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第37話 防衛線 その3

お読みいただきありがとうございます。よろしければ、ブックマークや★の評価をお願いいたします

7月から土曜日と日曜日お休みします。それ以外は午前8時に投稿します。

ご迷惑おかけして申し訳ありません。今後ともよろしくお願いいたします。

 第37話 防衛線 その3


 遠くから土煙が立ち上がり、悪魔が迫っていることがわかった。さらに空にも飛んでくる悪魔の姿が見える。


「よし、落とし穴だ!」ソフィアが地面に手をかざすと、悪魔たちが次々と落とし穴に落ちていく。鋭い杭が彼らを貫き、一瞬で動きを止めた。しかし、向かってくる悪魔の1割程度しか倒せなかった。リリィが眉をひそめる。「思ったより数が多いのぉ…。」


 緊張が高まる中、ロゼッタが叫んだ。「魔法部隊、詠唱開始!」


 街の城壁の上に待機している魔法部隊は、二列に交互に並び、前列が魔法を放つと、5秒後に後列が続き、再び5秒後に前列が放つという連続攻撃を続ける作戦で隊列を組んでいた。彼らは魔力が尽きるまで撃ち続ける遠距離攻撃の部隊だ。これが上手くいけば、被害を最小限に抑えることができるため、非常に重要な役割を担っている。魔法は、火の矢や氷の槍を想定しており、悪魔たちの進行を阻むために放たれる。


 城壁のすぐ近くまで悪魔が迫り、土煙が激しく立ち上がっている。近づいてきた敵の圧力を感じ、ここだと判断したロゼッタが右手を前に突き出し、


「放てええええええっ!!」と叫んだ。


 彼女の声に応じて、魔法部隊が一斉に魔法攻撃を始めた。悪魔の血しぶきが舞い、叫び声が響き渡るが、魔法攻撃は5秒ごとに途切れることなく続けられた。


 長い間攻撃を続けていた魔法部隊だったが、魔力切れで倒れ込む仲間たちの姿が見え始めた。ロゼッタはすぐに状況を判断し、次の指示を出した。


「魔法部隊、攻撃終了!ゴブリンとオーク隊、進めぇぇっ!!」


 ロゼッタの号令に応じて、ゴブリンとオーク隊が前線に進み始めた。5人1組の部隊にスパイダーが加わり、一体となって敵に立ち向かう。ボーンズ、エヴァー、バルドも同時に前線へと繰り出し、激しい乱戦が繰り広げられる。


 バルドは前線で冷静に指示を出し続けた。「2つの部隊、左翼を固めろ!そこの隊、中央突破だ!スパイダーは敵の動きを封じ込めろ!」彼の指示に従い、ゴブリンとオークたちは一糸乱れぬ連携を見せ、敵に対抗していく。


 左翼へ突撃した部隊は、次々と迫り来る悪魔たちに応戦した。小柄ながらも俊敏な動きで敵を翻弄し、スパイダーの糸を利用して悪魔たちの足を絡め取る。鋭い刃で一撃を加え、次々と敵を倒していった。


 一方、中央突破を指示した部隊は、力強く前進した。巨大な体躯と圧倒的なパワーで悪魔たちを押しつぶし、突破口を切り開く。バルドは前線で指示を出しながら、自らも戦闘に参加し、敵を斬り伏せた。ボーンズとエヴァーも加わり、悪魔たちを次々と撃破していく。


「中央を押し切れ!」バルドの声に応じて、オークたちはさらに力を増し、悪魔たちを次々と倒していった。激しい戦闘の中、彼らの連携は完璧だった。


 戦場では、ゴブリンとオークが5人1組で連携して戦っていた。背中を預け合い、全方位からの攻撃に対応しながらも、互いに守り合うことで敵に背を向けるリスクを最小限にしていた。


 しかし、不意を突かれることもあった。ある時、悪魔の鋭い爪がゴブリンの一人を切りつけた。その瞬間、仲間の一人が素早く前に出て盾となり、他の仲間が攻撃を防ぐ。「今だ、急いで!」と叫び、負傷したゴブリンは背中を守られながら救護班へと駆け抜けた。


