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第11話 オルビアンの人々:後編

 宿屋【ヒノキの止まり木】に荷物を置いた後、ニルたちは改めてステラにオルビアンの中を案内して貰っていた。


 噴水広場に大通り。衛兵たちの鍛錬場。怪我や病の治療院。

 ここのお肉は狩人が卸しているから安くて美味しいだとか、保存食を買うならここのお店だとか、商隊の乗合馬車はここから出ているだとか等々と。



 そうして軽く町を回っていると、あっという間に感じるものの、それなりの時間が経っていた。


 そろそろステラを家に送るべきかとニルが考え始めていると、ステラから「薬屋を紹介します。どの薬も一級品なんですから」とのお誘いがあったのだ。


 その言葉にクロードが『気になります』と乗っかる。

 ニルとステラは休憩がてらに果実水を飲んで、町の隅っこの方にある一軒家へと足を向ける。



「ここです」


 そうしてやって来たその店は、いかにも童話に出てきそうなレンガ造りの古い家であった。


 使われているのか、そうでないのか。

 平屋の家には大きな煙突が立っており、壁の大部分は深緑の蔦に覆われている。

 半面よく手入れされた畑には幾つもの草花が咲いている。珍しい形状の葉を付けた無数のそれらは、ここの家主が薬師である事を知っていれば、何がしかの薬になるのだろうと想像出来た。



 デウェの宿屋と違い、看板も呼び鈴も無い扉を潜る。


 天窓や幾つも備え付けられた窓から光を取り込む造りのその家は、古臭い外観と結びつかない明るさと実用的な洒落っ気に満ちていた。


 まるで最新に対する古式のようだ。

 古臭いと言うよりアンティークと呼ぶのがしっくりくる、木の香りが満ちた落ち着いた色調の部屋には、一人の老婆が座っている。


「こんにちは、キーラさん」

「ステラかい。お前が男を連れているなんて珍しいね」

「うん。危ないところを助けてくれた冒険者さんなんだ。今はオルビアン町を案内してるところ」

「そうなのかい。お前さんたち、うちのステラが世話になったようだね」


 ――お前さん、たち。


「いや、感謝される程の世話はしてないさ」

『――はい。そうですね』


 あまり気にせず言葉を流したニルは「むしろ彼女には道中の飯の世話をして貰ったぐらいなんだ」何て笑って答えた。するとキーラと呼ばれた彼女も「なら、この話はここまでって事で良さそうだね」と小さく笑ってステラを見る。


 ――ニルと違いクロードは何か聞きたそうに一瞬間を開けたが、ニルの会話の邪魔をするべきではない、と判断したらしく無難な言葉で口を閉ざす事を選択している。


「お前はそのうち禄でもないのを引っかけてくると思っていたけど、ちっとはマシな奴を引っかけて来たようで安心したよ」

「キーラさんもデウェさんみたいなことを…… ニルさんはそう言うのじゃありませんからね?」

「そう言うんじゃないなら尚更悪いさね。特にデウェの所に行くなんて、そりゃからかってくれって言ってるようなもんだよ」

「それは、そうかもしれませんけど……」


 デウェの時と同じようにからかわれると、ステラは同じように慌てていた。

 もごもごと口を動かすも、やがて反論は諦めたらしい。話題を切り替えるためにだろう、ステラは小さく息を吸い込み背を伸ばした。


「……それより、薬を見せて貰っても良いですか」

「断りなんか入れなくても、好きに見ていけばいいよ。それとも何か入用の薬があったりするのかい?」


 そんな風に言葉を続けたキーラはニルたちを見る。


「止血と痛み止めは買わせて欲しいな。それと他は……何があるのかも教えて貰っても良いか?」

「血止めの軟膏、火傷にも使える傷薬、塗るタイプの鎮痛剤……人気なのはこの辺りかね。他には虫刺されに虫下し、解熱剤と……まあ、色々さ。ラベルは貼ってあるから、カウンターに持ってきてくれたら詳しい説明をするよ」


