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7話

唐突な行動に一瞬たじろいだが、

セイタが興奮した様子で捲し立てる言葉に、

イナオカは耳を傾けた。


「これ……見たか?

 もう大騒ぎになってる。

 いったい、誰がこんなの……」


「……何なんだよ」


差し出された画面の動画を再生した、その瞬間――

イナオカの背筋を、

頭から足先まで、一気に寒気が走った。


映っていたのは、

昨日の公園で、

二人がプラズマを消滅させ、

外へ弾き出される瞬間だった。


動画のタイトルには、

こう書かれていた。


『プラズマ内部に侵入し、

 被害ゼロで消滅させた二人の学生』


「……どうして、これが……

 誰が撮ったんだ?」


「俺にも、わからない……」


その動画を見て、

登校時から生徒たちが自分を注視していた理由が、

ようやく理解できた。


今この瞬間も、

多くの生徒がイナオカとセイタを見つめている。


誰が撮影し、

誰が投稿したのかはわからない。


だが――

公園でプラズマを消した直後に感じた、

あの“気配”が本物だったのだと確信し、

イナオカの背筋は、再び冷たくなった。


同時に、

――これからしばらく、面倒なことになる。

そんな予感が、重く胸にのしかかる。


セイタもそれを察したのか、

顔をしかめながら前の席に座った。

だが、

彼が腰を下ろした途端、

生徒たちが一斉に集まり、

二人を取り囲んで、次々と質問を浴びせ始めた。


「動画に映ってる二人……本当に君たちなの?」

「どうやってプラズマを消したんだ?」

「すごいな。俺にも教えてよ」


俺たちは「わからない」と答え続けるだけで、

それ以上、何も言わなかった。

曖昧な返事をしていれば、

そのうち興味を失って勝手に散っていくと思っていたからだ。


だが予想に反して、

クラスの連中だけでなく、

他のクラスの生徒まで、次々とこちらへ集まってきた。


有名人が海外での仕事を終え、

空港に帰国したときに受ける熱狂――

おそらく、こんな感じなのだろうと思った。


「はいはい、席に着け。

 なんでそこに固まってるんだ」


先生の一声で、

生徒たちは一斉に自分の席へ戻っていった。

そのおかげで、ようやく一息つくことができた。


それでも授業中、

ちらちらと向けられる視線は消えなかった。

まるで針のむしろに座っているようで、

自然と俯いてしまう。


当然、授業に集中できるはずもない。


重苦しい時間が過ぎ、

ようやく昼休みになる。


静かに昼食を取れると思い、

少しは気が楽になった――

が、その安堵も長くは続かなかった。


疑問を解消できていない生徒たちが、

再びイナオカとセイタの周囲へ押し寄せてきたのだ。

今度はクラスどころか、

ほぼ全校生徒と言っていいほどの人数だった。


どうすることもできず、

ただ汗をかいているその時――

人混みをかき分け、

生徒会長が二人の前に現れた。


「イナオカとセイタだよね?

 校長先生が呼んでる。校長室に来て」


生徒会長に導かれ、

ざわめく生徒たちの間を抜けて校長室へ向かう。

教室を出るとき、

生徒たちは名残惜しそうにため息をつき、

それぞれの席へ戻っていった。


「校長先生、なんで俺たちを……」

「どう考えても、今回のプラズマの件だろ」


廊下を進み、

一階下へ降りて校長室の前に立つ。

セイタがノックし、扉を開けた。


室内には、

校長先生と、首からカメラを下げた一人の人物が立っていた。


まだ二人の気配に気づいていないのか、

ぼんやりと虚空を見つめている。

肩まで伸びたベージュ色の髪を、

騒がしく見えないようにハーフアップにまとめ、

自然に垂れた前髪が眼鏡をかすかに覆っていた。


その隙間から覗く大きな瞳と、

すらりとした長身のおかげか、

腕を組んで壁にもたれかかる姿すら、

どこか絵になる雰囲気を纏っている。


服装からして、

この学校の教師ではなさそうだ。


――誰だろう。

そう思った瞬間、

ある考えが頭をよぎった。


「……もしかして、公園で俺たちを撮ってた人……?」


その言葉に、

虚空を見ていた男の視線が、ゆっくりとイナオカへ向く。

そして姿勢を正し、二人を見据えて答えた。


「そう。あれ、俺だよ」


「なんであんな動画を上げたんですか!

