87 狩谷高校へ潜入
岬のように飛び出た建物群に辿り着くと、そこに見覚えがあることに気がついた。
狩谷駅と、その周囲の商業ビル達。狩谷町アーケード街と書かれたアーチ状の看板。そしてその向こうに見える建物は……。
「狩谷高校だ」
私達は顔を見合わせた。
「ここは内藤殿の夢の中なのに、なぜ高校があるのじゃ?もしかして、涌井さんの夢と合体したのか?」
「ええ。恐らく混信の影響で融合したのだと思います」
「学校の中に涌井殿や内藤氏、関谷もいる可能性はある。探索してみよう」
我々は顔を見合わせて頷き、先へ進んだ。
無人の狩谷町アーケード街を用心深く進み、校舎のすぐ側まで来た。
校庭には帝国軍のマッチョ集団が百人以上もいて、正面玄関へは安易に近づけない雰囲気だった。体育館横の出入り口へ回ってみたが、やはり連中がいる。
彼らはマネキン人形のように立っているだけ。しかも、判で押したように同じ顔つきだった。
「気持ち悪いな」
「神社で戦った時と同じモブキャラです。やはり関谷課長が関与しているのでしょう」
「まるで案山子だ。近づけば動き出して戦闘になるかもしれない」
「戦いの準備なら万端じゃ。いつでもいけるぞ」
「多勢に無勢です。いくら私達でも、これだけの人数を相手にするのは危険です」
他に出入り可能なところは?と、記憶を探る。この様子だと、職員玄関や用務員室なども近づく事すら無理だろう。
そうだ。
生徒会室の窓が古く、ガタついている事を思い出した。休日の学校で映画を撮る際、ここから仲間達と忍び込んだのだ。
「部活棟まで行こう。こっちだ」
2人を誘導しながら歩いた。
校舎の裏側へ回って部活棟の裏側まで来ると、皆で塀を登り、屋根を歩いて生徒会室の窓へ向かった。
「こいつは立て付けが悪くて、いつも無施錠だったのさ」
窓を押すと、あの時と同じように簡単に開いた。
書棚に校内の見取り図があることを思い出した私は、A1の青焼き図面を探し出し、作業テーブルの上に広げた。
「涌井さんと内藤さんは安全で落ち着いた場所にいるはずだ。僕の予想だと、保健室か校長室だ」
私はそれぞれの場所を指でさした。
「あまり派手に動いて関谷に逃げられでもしたら、また厄介なことになると思う。だから、ここはゲリラ作戦でいきたい」
「静かに忍び寄るんですね」
「そう。ただ、ケンカを売られた場合は、遠慮なくやっつける」
「御意」
チィが拳を作って手の平へパチンと当てた。




