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第1話 転生

転生ものを書いてみました。

 息苦しい満員電車での通勤は、朝から体力と精神力を無情に削ぎ、会社に着けば、終わりを知らないブラックワークが待ち受けている。

 夜中を指す時計の針と共に、仕事の山は高く積まれ、家への帰路はまるで重りを背負ったように重たい。


 家のドアを静かに開けると、静寂が優しく迎えてくれる。

 居間の灯りをつけずに、冷蔵庫からビールを手に取り、疲れ切った身体をソファに預ける。

 冷たいビールが喉を通ると、一日の疲れと静かに対峙する。

 無言のため息が部屋に響き渡り、心の隅々まで深く響く。


「いつになれば、この連鎖から解放されるのだろうか・・・。」


 そんな思いを抱きながらベッドに横たわり、今日もまた、疲れに負け眠りにつく。

 この終わりのない疲労感は、日常ではなく、生きる力を削ぐ毎日の戦いだ。

 目を閉じれば、明日の戦いが待っている。

 だが、この夜、疲れた心がほんの少しの安らぎを見つける。

 夢の中でだけは、束縛から解き放たれ、自由を感じられるから。


「%d&e*PP」

 深夜、突如として意味不明な言葉が頭の中を駆け巡る。

 目を覚まし周囲を見渡すが、そこは自分の部屋ではなく、無限に広がる真っ白な空間だった。


 えっ、これは何だ?心の中で疑問が渦巻く。


「おまえを異世界に転移させる。おまえは選ばれし者だ。どのように転移するか、自分で選べ。少し時間をやろう。」


 この声は一体何なのか?

 疲れが原因で錯覚しているのか?

 自問自答しながら、左右を見渡すが、視界に映るのはただ真っ白な空間だけだ。

 明らかにここは自分の部屋ではない。

 この現実離れした空間、突然の異世界転移の話。

 全てが現実感を失い、まるで夢の中に迷い込んだかのような錯覚に陥る。


 しかし、この空間のどこかに、疲れ果てた日常からの脱出口があるのかもしれない。

 そう考えると、心の奥底から湧き上がる期待感が、疲れた心を少しずつ満たし始める。

 この不可解な声に従って、果たしてどんな世界が待っているのだろうか。興奮と不安が入り混じりながら、新たな旅の始まりを予感させる。


「これは一体、何の兆し?もしかして、過労が原因で心が錯乱しているのか?」

 自分に問いかけても、答えは闇の中に消えていく。

 視界を左右に巡らせると、目に映るのは終わりの見えない真っ白な空間。

 ここが自分の部屋だという確信は、霧散してしまった。


「ステータスと言えば出てくるのかな?」

 そんな言葉を試しに呟いてみる。

 この状況、まるで好きなライトノベルの中の一ページのよう。

 説明一つないままに、突如として異世界の扉が開いた。


 だけど、これはまさに日々の疲れと戦う現実から一瞬にして脱出し、夢にまで見た異世界の主人公となるチャンス。


 ぐふふふ。

 やばいぞ。ワクワクする!!

 心の中で湧き上がるこの興奮、まるで新たな冒険が始まる瞬間を予感させる。

「ステータス」と声に出すと、未来から来たかのような透明なアクリル板がふわりと目の前に現れる。

 未来感がすごい。

 スクリーンに浮かび上がるのは、まるでゲームのキャラクター作成画面を彷彿とさせる項目たち。


 アクリル板のようなスクリーンには、文字が書かれていた


 ・名前

 ・種族

 ・性別

 ・魔法

 ・スキル

 ・ポイント 1000


 ゲームのようなステータス画面だった。

 転生前にRPGでポイントやサイコロ振ってキャラメイキングしたなぁ~。なんて考えながら考える。


 さて、異世界の転移だったら、適当に決めたらいかんわ。英雄にもなりたくないけど、簡単に死にたくもない。強くなければ自由も手に入れられないだろう。


 人が生きていくのに必要なものは・・・

 ・水

 ・治癒

 ・錬金

 ・運

 ・状態異常無効

 くらいか。しかし、これでは敵は倒せそうにないな。


 まあ、魔法はロマンだからなぁ。


 魔法やスキルも選ぶとポイントが減るようだから1000ポイントを考えて振ろう。


 定番のアイテムボックスは150ポイントと高いが、その必要性は譲れない。

 また、種族にエルフを選ぶことで魔法のコストを節約できるのは魅力的。

 やはりイケメンはゆずれないよね!!


 だよね?


 エルフを選択した瞬間、風魔法、土魔法、光魔法のレベル5が手に入る。

 ラッキー!


 回復魔法は、聖魔法が定番だが光魔法に集約されているのか。

 せっかく転生するのだから、死ぬわけにはいかない、せっかくの異世界転生だ。

 死んでこの空間にいるのかは謎だが、本能的に生き抜く道を選びたい。


 異世界ならではの魔法で、光魔法をレベル9まで強化し200ポイントを投資。

 これで残りポイントは650。

 料理や日常生活で必要な火魔法も習得し、土魔法を少し強化して、合計で50ポイントを使用。

 世界を超えたものということで「言語理解」「隠蔽」「鑑定」が手に入る。

 まさに新たな世界でのチート能力。


 未知の世界で生きる上で、戦略的思考は必須。

 そして、どんな状況でも対応可能なAIのような存在があれば、生き抜く確率はさらに上がる。

 ポイントを慎重に配分し、異世界での自分を構築する。


 主人公のステータス

 レベル: 1

 名前:リディア

 種族: エルフ(48歳)

 性別: 男

 魔法:

 火魔法 レベル1

 水魔法 レベル5 

 風魔法 レベル9 

 土魔法 レベル6 

 光魔法 レベル9

 スキル:

 ユニークスキル「AI」 

 ユニークスキル「アイテムボックス」 

 錬金 初級

 麻痺無効

 称号:

 世界を超えたもの(言語理解、隠蔽、鑑定)


 注意しなくてはならないのは、自分が選んだスキルが存在するということは、新たな世界にも同じスキルを持つ者がいる可能性があるということ。

 それは、想像以上に刺激的な冒険が待っているという証拠だ。


 生き抜くことを最優先に、この未知の旅を楽しんでみようじゃないか。


 RPG愛好家を侮ってはならない。

 ダンジョンを何度も周り、敵を次々と打ち倒すことの興奮、それは純粋なワクワクそのものだ。


 これはまさに、新しい世界で新しい自分を発見する旅の幕開け。


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