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第15話 五星との修行

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 第15話 五星との修行


 深夜のダンジョンは不気味な静寂に包まれていた。その中で、リディアは魔法の力を集中させながら、気絶していたボーンズ、エヴァ―、そしてルミナに生命の息吹を吹き込んでいた。隣では、サクラが独特の「ジュラ~」という鳴き声で、緊張をほぐそうとしていた。


「さぁ、みんな、反省会の時間だ。」リディアは深刻な面持ちで仲間たちを見回し、続ける。


「今回の一番の失敗は、戦闘の最初でルミナを失ったことだ。それが要因でHP管理ができなくなり、結果的にタンク役のボーンズも戦線離脱してしまった。」


 リリィが重苦しい声で呟く。「リディア様の言う通りなの。ルミナがいなくなった瞬間、私たちの戦略が崩れ始めたの。」


 ルミナはゆっくりと頭を上げ、「あちきがもう少し周りを意識し、戦略的な位置を保つべきでありんした。次はボーンズはんにしっかりと守ってもらいんすわ」と反省の言葉を述べる。


 ボーンズは静かにうなずきながら、リディアを通して感情を表す。


 その時、シャドーが古風な言葉遣いで静かに言葉を挟む。「うちたちの絆は、この度の試練を経て、より一層強固なものになりました。ルミナはんの失敗も、ボーンズはんの戦線離脱も、次に生かす糧としまひょ。次は、もっと深い連携を見せれます」と前向きな提案をする。


 ルミナはシャドーの言葉に心から感謝し、「あちきどもの絆が、これからの試練を乗り越える力となることを信じておりんすわ。さぁ、次に向けて、再び力を合わせましょ~」と励ましの言葉を加えた。


 リディアはそのやり取りを聞き、一同の結束力の強さに心を打たれる。リディアは熱を帯びた声で、さらに力を込めて言った。

「その後のフォローアップが遅れた。バフとデバフのタイミングも、もっと研ぎ澄ませる必要がある。」


 リリィが小さな声で、「みんな、ごめんなさい。私がもっとコントロールできていれば…」と謝ると、五星の他のメンバーがリリィを励ましているようだ。


 リディアはそのやり取りを聞き、一同の結束力の強さに心を打たれる。そして、シャドーが疲労の色を隠しきれていないことに気づき、ふと思いついたように彼女に向かって言った。「シャドー、君の力をもう少し回復させる必要があるかもしれないね。少し、私の血を分けてあげようか?」


 !?