 「何ならこの子に聞いたら良いよ」と、キーラはステラを見ながら笑う。


『ステラは薬に詳しいのですか』


 店主から名前が上がるほどステラが薬の知識に詳しいとは。

 意外そうな声音でクロードがそう聞き返すと、キーラの方は「聞いてないのかい?」と言葉を返す。


「この子は私の弟子みたいなもんだよ。私も年だからね、この子に薬草の採取をお願いして、代わりに薬の知識を教えてるのさ」

「そうだったのか」

「実は、機械生命体アーティファクト・クリーチャーに追われたのも薬草を採取しにいってた時の話でして……」


 ニルは驚きながらステラを見ると、彼女は はにかみながら頭をかいていた。

 薬草採取していたところを襲われたと言っていたが、本職の薬師だったとは。せいぜいがお使いレベルの話だと思っていたニルは、自分の思い違いに若干ばつが悪くなった。対してステラは得意げである。


『では、ステラにオススメ商品の紹介を頼んでみるのはどうでしょうか?』

「だな。お願いできるか?」

「ええ、お任せくださいな!」


 二人の言葉に、ステラはふんすと気合を入れる。

 まずは傷薬から見ましょうかと店の一角へと向かうと、言うが早いか一つの小瓶を手に取った。


「これは裂傷に良く効く傷薬です。用途によって三つに分けていますけど、私的には止血と鎮痛の成分がバランスよく配合されたこれがオススメです」

「ちなみに他二つはどんなのだ?」

「止血効果が強いものと、火傷にも使えるハイブリッドタイプですね。ただニルさんみたいな冒険者なら、火傷も大きくなると思いますから……こっちの、火傷専用の軟膏を別に用意した方が良いと思いますよ」


 言うが早いか、ステラは隣の棚から小さな革袋を取った。


「痛み止めの成分が多めに含まれているのも良いですけど、応急処置無しでそのまま塗れる乗りの良さが良いんです。水分も多めに含まれてますから、使い切る勢いで雑に塗れるのもオススメポイントですね」

「確かに良さそうだ。値段は――案外安いな」

「オススポイントその2です! 使い切る勢いで塗るのも有りですけど、時間があるならこっちの傷薬を含ませた布で患部を抑えてやると、後々に起こりやすい皮膚の引き攣りが少なくなってですね―――――」


「――この鎮痛剤、効果は強力なんですけどちょっと効果が強すぎて感覚が鈍くなるんです。なので効果は劣りますけど、町の外で使うつもりがあるなら、こっちもお勧めでして――」


「――解毒剤と一口に言いますけど、すべての毒に有効な物はありません。ですから免疫力を高める、こっちの内服薬の方が結果的に多くの毒に対応出来る事が多くてですね――」


 こっちもいいがあっちも良い、こっちも併用すれば効果が増すから、などと言うやり取りを二度三度。

 結局ニルは宿屋(デゥエの好意)で浮いた金を使い、ステラに勧められるままに傷薬と火傷用の軟膏、ついでに傷薬を含ませた薬用包帯と解毒剤を持ってキーラの元へと戻る事となった。


