まず、エアコンを掛けて涼しくしてから帰るとしよう。




 家につき、いつもの生活が待っている。

いつものように晩御飯を食べて、いつものようにリラックス。

お風呂に入り、後は寝るだけ。


そんな時にヤツはやってくるんだ。

今日いっぱいいると言われる墓地に行ってきたにも関わらずそこでは出会わないのに。


電気をけしていざ入眠。


――ぷ~~~~~~~~ん


うるさい。


――ぶぅ~~~~~~~ん


うるさい。


――ぷぅ~~~……~~~~ん


一体何なんだ。俺が何をした。

急いで明かりを付けるがその正体は掴めない。

いや、正体は蚊なんだ。場所が掴めない。


どこだ……どこにいる……出て来いよ……


そう思って動きを止めてゆっくり待つも音も姿も見えやしない。

仕方がないので電気を消してまた布団に潜り込む。


――ぷ~~~~~~~~ん


うるさい。


――ぶぅ~~~~~~~ん


うるさい。


――ぷぅ~~~……~~~~ん


うるさい。

一体何なんだ。俺が一体何をした。

やがて耳元でなる羽の音を頼りに叩いてみる。


パチン!


痛い。痛いが、音は鳴りやんだ。

どうやら仕留めたようだ。このまま眠りにつくとしよう。




 朝、起きると腕と脚、合計で3か所刺されていた。

俺はあいつらを許さない。

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