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夏が通り過ぎてゆく。

作者: 四季
掲載日:2026/03/22

 夏が通り過ぎてゆく。


 懐かしいあの頃の記憶。

 それは今の胸の中に。

 あの頃と変わらないままの姿でそっと佇んでいる。


 ――君のことが好きだった。


 日射しの中で見た景色には、いつも君がいて。どんな時でも変わらない姿で優しげに微笑んでくれていた。あれからどのくらいの時が経ったのかは分からない。ただ、それでも、胸の内に残る君の匂いはあの時のまま。


 あの時想いを伝えられていたなら、何かが変わっていたのだろうか?


 ふとそんなことを思う。

 今でもたまに。

 通り過ぎてしまった道を戻ることはできないと理解していながらも。


 降り注ぐ太陽の光を浴びる。

 汗の粒を手の甲で拭う。

 路上の花とねぎらい合い。

 喉の渇きに癒しを求め。


 一時の安らぎを求めて小さな喫茶店に入る。


 そして。


「……どうして!?」


 二人はまた巡り会う。


「ごめんなさい、少し驚いて。……会うのは久しぶりね」


 それは偶然の出来事で。

 この世の誰もが起こると思っていなかったこと。


「またこうして会えるなんて嬉しいわ」


 夏は通り過ぎてゆく。


 懐かしいあの頃の記憶、それは今の胸の中に、あの頃と変わらないままの姿でそっと佇んでいる、けれど……。


 変わらないままあったもの。

 変わりながらもあったもの。


 ――ああ、そうか、まだ終わっていなかったんだ。


 あれから幾つもの夏が過ぎ、それでも幾つもの夏が訪れた。


 同じように。


 ……二人も、また。



◆終わり◆

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― 新着の感想 ―
夏の風とセピア色の風景を感じました。 ノスタルジックな雰囲気は胸の奥をきゅっとさせてくれるようで……。せつなさもあり、これからの展開も想像しちゃいます♪
どれだけ夏が通り過ぎても、変わらない想い。夏の強い陽射しが、瞳と心にその想いも灼きつけるようで、印象的でした。 巡りゆく季節の中で、主人公にとっての「夏」だけが、巡らずに通り過ぎていく、あるいは巡ら…
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