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第59話 進展

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ストックが無くなりました。ここから週3回の更新となります。

ご迷惑おかけして申し訳ありません。今後ともよろしくお願いいたします。

 激しい戦いが終わり、路地に静寂が戻ってきた。リディアは息を整えながら、周囲を警戒の目で見回した。フェンとエレンも、まだ緊張を解いていない様子だった。


「大丈夫か?二人とも」リディアが声をかけた。


 エレンが頷いた。「ええ、なんとか…でも、フェンの傷が心配です」


 フェンは背中の傷を気にしながらも、笑みを浮かべて答えた。「大丈夫にゃ。エレン様の回復魔法でかなり良くなったにゃ。心配しないにゃ」


 リディアはフェンに駆け寄り、その肩に手を置いた。「フェン、お前が無事でよかった…君たちは俺にとって家族同然だ。どんなことがあっても守り抜くからな。だから、お願いだから無茶はしないでくれ。」


 フェンは目に涙を浮かべながら、リディアを見上げた。「リディア、ありがとにゃ。助かったにゃ。」


「フェン。気にするな。絶対黒幕見つけてぶっ飛ばしてやる!!」


 リディアは倒れた敵の死体を見つめながら、思案顔で言った。「この死体、衛兵に渡すべきかな…でも、それで全てが解決するとは思えないんだよな」


 エレンが眉をひそめた。「どういうことですか?」


「誰かが謎の組織に情報を流している可能性が高い。衛兵に渡しても、その情報が再び漏れる可能性があるんだ。これはあくまでも予測だが、今までの行動を見ていると、衛兵やギルドに報告した後で死体が無くなっている。当然、俺たちが去った後に斥候が処理した可能性もあるが、組織が大きいと仮定すれば、衛兵やギルドに組織の部下を潜り込ませるのは十分に考えられる。」リディアは真剣な表情で説明した。