「えっ、本当ですか?」


 リディアの方に急いで駆け寄り、「ぜひぜひぜひ〜っ!!」と熱烈に頼んだ。


 リディアは、シャドーの熱意にリディアも少し戸惑いを隠せない。少し右手の人差し指を切り、血がにじみ出た指をシャドーに差し出す。シャドーはそっとその指を口に含んだ。

「おいしすぎます…。リディア様の血液は至宝どすえ。これ味おうたら、他の血は飲めしまへんよ」

 おう、おう…。まあ、彼女が喜んでいるなら良いか。


「では、明日はリリィを中心に、もう一度、チームワークを磨く練習をしよう。」

 リディアが決意を新たに言い放った。


 一同は、固い絆で結ばれたかのように一斉にうなずき、リリィを中心に次の戦略を練り始める。


「ミーティング、遅くなりすぎないようにな。休息も大切だから。」

 リディアが最後に優しい声で注意を促し、寝るための部屋へと向かった。


 この夜、挑戦と反省を胸に、彼らはより強固なチームへと成長するための一歩を踏み出した。


 私はというと転生後に初めてのベッド。嬉しい。

 さあ寝よ。Zzzzz


 リディアはその新しい世界での柔らかなベッドに身を沈めた。彼の心は、未知の冒険への期待でいっぱいになりながら、満足感に包まれてゆっくりと眠りに落ちていった。

 しかし、その深い眠りもサクラの愛らしい「ジュラ~♪」という声で、穏やかに、しかし確実に打ち破られた。

 新しい日の幕開けである。


 ダンジョンマスターとしてのリディアの野望は、ただの挑戦者にとどまらない。

 彼はこのダンジョンの最も深く暗い部屋に、自らが手掛けた究極の試練の場を創り上げていた。

 彼とその忠実な従魔サクラによる戦いが、影の守護者五星の真価を問う場となるのだ。

 この設計された戦いは、ただの試練以上の意味を持ち、五星にとって予期せぬ成長のチャンスを与えていた。


「くくく、DPダンジョンポイントを半分くらい使ったぞ。」

 リディアは微笑みながら呟く。

 彼の目には、挑戦への満足感と、仲間たちの未来への期待が輝いていた。

「いいのだ、戦力強化が最優先だからな。」


 翌朝、リディアは堂々と宣言する。

「おはよう。今日から、君たちと我々で再び真剣勝負だ。」

 その言葉は、ただの挨拶以上の重みを持ち、新たな日の始まりを告げると同時に、彼らの運命を大きく変える挑戦の幕開けを宣言した。


 この日から始まる戦いは、五星にとって、ただの訓練ではなく、真剣勝負。リディアとサクラとの戦いを通じて、彼らは自身の限界を超え、予想もしなかったほどの力を手に入れることになる。

 心躍るようなこの新しい朝は、彼らにとって新たな試練だけでなく、大きな成長の機会となるのだった。

 この独創的な戦いの中で、リディアとサクラは五星の前に立ちはだかる。

 リディアはダンジョンマスターとして、彼らの成長のために、自分たちを敵として設定したのだ。毎日の訓練と戦いは、五星にとって、ただの練習ではなくより強くなるための戦いだ。


 戦いの中で、五星は何度も危機に瀕する。

 罠にはまりリディアによる猛攻撃を受けた時、彼らは絶体絶命のピンチに陥る。

 しかし、リリィが勇気を振り絞り、仲間たちを鼓舞する。

「立ち向かうの、みんな! 今、私たちの絆を世界に見せつける時なの! 一緒に、この試練を打ち砕くの!」

 その言葉が、彼らに新たな力を与えた。


 リディアの狙い通り、このボス部屋での戦いは、五星にとって計り知れない成長の機会となった。

 彼らは、リディアとサクラとの激闘を通じて、自分たちの技術だけでなく、チームワークと結束力も大きくレベルアップさせることができた。


 一週間後、五星は以前とは比べ物にならないほど強くなっていた。リディアのこの独創的な訓練方法は、彼らを新たな高みへと導いたのだ。

 そして、五星はこれからの冒険において、どんな困難も乗り越えられる自信と力を手に入れていた。

 リディアの目論見通り、このダンジョンでの経験は、五星にとって価値ある宝物となったのだった。


 ▼エレン視点

 エレン、フェン、そしてセバスは、モンターニャの森の巨木の一つの上で一息つくことにした。

 地面よりも高い位置は、夜間の危険から彼らを守る安全な避難所となる。

 夜が迫る中、彼らは木の幹にもたれかかり、星空を眺めながら、一日の出来事を振り返る。


 エレンが穏やかな声で話し始める。

「今日も一日、無事に過ごせたわね。セバス、フェン、あなたたちがいてくれて本当に良かったわ。」

 フェンがにっこり笑い、「エレン様、私たちもエレン様がいてくれて安心にゃ。森は危険がいっぱいだけど、グラン王国まで頑張るにゃ。」


 セバスは、彼らが持っている食料に目をやりながら言う。「しかし、我々は食料のことも考えなければいけません。現在の食料はあと約3日分です。計画的に使っていく必要があります。」


 エレンが少し心配そうに言う。「そうね、食料を節約しながら、もっと安全な場所を見つける必要がありますわ。でも、みんなで協力すれば、乗り越えられますわ。」


 フェンが目を輝かせて提案する。

「森で食べられる果実やナッツもあるにゃ。私の獣人の感覚を使えば、きっと見つけられるにゃ!」


 セバスがうなずき、

「それは良い案です。フェンの能力を活かして、食料を補充しましょう。ただし、注意深く選ばなくてはいけません。森には有毒なものも多いでしょうから。」


 エレンが感謝の意を示す。「フェン、セバス、いつもありがとう。みんなで協力して、この困難を乗り越えていきましょう。」


 夜が深まるにつれ、彼らは木の上で互いに寄り添い、暖を取り合う。

 エレンは小さな火を点け、彼らが持っている乾燥食料から少し取り出して分け合う。

 食事の後、彼らは明日への計画を立てながら、お互いの安全と成功を祈り、眠りにつく。



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