3 王様と魔女と女子高生
3人の男女だ。
一人は若い女性で狩谷高校のセーラー服を着ている。
男は小太りな中年。煌びやかな装飾が施された赤いスーツに黒マントというスタイルで、頭に王冠と腰に大きな剣をぶら下げている。見るからに王様の格好だ。
もう一人は黒いフードをかぶった女性。手に大きな杖を持ち、いかにも魔法使いという姿だ。
近くでコスプレイベントでもあったのだろうかと考えたが、このジャングルの中で催し物が行われる訳がない。
場違いな者達の出現に私は警戒しつつも興味を惹かれ、息を殺して様子を伺った。
「もう出発するというのか?まだ休憩しようではないか」
王様が子供のように口を尖らせながら言う。セーラー服の少女が呆れたようにため息をついた。
「今日は3時間も歩いていませんよ。もう日が暮れてしまいます」
「足が痛いのじゃ」
「それは単なる靴擦れです。だから履き慣れている靴にして下さいと言ったじゃないですか」
「だれかに優しく手当てしてもらいたいのう。ついでに色々な所をマッサージしてくれれば、怪我の治りも早まるのだが」
王様がベンチに座り、甘えた声を出して両足を差し出したが、彼女は「フン」と、そっぽを向いた。
「マッサージならば、この私めにお任せくだされ」
魔女の指が王様の太腿に食い込む。
「ぎゃあ。痛い痛い!」
悲鳴を無視して容赦無く揉みしだく魔女。その様子を見たセーラー服の女子生徒が笑った。