「おや、結構買うんだね」

「説明役が商売上手だったおかげだよ」


 知っててステラに説明をさせたんじゃないのかと肩を竦めるニルに、キーラはからからと笑いながら「買って後悔しない事は保障するよ」と計算を始める。


「ま、この子の紹介だ。そうだね……これぐらいにしといてあげるよ」

「おお、ありがたい……と」


 更に一割ほど安くしてもらった上で細かい数字を弾いて貰い、いざ金を出そうとしたタイミングでニルはキーラの手元に置かれた冊子に目が留まった。


「キーラさん、そのリストは?」

「これは霊薬のリストさ。まあ、今じゃどれも欠品中だけどね」


 キーラの口から出た見覚えのある名前にやはりか、とニルは思う。


 霊薬とは人の範囲を超えた力を一時的に得る事が出来る秘薬である。

 素材入手の難度が高い事もあるが、そもそも薬に魔力を練り込む工程があるため調合難度が非常に高い。故に取り扱っている店が少なく、取り扱っていても非常に高価である。

 あまり目にする機会のないそれらのリストを見せられて、ニルの心にむくむくと好奇心が浮かび上がった。


「見せて貰っても良い物だったりするかい?」

「もちろん構わないよ」

「ありがたい」


 受け取ったリストをぱらりと捲って目を通す。


 ――猫の霊薬、犬の霊薬、剛力の霊薬などなどと。


 よく見る名前と共に初めて見る名前も幾つか連なっている。


「印が入ってるのが在庫ありなのか?」

「いや、素材がこの森で取れる霊薬さ。素材さえ集められるなら、調合してあげるよ」

「良いのか?」

「この子を助けてくれたんだ、それくらいはね」


 ――それくらい。


 流す様な軽い感じの言葉に、ニルは内心で驚いた。

 霊薬の調合はやりますと言ったから簡単にできるような物でもない。

 アーティファクトを製作していたマグナスもそうであったが、このキーラという人物もかなりの技術を持っているらしい。

 守衛のレアンもそうだったし、この町に住んでいる人間のレベルは一般的な職業人よりも高いように感じる。おそらく、気のせいではないだろう。


「すまないな、ありがたいよ」

『感謝します、キーラ。いつかその知識も教えてください』

「何時でも来な。あんたらなら安くするからね」


 なんにしても、良好な関係を築けそうなのは良い事だ。

 ニルはそんな事を思いながら、キーラの薬屋の外に出た。


「それじゃあ家に送るよ」

「すみません。最後に寄らせて欲しいところがあるのですが」

「うん? 構わないけどどこに行くんだ?」


 ニルの感覚からすれば、丁寧なステラ性格を表す様なしっかりとした町の案内は完璧だったように思っていた。何かあっただろうか? と自問するも、イマイチこれと言った答えが浮かばない。