 街の指示に従い、ルミナが待つ救護班に到着すると、彼女がすぐに回復魔法をかけた。


「大丈夫よ、すぐに良うなるからね。」優しい声で励ましながら、ルミナは傷を癒していった。

 負傷した戦士は再び戦場へ戻る準備を整え、再度仲間たちの元へと駆け戻った。


 抜けた部隊の穴は、ボーンズ、エヴァー、バルドが埋め、戦線が押されないような工夫をしている。簡単な傷は、ポーションで直している。


 こうして、ゴブリンとオークはお互いを守りながら、絶え間ない連携で悪魔たちに立ち向かい続けた。


 セリーナ、フィオナ、そしてシャドーは空を飛ぶ悪魔に対応するため、空へと飛び立った。セリーナは炎の魔法を、フィオナは風の刃を放ち、シャドーは暗黒の矢を次々と放って敵を撃ち落としていった。


「ここはうちらに任せて!」セリーナが叫ぶと、三人は見事な連携で空中戦を繰り広げた。炎と風と闇の攻撃が交錯し、悪魔たちは次々と撃ち落とされ、空を覆う脅威が次第に薄れていった。


 セリーナは炎の魔法で空中の敵を焼き尽くし、フィオナは風の刃を駆使して敵の翼を切り裂いた。シャドーは暗黒の矢を次々と放ち、悪魔たちを地上へと撃ち落とした。彼らの連携は見事で、空中の脅威は急速に減少していった。


「フィオナ、こちらも援護をおたのもうします」セリーナが叫ぶと、フィオナは即座に応じ、風の刃をさらに強化して放った。悪魔たちはその攻撃に耐えきれず、次々と空から落ちていく。


「シャドー、上空の敵を片付けたら地上も援護しておくれやす!」シャドーは黙って頷き、暗黒の矢をさらに早いペースで放ち続けた。彼の矢は的確に悪魔たちの急所を狙い、次々と撃破していった。


 一方、地上ではゴブリンとオークたちが一進一退の攻防を繰り広げていた。敵の攻撃を受けて倒れる仲間もいたが、その度に他の仲間が盾となり、傷ついた者を安全な場所まで連れて行った。ルミナは休むことなく回復魔法を使い、負傷者たちを癒していた。


「ボーンズ、エヴァー、あの一団を押し返せ!」バルドの指示に従い、ボーンズとエヴァーは前線へ突進し、敵を一掃するための猛攻を仕掛けた。ボーンズは圧倒的な力で敵を叩き潰し、エヴァーは素早い動きで敵の背後を取り、致命的な一撃を加えていった。


「中央を押し返せ!」バルドの声に応じて、オークたちはさらに力を増し、悪魔たちを次々と倒していった。激しい戦闘の中、彼らの連携は完璧だった。


「ここで一気に押し返すんだ!」バルドの指示に応じて、全員が一丸となり、最後の力を振り絞った。彼らは一丸となって敵に立ち向かい、最後の一撃を加えていった。


 やがて、悪魔たちは完全に撃退され、街は再び平和を取り戻した。ボーンズ、エヴァー、セリーナ、フィオナ、シャドー、そしてバルドたちは深い息をつき、仲間たちと共に勝利の喜びを分かち合った。


「皆、よく頑張った。本当にありがとう。」バルドは仲間たちに感謝の言葉をかけた。


「うちらも、バルドの指揮のおかげさんで戦えたわ」セリーナが微笑みながら答えた。


「これからも全員で一丸となって街を守っていきましょう。」フィオナも力強く言った。


「そうやな。うちらは一つのチームや。」シャドーが静かに頷いた。


 バルドは仲間たちの言葉に感謝しながら、再び決意を新たにした。彼らは一つのチームとして、これからも共に戦い続けることを誓った。


 こうして、バルドたちは激しい戦闘を乗り越え、街を守り抜いた。彼らの絆はさらに強固なものとなり、これからの戦いにも立ち向かう力を得た。


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