 フェンが不安そうに尻尾を揺らした。「じゃあ、どうすればいいにゃ?」


 リディアは決断を下したように言った。「一旦、この死体は俺のアイテムボックスに仕舞おう。それから、二人を安全な宿屋まで送り届ける。その後はとりあえず待ちだな」


 エレンとフェンは驚いた様子だったが、リディアの判断を信頼して頷いた。


 リディアは慎重に死体をアイテムボックスに収納し、三人で宿屋まで向かった。街の人々の視線を避けながら、こっそりと宿屋に入る。


「二人とも、ここで休んでいてくれ。俺が戻ってくるまで、絶対に外に出るなよ」リディアは厳しい口調で言った。


 エレンが心配そうに尋ねた。「でも、リディアさんは大丈夫なんですか?一人で行動するのは危険では…」


 リディアが微笑みながら答えた。「心配するな。俺の強さは知ってるだろ?」


 フェンが心配そうに首をかしげた。「本当に大丈夫にゃ?」


 リディアはフェンの肩に手を置き、真剣な表情で言った。「ああ、心配いらないさ。俺が戻るまで、二人はここで待っててくれ。」


 フェンは安心したように微笑んで、「リディア、頼むにゃ。私たちは信じてるにゃ。」と言った。


 リディアはドアの方へ向かい、手を振りながら、「任せとけ」と言って部屋を出て行った。


 ドアが閉まり、リディアの姿が見えなくなった後、エレンとフェンは静かに視線を交わし、リディアの頼もしさを改めて感じた。


 エレンは深呼吸してから、「リディアさんにはいつも助けられてばかりだわ。本当に感謝してる。」と静かに言った。


 フェンも同じ気持ちを抱え、「そうにゃ。私たちも安心にゃ。」と言葉を添えた。


 エレンはフェンに微笑みかけ、「リディアさん、どうか無事に戻ってきてね。」と言って、リディアが出て行ったドアに向かって頭を下げた。


 フェンもその行動に続き、心の中でリディアへの感謝と無事を祈った。


 街を出て、森の入り口に向かうリディア。周囲に人気がないのを確認すると、「よし、誰にも見られてないな」リディアは安堵の息をつきながら、自分の街へ移動した。


 リディアの街に到着すると、すぐにリリィとロゼッタが出迎えた。


「リディアさま、おかえりなさいませ」ロゼッタが丁寧に挨拶をした。


「リディアさま、どうかしましたの?」リリィが心配そうに尋ねた。


 リディアは真剣な表情で答えた。「重大な問題が起きているんだ。二人に相談したいことがある」


 三人は部屋の一室に集まった。リディアはアイテムボックスから死体を取り出し、二人に見せた。


「これは…」ロゼッタが驚いた様子で言葉を詰まらせた。


「何があったの?」リリィが大きな目を見開いて尋ねた。


 リディアは深呼吸をして、説明を始めた。「実は、不法な奴隷狩りをしている組織の邪魔をしたら、襲われるようになったんだ。この死体は、俺たちを襲った連中の一人だ」


 ロゼッタが眉をひそめた。「奴隷狩り…それは許しがたい行為ですね」


「でも、なんでリディアさまが襲われるの?」リリィが不思議そうに尋ねた。


 リディアは少し躊躇してから答えた。「俺が…獣人の子供を助けたことがきっかけみたいなんだ」


 ロゼッタが理解したように頷いた。「なるほど。その組織が狙っていた獣人を助けてしまったわけですね」


「そうなの。でも、それだけじゃないの」リリィが真剣な表情で言った。「リディアさまを襲うってことは、リディアさまの正体を知っている可能性もあるの」


 リディアは驚いて二人を見た。「そうか…その可能性も考えられるな」


 ロゼッタが決意を込めて言った。「この事態を解決するには、まず死体の詳細な調査が必要ですね。スライムを呼んで解析してもらいましょう」


 リディアは頷いて、スライムを呼び出した。青く透明な体を持つスライムが現れ、死体の周りを這い回り始めた。


「スライム、頼むぞ。この死体について、わかることを全て教えてくれ」リディアが命じた。


 スライムは黙々と作業を続け、時折体の色を変化させながら解析を進めていった。


 その間、リリィとロゼッタは様々な対策を考え始めた。


「まず、情報漏洩の可能性について調べる必要があるの」リリィが提案した。「リディアさまの周りにいる人物を全て洗い出して、怪しい動きがないか確認するの」


 ロゼッタが同意した。「そうですね。また、この組織の目的についてもっと詳しく調査する必要があります。単なる奴隷狩りなのか、それとも他に目的があるのか…」


 リディアは二人の意見を聞きながら、黙々とメモを取っていた。「そうだな。それに加えて、俺たちの味方になってくれそうな勢力も探す必要がありそうだ」


「リディアさま、スライムの解析が終わったみたいなの」リリィが声をあげた。


 全員の視線がスライムに集中する。スライムは体の色を変化させながら、リディアに向かって情報を伝え始めた。


 リディアはスライムの報告を聞きながら、驚きの表情を浮かべた。「なるほど…これは予想外だな」


「どうなの?何かわかったの?」リリィが興味深そうに尋ねた。


 リディアは深呼吸をして、スライムの解析結果を説明し始めた。「この死体、普通の人間じゃないらしい。体内に特殊な魔法の痕跡が残っていて、どうやら何らかの実験を受けているみたいなんだ」


 ロゼッタが眉をひそめた。「実験…ということは、この組織は単なる奴隷狩り集団ではなく、もっと大きな目的を持っている可能性がありますね」


「そうなの。でも、それって怖いことなの」リリィが不安そうに言った。


 リディアは決意を込めて言った。「確かに怖いことかもしれない。でも、これで少しずつ真相に近づいているはずだ。俺たちで力を合わせれば、きっとこの問題を解決できる」


 ロゼッタが頷いた。「その通りです。それでは、これからの行動計画を立てましょう」


 三人とスライムは、夜遅くまで話し合いを続けた。


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