表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/100

53 作戦会議

「まず、この事案に関してまとめよう」

 私は壁掛けの黒板へ、

『最終目標=ミッキーと北村、およびバトン少女のリアルワールドへの帰還』

 と、チョークで書いた。


「この為の条件としては……」

『涌井さんと魔法少女の満足、および、ゲートの発見』

 と、書く。


「ゲートの所在に関しては、現状では全く手掛かりが無いので、今のところ我々の目標は2人の満足度を上げる事ではないだろうか」

 私は涌井さんと魔法少女の文字を丸く囲った。


「提案です」

 ミッキーが手を挙げる。

「涌井さんの夢に対して、魔法少女の夢が干渉している以上『バトン少女の満足』を優先させるべきだと思います」

「確かに。では、彼女の満足を得られるためには、どのようにすれば良いかと言うと、これだ」


『七界大戦ごっこ』

 と、書く。


 女子2人が何度も頷いた。

「そこで七界大戦についてだけど、詳細をミッキーから話してもらおうかな」

「はい。では僭越ながら私が説明をします」

 立ち上がった彼女は、エヘンと一つ咳払いをした。


「簡単に言うと、光の戦士達と闇世界の魔導師達の闘いの物語ですが、国家間の戦争や男女の恋愛などが複雑に絡んでいます。舞台は中国っぽい異世界。魔法や怪しげな錬金術、それに相反するような高度なテクノロジーが登場します。コミックは1冊650円とお子様のお財布にも優しい値段設定、そして最近ではソーシャルゲーム化もされ、ファン達が喜んでいます。実は私もその1人です」

 まるで営業マンのような口ぶり。実に楽しそうだ。


「ところで、僕は成り行きで彼女の兄になってしまったけど、そういった設定は出てくるの?」

「はい。偶然にも第8巻に描かれている『混沌からの帰還』というシーンにそっくりです。暗黒魔王に捕らわれた兄が洗脳された状態で、妹と再会するという悲しい場面です」


「……ちょっと待って。話について行けないわ」

 そう言って涌井さんがこめかみに手を当てた。

「ソーシャルゲームって何?」

「スマホで遊ぶゲームさ。今ではわりと一般的な……」

 話の途中で、背後からミッキーが耳打ちした。

「涌井さんの記憶はかなり前でストップしているので、知らない事が多いと思います」

 言われて気がついた。

「そう言えば、そうだったね」

「なにをコソコソ話しているのよ。ちゃんと言いなさいよ」

「わかりました。ご説明します」

 ミッキーが背筋を伸ばし、大きく息を吸い込んだ。


「平成は終わり、今は令和の時代となりました。社会は移り変わり、スマートフォンというマルチメディア機器が台頭し、世界はインターネットで……」

「何ですって?平成が終わった?!」

 涌井さんが椅子を蹴って立ち上がった。


「令和?なにそれ。ダサい年号ね。もっと、こう、今っぽい名前を付けられなかったの?で、スマートフォンってなに?」

「えと。こういう四角い形で液晶画面が付いていて……」

「インターネットは知っているわよ。モデムに繋いでピーガガガって鳴るやつでしょ?ダイアルアップって言ったっけ?電話代が高くなるのよね、あれ」

「あのう、今は光回線や5Gの世界なのですが……」


 涌井さんへの説明を終えた頃には真夜中になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