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第10話 ダンジョン2

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 第10話 ダンジョン2


 ゲホ、ゲホ。


 不意に空気が重くなり、リディアが声を上げた。「苦しい〜」。彼の周囲は、まるで悪夢のように紫色の霧で満たされている。それは静かに、しかし確実に彼の体を蝕んでいく。皮膚を這うような痛み、血管を駆け巡るような灼熱感。


 上を見上げれば、そこにはサクラがいた。彼女は何とも言えない表情で、口を大きく開けている。その牙からは、綺麗な紫色の液体が一滴、また一滴と、重力に従ってリディアの肌へと滴り落ちていく。


 現在、猛毒に侵されているリディアです…。



 ▼2時間前


 サクラの進化がついに完了した。新しく進化したサクラは愛情深く、リディアに顔をスリスリと寄せてきた。リディアは、その愛らしい行動に応えて優しく撫でた。


 その瞬間、リディアはひらめいた。これから先、毒を持つ敵と遭遇することが増えるかもしれない。そこで、毒耐性を得ることの重要性をふと思いついた。状態異常に対する耐性は、持っていて損はないに違いない。


「サクラ、ちょっとお願いがあるんだ」とリディアは切り出した。「君の毒を、少し俺にかけてくれないか?」


 サクラは、首を傾げてリディアの言葉を聞いた。「シャー?」と不思議そうに鳴き、彼の顔をじっと見つめる。


 リディアは続けた。「これから毒を持つ魔物と戦うかもしれないし、麻痺にも耐えられるようになりたいんだ。だから、まずは毒から克服しようと思ってね。そのためには、君の協力が必要なんだよ」


 サクラは、リディアの頼みを理解したのか、まだ少し心配そうに彼を見つめていた。「シャー?」と再度鳴き、リディアの決意を確かめるかのようだった。


 安心してください。

 マゾじゃないですよ(汗)


 リディアを少し可哀想な目で見つめるサクラ。彼女からは安心を完全には感じ取れないようだ。リディアは自分に言い聞かせる。「サクラもそう思うよね…でも、大丈夫だ。リジェネと組み合わせれば、きっと毒耐性は克服できるさ。」


 ダンジョン内でこの試みをする必要はないかもしれないとリディアは考えた。彼らがいる場所は、魔物の気配が一切ないセーフエリアだったからだ。「でも、チャレンジしてみる価値はある。」と自分に言い聞かせる。


 OK!

 OK!


「さあ、頼んだよ、サクラ。」リディアがサクラに向かって言う。そして、その瞬間から物語は、冒頭の緊迫したシーンへと戻っていく。


 リディアはゆっくりと体内を侵食する毒の痛みに耐えながら、サクラの表情を捉える。彼女は、「もうやめた方がいい?」という表情を浮かべているが、それでもリディアに毒を垂らし続ける。


 痛覚耐性があるはずなのに、このじわじわと広がる痛みは別格だ。リディアは思う、先ほど戦った魔物から受けた傷の方が、まだ痛みはマシだったと。


 ゴホッ、ゴホッ。


 彼は咳き込むが、毒耐性はなかなかつかない。時間だけが遅々として流れ、サクラもついに毒を垂らすのを止め、ただ見守ることしかできない。


 1時間が経った頃だろうか、徐々に痛みは薄れていく。息苦しさは残るが、それに取って代わるように少しずつ安堵が訪れる。


 その時、リディアの内なる声、ノエルが響いた。「マスター、ステータスをご確認ください。通常の毒耐性を越え、猛毒耐性が身につきましたよ。これは非常に稀で貴重な進歩です。」


 咳き込む回数も減り、サクラもリディアの変化に安心した表情を見せる。その姿はリディアにとって、大きな安らぎとなる。


 リディアがステータス画面を開くと、そこには「猛毒耐性」の文字が新たに輝いていた。


「きた!きたぁぁぁぁっ!!」彼の心の中で歓喜の叫びが響く。ついに求めていた毒の耐性が、手に入ったのだ。しかも猛毒耐性!!




