救いの使者へ宛てた手紙
内容に、不足部分がありました。
お詫びして訂正いたします。
まずは、我々の世界の問題に巻き込んでしまったことを、心から謝罪する。
本当に申し訳ない。
しかし、我々にはあなたに頼る他に、すべが無い。
だからどうか、この手紙を最後まできちんと、読んでほしい。
さて、あなたを喚び寄せた理由を説明する前に、これだけは認識していただきたい。
ここは、あなたのいた世界とは異なる場所に存在する。
一言でいえば、異世界だ。
この世界は、5年もの間魔王と魔族達によって甚大な被害を受けていた。
魔族は、戦いを娯楽とし、人の血肉を糧とする。
多くの戦士が、文字通り命をかけて戦った。
そして昨年、選ばれし戦士たちによって魔王は打倒され、魔族による脅威は去った。
しかし・・・この世界の人口は、魔族が現れる5年前に比べて10分の1以下に減り、人の生活できる土地も小さな島国だけになってしまった。
端的に記す。
食糧がない。
荒れ果てた世界には、秩序も法も無く、我らは皆途方に暮れている。
使者殿には、国王代理として、これらの問題解決を頼みたい。
執政官として、国を治めてほしいのだ。
もちろん、出来る事は・・・我々自身で出来る事は、全てやった。
しかし、限界はすぐに来た。
生き残ることができたのは、そのほとんどが戦闘に長けた人間ばかり。
国を治め、世界をまとめるだけの才がない。
長く戦場となった世界には、統治についての記録も残っていない。
このままいけば、やっと生き残ることができた我々に、未来はない。
追いつめられ、もう残った手段は召喚術のみだった。
我々が行ったのは、今この世界に必要な知識を持つ、有識者の召喚。
帰還は、世界が十分安定した時、自動的に行われるよう術式に組み込んだ。
安定が確認されない限り、何があっても、帰還できないように。
すまない。
これは脅しだ。
言い訳はしない。
ただ、少しでも哀れだと感じるなら、どうか力なき民を恨まないでほしい。
救いの手を、差し伸べてほしい。
当然、我らも全力で協力する。
私の腹心を3名置いていく。
召喚魔術師長
カレン・マクリーン
騎士団長
レティー・ビート
書記官補佐
ファン・エイジ
具体的な説明や、今後の執政についても彼らがサポートする。
私は・・・申し訳ないが、そばにいて恨み事を聞くことも、協力することもできない。
けれど、必ず帰ると誓う。
探し物が見つかったら、必ず。
私が帰るまで、この国を・・・
この世界を導いてくれ。
ベルエッジ リングリア国王 パル・リングリア
忘れるところだった。
もう一枚の手紙は、私の部下たちに渡してくれ。
それから、この世界での会話に不自由しないよう、魔術を込めたリングを用意した。
付けていれば、言語が違っても問題なく会話ができる。
使ってくれ。
ちなみに、ここまで読むとこの手紙は跡形もなく消えるよう魔術をかけてある。
ベルエッジに現れた魔王は、モルガフ。
人っぽい姿ではなく、変わった形の爬虫類みたいな姿。
しかし、魔族の中には人型もいた。
という、やはりもう出てくることのない設定。