召喚の儀式には鐘の音が似合う
人物や情景の描写をわざと入れませんでした。
読みにくいかもしれませんが、よろしくお願いします。
「何それぇ。
奇跡を起こす神様みたいなのを召喚するんじゃないのぉ」
「そんな召喚ができたら、魔王が出現した時点でしています」
「どんな召喚式を使うんだ?
かなり具体的な内容に絞るのだろう?」
「最も優秀な執政官。
全ての問題を解決できる有識者。
候補に残ったのはこの二つだけど、最終判断は国王陛下にお任せしました。
『開門の唄』を終えたら、召喚式を発表する予定です」
「その陛下はどこにいるわけ?」
「執務室だ。呼び出した者に、どちらが上かをはっきり示すには、国王に謁見させるのが一番手っ取り早いからな。儀式には不参加とのことで、話はまとまった」
「へぇぇかわいそぉ。
女の子だったら泣いちゃうんじゃなぁい?
最初からそんなに威圧感与えて、協力しなぁーいとか、ヘソ曲げられたら面倒じゃない?」
「…女だと?」
「十分有り得る話です。
今回必要なのは、知識ですから。女性や、高齢者が召喚式に当てはまっても、不思議ではありません」
「俺たちが楽になるなら、何でもいいけどぉ。
でもさぁ、例えばおばあちゃんが召喚されてきたら…ショックで倒れちゃったりって、あるんじゃない?」
「…おばあちゃん」
「それは、困りますね」
「術式に組み込めないのか?」
「若い男限定! とか?」
「無理ですね。
一番大事な部分が崩れます」
「んー。それじゃあ、2年前と同じかぁ。
運任せ?」
「では、召喚されたものの年齢と性別によって、対応を変える必要がある。
と、いうことか?」
「その方が良いかと思われます。
レティーが気づいてくれて助かりました」
「そうだな。
あぁ…鐘も鳴り始めた。
とりあえず、簡単に分担分けをしておこう。
女性や高齢者が召喚されたときは、マクリーン術師長が対応してくれ。
男性ならば私が対応しよう」
「お願いしまぁす。
じゃ、俺はちょっと…」
「待て。
もしものときのために、残ってもらう」
「そうですね。人によっては、私よりもレティーの方が安心してくれるかもしれません」
「何にせよ、この召喚は絶対に失敗できない。
威圧でも、ご機嫌取りでも、泣き落しでも…とにかく、どんな手段を使ってでも、この世界を救ってもらう。
何せ、この国に召喚術式はもう、残っていないのだから」
唄が響き、鐘が鳴り、召喚術式が展開し…。
しかし、術式の中心に現れるはずの者は、待っても待っても…姿を見せなかった。
「どういう…ことなんだ」
絶望の声が震えた。
シリアスな感じに終わりましたが、この時救はパニック状態。
しばらくすると泣きじゃくります。