 リディアはまだ体調が完全ではないが、毒による悪影響はほとんど感じない。彼は自らを毒から解放するため、水魔法を使って体と服を丁寧に洗い流す。そして、「ドライヤー」と呼ぶ火魔法と風魔法の組み合わせで、すばやく体と服を乾かした。


「さあ、ダンジョンの探索を続けるか。周回できるかは分からないけれどもね。」


 リディアとサクラが一緒に進んでいくと、やがて分かれ道に達する。リディアは迷わず左へ。「悩んだときは左でしょ」とつぶやきながら進むが、それは行き止まりだった。しかしそこはモンスターハウスで、ダンジョンの進路としてはむしろ幸運だった。モンスターハウスとは、ダンジョンの罠の一種で大量に魔物がいる部屋だ。


 リディアは新たに考案した魔法、「魔法弾ガトリング」を発動させる。「魔法弾ガトリング、発射!」と叫びながら、魔法弾を連射した。ガガガガガガという音と共に、大半のモンスターが一掃される。


 残るはギガントスらしき大型の魔物2体とライオンのような魔物1体だ。リディアは足元に沼を作り出し、衝撃波で攻撃する。1体のギガントスは倒れるが、もう1体が巨大な棍棒で地面を叩き、攻撃してくる。石が飛んでくるため、リディアは障壁で防ぐが、距離を詰められてしまう。


「ブワッ!ガキっ!!」足蹴りされた衝撃で吹き飛ばされるが、リディアは障壁で何とか耐える。「くっ…」と息をつきながら、吹き飛ばされる体勢から魔法弾をギガントスに向けて発射。「ガガガ」という音と共に、最後のギガントスも地に倒れる。


 一方、サクラはライオンのような魔物に対して攻撃を開始する。目が輝いたかと思うと、紫色の光線が直線に飛び、魔物を一撃で倒す。


「おいおい、サクラって本当にすごいな!」リディアは感嘆する。「光線だよ、光線!さすがファンタジーの世界だ。」


 主人公のステータス

 レベル:54(UP)

 名前:リディア

 種族: エルフ(48歳)

 性別: 男

 魔法:

 火魔法 レベル2(UP)

 水魔法 レベル6(UP) 

 風魔法 レベル9 

 土魔法 レベル8(UP) 

 光魔法 レベル9

 スキル:

 ユニークスキル「AI」 

 ユニークスキル「アイテムボックス」 

 錬金 初級

 魔力操作 中級(UP)

 身体強化 中級(UP)

 麻痺無効

 猛毒耐性(NEW)

 痛覚耐性

 テイム:

 白蛇サクラ

 称号:

 世界を超えたもの(言語理解、隠蔽、鑑定) 


 ▼サクラ視点

 サクラはリディアに毒を垂らす役割を担っている間、彼の苦しみに心を痛めていた。リディアが一つひとつの苦痛に耐える姿を見て、彼女の心は揺れ動く。


 リディアがまた一度、苦しげにゲホゲホと咳き込んだとき、サクラはほとんど耐えられなくなっていた。「あるじ…もう、やめようか?」彼女の声は心配でいっぱいだったが、彼女には声を出すことができない。だから、その問いかけは心の中でただ響くだけだった。


 リディアは痛みを押し隠しながら、強い意志を持って応えた。「いや、大丈夫だ。これで強くなれる。」彼の言葉は、サクラの心に直接響いた。彼がこの試練を乗り越えたいと願っていることを、彼女は感じ取っていた。


 サクラは再び毒を垂らし始める。彼女の心は葛藤でいっぱいだが、リディアの成長と安全を最優先に考えていた。「あるじ、本当に…大丈夫?」彼女は再び心の中で問いかける。彼女にとって、リディアの安全は何よりも重要だった。


 リディアが苦しみながらも勇敢に耐え続ける姿を見て、サクラは彼の決意を尊重することを選んだ。「リディアのためなら…」と彼女は心の中でつぶやく。サクラはリディアがこの試練を乗り越え、彼らの冒険がさらに進むことを願っている。


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