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断罪イベント365ー王子編

断罪イベント365 ― 「雨漏り」

作者: 転々丸
掲載日:2025/09/07

断罪にお天気は関係ないのです。

豪奢な大広間。シャンデリアはまばゆく輝き、床は大理石。

壇上の王子が胸を張り、声を張り上げる。


「本日この場をもって――」


 ぽたり。


「……?」


王子の鼻先に冷たい雫が落ちた。

続けて天井から、ぽたぽた……。

観衆がざわつく。


「雨漏り!?」

「殿下、屋根に穴が!」

「えっ、王宮なのに?」


使いが慌ててバケツを持ち込み、床に並べる。

カン、カン、カン……水滴のリズムが断罪の宣言をかき消した。


「こ、これは! 神々の涙である!」

 王子は必死に両手を広げてごまかす。


「ちがうでしょ!」

「修繕費ケチったな!」

「殿下、クラウドファンディングなされては?」


観衆の突っ込みが容赦ない。

バケツの数はどんどん増え、音は合奏のように広がっていった。


「これは神聖なる演出! 断罪交響曲だ!」

王子は声を張るが、

カンカンカン……観衆は笑いをこらえきれない。


そのとき、東屋の悪役令嬢(予定だった婚約者)が立ち上がった。

扇を広げ、すっと目を細める。


「殿下。屋根も直せないのに、

婚約者を守れると本気でお思いで?」


カン、と雨水がいいタイミングでバケツを叩く。

場内、爆笑。


「浮気の証拠? 必要ありませんわ。

財政難こそ最大の裏切りですもの」


すると、もう一人。

本来“悪役”とされていた令嬢までもが、

冷ややかに立ち上がった。


「殿下……わたくしも、もう愛想が尽きました」


「えっ……!」王子の顔から血の気が引く。


「屋根すら守れない方に、未来を託せません。

雨漏りに怯える玉座など、誰が座りたいと思うでしょう?」


観衆は大きなどよめきとともに拍手を送った。

王子は真っ赤になって叫ぶ。


「ま、待て! これは断罪に深みを――」


最後に王子を見た悪役令嬢の瞳は、

完全に氷のように冷えていた。


総評:まずは屋根を塞げ。話はそれからだ。



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