『ニル。ガルスとの合流約束時間が近づいています。このままだとステラを家に送り届ける時間が不足する可能性があります』


 ニルの逡巡に差し込むように、クロードの言葉が差し込まれる。そう言われてようやく時間を気にし始めたニルは「そんな時間か」と思考を打ち切る。


「ステラ、悪い。冒険者ギルドで仲間と合流する予定になってるから、明日でも良いか?」

「大丈夫です。私が行きたいのも、冒険者ギルドですから」

「なんだ、ステラも用事があったのか? 何か――」

『マグナスが薬草採取の依頼をしたい、と発言していたように記憶しています。その件ではないでしょうか?』


 ニルは「何か依頼するのか?」と言葉を付け足そうとしたところで、クロードが少し強引に言葉を挟む。するとクロードの言葉に、ステラが「そうです!」と嬉しそうに頷く。


「お父さんは、依頼はこっちで出しておくから驚かせてやれって言ってたけど、ちゃんと話をしてくれていたんですね」

『肯定します。マグナスはニルに依頼を出そうか相談していました』

「おお! そうだったんですか!」


 クロードに肯定された事が嬉しかったのか、それとも「マグナスに認められている」のが嬉しかったのか。

 どちらが理由か判断はつかなかったが、ステラは「なら早く行きましょう! こっちですよ!」と機嫌を良くして先を歩く。


「……良かったのかよ? 嘘は言ってないが」

『私なりに関係性を構築したつもりです。今ならば、私の冗談であると言えば関係性を後退させる事も可能だと判断しますが――ガルスの反応は考慮していません』

「ガルスの?」


 ニルとクロードは先をゆくステラにわざと追いつかない距離で、言葉を続けた。


『ステラは非常に“かわいらしい”です。ガルスの好みに合致する可能性は高いと判断します』

「まあ、そうだろうな」


 ニルはクロードの言葉に同意する。

 単なる事実だ。ニルはガルスの好みに興味はないが、ステラを見てかわいくないとは言わないだろうことは流石に分かる。


『――私は関係性とは、順番も大事だと学びました。私がガルスではなく、ニルの背中に居るのと同じです』


 クロードは、少しだけ得意げであった。


『だからこれは、私のサービスです。デウェの行動を真似させてもらいました』

「お前なぁ……余計なお世話だって」

『ガルスからの助言が役立ちました。ニルの現在のコンディションから「よくやった」という意味だと判断できます』

「言うじゃないか」


 ニルとクロードのやり取りが少しだけ聞こえていたステラは、ちょっとだけ恥ずかしそうに笑っていた。

 その笑みはデウェに揶揄われた時の物とも、キーラに諭された時の物とも違う。二人の会話は完全には聞こえていないが、自分の事を話している事だけはしっかりと伝わっている。

 だからこそ浮かんだはにかむ様な笑みの意味は、きっと彼女にしか分からない。


「急ぎましょうよ~」


 少しだけ離れた形になって先を行っていたステラが、立ち止まってから振り返る。

 ニルはコツンとクロードの柄を軽く叩いて、早足で向かうのだった。




  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇





 呼び鈴を鳴らして扉を潜ると、人はまばらであった。

 併設された食堂からは、上機嫌に出来上がった冒険者たちが奥の方でちらほらと見られる。


 酔う場所を弁える程度の常識はありそうだが、昼間っから酒を飲むことを控えるつもりは無いらしい。ぷんと香る酒気は強く、雰囲気からするに昼過ぎから酒盛りの流れになったのだろう事が容易に察せられた。