 今、俺たちがどれだけ大変かわかってるんですか?」


「それより、

 どうして俺たちがそこにいたって知ってたんです?

 あそこは、俺たちしか知らない場所だったのに……」


興奮して、次々と言葉をぶつける。

途中で言葉が絡まることもあったが、

言いたいことは、すべて吐き出した。


二人の訴えは、

校長先生の制止によって、ようやく止まった。


「落ち着きなさい。

 説明は、この人がしてくれる」


「……コホン。

 まず名乗ろう。

 俺の名前は、ヒカギ・カズヤ。

 最近話題になっているプラズマの“位置”がわかる人間だ」


俺たちは高ぶった気持ちを抑え、

ヒカギの話に耳を傾けた。


「私はイナオカ・アルニ。

 こっちは、セイタ・テルです」


「……でも、

 どうやってプラズマの位置がわかるんですか?」


「正直、俺にもよくわからない。

 ただ、近くにプラズマがあると、

 頭が鳴るんだ。

 それに、大きさの目安や、

 おおよその場所も把握できる」


「……え?」


「だから俺は、

 プラズマが何を引き起こすのかを知るために、

 映像を撮って、分析している」


「昨日も同じだ。

 近くにプラズマがある感覚がして、

 君たちがいた山の公園へ向かった。

 目の前でプラズマが生成されて、

 いつも通り撮影していたら……

 偶然、君たちを見つけた」


「助けに行こうとした、その瞬間――

 君たちは弾き飛ばされ、

 プラズマは消えた」


イナオカとセイタは、

何が起きているのか理解できず、

困惑した表情で顔を見合わせた。


「何が起きたのかはわからない。

 でも映像は残ったから、

 とりあえず分析して……」


「……それはいいですけど、

 なんで動画を上げたんですか?」


突然話を遮られ、

ヒカギは一瞬たじろいだ。

だが、すぐに落ち着きを取り戻し、続ける。


「この前、

 石川近郊の森でプラズマが爆発したのを見ただろ?

 あの件で、人々の恐怖はさらに大きくなっている」


「そんな中で、

 君たちは“日本中が恐れている存在”を消した。

 それを見れば、

 ――災厄は、消せるかもしれない。

 そう思えるだけで、

 どれだけ人が安心するか、わかるだろ?」


「でも……俺たちも、どうやってプラズマを消したのか、正直わからないんです」


「分析したって言っただろ。

 ――セイタ、だったよな? ちょっと、こっちに来てくれるか」


ヒカギはセイタに向かって手招きした。

セイタは一瞬、反抗的な視線を向けたが、結局は言われるまま近づく。


するとヒカギは、

前触れもなくセイタの手を取り、

あちこちから丹念に観察し始めた。

最後に、セイタの指にはめられた指輪を、

穴が開くほどじっと見つめて、口を開く。


「……この指輪が、プラズマを吸い込んで消滅させた。

 何か、感じないか?」


「え……?

 いや、別に……いつもと変わらないですけど……」


指輪がプラズマを吸い込んだ――

あまりにも突飛な話だった。

ファンタジーだとしても、出来すぎている。


それでも、

あの時、指輪から放たれた光が脳裏をよぎり、

イナオカは否定しきれずにいた。


プラズマの内部にいたときの記憶を思い返していると、

セイタが口を開いた。


「……あの時。

 プラズマの中にいたとき、

 指輪が光って、その直後に俺たちは弾き出されました」


「ということは……

 指輪が光った瞬間に、

 逆にプラズマを吸い込ん――」


言いかけたところで、

ヒカギがぴたりと動きを止めた。


そして、

ゆっくりと視線を校長室の扉へ向ける。


先ほどまで穏やかだった目が、

獲物を見つけた狼のように、

一瞬で鋭さを帯びた。


その異変に、

イナオカとセイタも息を呑み、同じように扉を見る。


――次の瞬間。


廊下の向こうから、

甲高い悲鳴が響いた。


それを聞くや否や、

ヒカギは校長室の扉を勢いよく開け放ち、

何も言わずに飛び出していった。


二人も慌てて後を追い、

校長室を出て廊下を駆ける。


走りながら窓の外に目をやった瞬間、

その光景に、言葉を失った。


――学校の中央の憩いの広場に、

プラズマが発生していた。

まだ日本語が下手で翻訳機に依存して文を書いたので、誤訳があるかも知れません。 多少変な翻訳部分があっても些細なハプニングだと思ってくださって面白く見てください。

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