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新しい始まりと彼の人の願い
ずっと書きたかったトリップものです。
完結できるよう頑張りますので、お付き合いいただけたら幸いです。
準備はすべて整った。
ここで出来る事はもうない。
「後のことは頼んだよ。
・・・必ず、護って差し上げるんだ。
『あらゆるもの』から・・・いいね」
答えるのはきらきら光る琥珀の瞳。
「・・・」
室内を見回し、その人は一つ大きく息を吐いた。
「願わくは・・・」
遠く、朗々と声が響き始める。
「願わくは、せめて眠りの時が、安らかなることを」
身勝手な自分たちに許される願いは、ただそれだけだと思った。
その人の去った室内に、大きな窓から強い光が射した。