「うわぁ、正に冒険者の酒場って感じですね」

「実際に冒険者の酒場だからな。てか、依頼を出しに来たことはないのか?」

「ええ。今までは出す必要性を感じなかったので」

「へぇ、そりゃ凄い」

「褒めても何も出ませんよ?」

「なら俺が出すよ。果実水だけど」


 ニルは機嫌良く酒を頼んでいる者たちを気にせず飲み物を頼むと、適当な場所に腰を下ろして「ステラも座りなよ」と椅子を指さし、視線をギルドの受付付近へと向けた。

 視線の先には依頼票という形で、仕事の募集を告げる張り紙が所狭しと張られているコルクボードが幾つか立て掛けられている。


『ガルスはまだ来ていないようですね』

「前にクロードが居た遺跡で見つけた記憶媒体の鑑定って言ってたからな。この町に来るまで複雑すぎるって鑑定を断られてたし、こっちでも手間取ってるのかもしれないな」

『その可能性はあります』


 ニルとクロードが話をする横で、ステラは興味深そうに周りを見ている。


「……なんか、思っていたより雑ですね」

「まあ大きい町だし、交易の一大拠点でもあるしな。もうすぐカイサリアで自由市もある。時期的にも忙しいんだろ」

「自由市……そう言えば、そんな時期でしたね」


 自由市。

 定期的に開催される、都市単位でのフリーマーケットのようなものだ。凄まじい数の人が集まるそれは、この世界で共有されている数少ない娯楽でもある。


「ステラは遊びに行くのか?」

「予定はありませんね」


 当然ステラも遊びに行くのだろうと思ってそう聞いたが、反応はニルが思っていた物とは違っていた。


「キーラさんの薬草採取がありますし、お父さんの世話も。それに、あんまりお金に余裕がある訳でもありませんから……」


 世知辛い理由であった。

 思い出して若干憂鬱になっているのか、ステラが「はぁ」と小さく溜息をこぼすと、丁度良いタイミングで果実水が運ばれてきた。


「まあ、俺の驕りだ。飲みなよ」

「ありがとうございます……」


 ニルは運ばれてきた果実水を口に運び、渡されたそれを受け取ったステラも彼に倣う。


「これ、美味しいですね。初めての味です」

「だろ? 実はこの町に来る時に、俺たちが護衛してた商隊が運んでたのがこれなんだ。自由市で売り出す特産品なんだって自慢してたよ」

「なるほど……」


 ニルの言葉に、ステラは興味深そうにコップに注がれた果実水を見つめていた。もしかすると、自由市に興味が湧いたのかもしれない。


「とりあえず、俺の仲間はまだ来てないっぽい。先にステラの依頼を――」


「おうニル。もしかして待たせたか?」


 約束の時間には少し早い。

 ガルスと合流する前に依頼の受理をしておこうと席を立とうとして、意外な人物の声が聞こえる。ガルスである。


「ガルス? なんだ、時間にはまだ早いだろ」

「結構いろいろ回ったんだけど、全部断られたんだよ。察してくれ」

「まあ、そうなりそうな気はしてたしな」


 「とりあえず今日の換金分はこれな」とニルに袋を差し出すガルスの顔には、確かに色々な場所を回ったらしい疲労の色が見える。しかしガルスは、そんな事よりも重要な事があるとばかりに、視線をニルの横へやった。


「で、そっちのかわいい子は誰だ? 新しいパーティーメンバーだったりすると、主に俺が嬉しいんだけど? ちなみに、俺はガルスって言うんだ。こいつらの仲間だよ」


 興味がありますと興奮するガルスに、ステラは「ええっと……」と少しばかり困惑しながら、丁寧に頭を下げた。


「初めまして、ガルスさん。ステラと言います。ニルさんには、今日森で命を助けていただきまして」

『そのお礼として、彼女が町の案内を買って出てくれていました』

「えー、マジかよ。俺が一人寂しく換金作業に勤しんでる間に、お前はこんなかわいい子とデートかよ? ずるくないか?」

「デートじゃないって。それに、ステラは依頼があるんだよ」

「依頼?」


 ガルスが首を傾げると、ステラは改めて説明を始めた。


「はい。実は薬草採取の護衛をお願いしたいんです」

「なるほどね。じゃあ俺もそっち行くわ」


 うんうんと腕を組んでステラの言葉に頷いたガルスは、即断するようにそう言った。その様子に、ニルは呆れたようにツッコミを入れる。


「明日は飲むから休ませてくれって言ってなかったか?」

「知らん。忘れた」

「お前、マジで切り替え早いよな」

「切り替えの遅い冒険者が居るなら連れてこい。そいつが死ぬ前にぶん殴って説教してやるよ」

『ガルス。あなたのパワーを考慮すれば、それは笑えない冗談の可能性があります』


 クロードの訂正にガルスは「マジで? 説教してやるぐらいじゃ伝わらなくね?」と、おそらくそこではないと思われる部分へのフォローを入れている。


「まあこういうやつだけど、良いやつだよ」

「そうみたいですね。良い人みたいです」


 ステラは最初こそ困惑していたようだが、ガルスとクロードのやり取りを見て考えが変わったらしい。ちょっとばかり困ったような顔で、クスリと笑った。

 やはり、ステラの感性はかなり変わっている。しかし、嫌な方向にズレている訳ではなかった。


「……これは冗談じゃなく、一緒に組まない?」

「とりあえず俺とステラは依頼を受けてくるから、勧誘ならそれからしてくれ」

「俺が行っても良いんだぜ?」


 そんなガルスの言葉に、ニルはさっきまで自分が座っていた席を指さした。


「温めてやったから座ってろって。 ……疲れてるんだろ」

「おう、すまんな。戻ってくるまで席は確保しとくよ」

「了解、頼んだぞ」

「それじゃ、ステラちゃん。また後で~」


 ガルスはニルの代わりに椅子に腰を下ろし、ステラに向かってひらひらと手を振った。


 明日の依頼は薬草採取の護衛である。

 三人で、いや――ガルスも加えて四人での仕事になるだろう。


 それをニルもステラも、そしてクロードも。

 皆が予感し、そして少しだけ楽しみにしていた。

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