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魅惑のプリン

作者: 清来なる

「ねぇ、私プリンが食べたの。」

どんな困難があってもプリンを追い求め続ける、双子の姉マリンと妹ライチの物語である。

さぁ、あなたはどうやってプリンを手に入れますか?


双子の少女、マリンとライチはまだ5歳。

姉のマリンは短気で執着心が強く、欲しいものはどんなことしても、掴み取るまで探し続ける女の子、妹のライチは好奇心旺盛でわがままな女の子。

15時になるとおやつの時間がやってきて、必ずプリンと決まっていた。

小さい時からママの作るプリンが美味しくていつも食べていたから。

プリンは日によって違い、カスタードプリンの日もあればチョコレートプリンの日もある。

どちらも魅力的でマリンもライチも目をまん丸にしながら、おやつの時間のプリンを2人で楽しみながら待っていた。

「ねぇ、ライチ今日はどっちかな?」

「昨日はチョコレートプリンだったから、今日はカスタードプリンじゃない?」

「私もそう思ったの。でもね、ライチ今日はチョコレートプリンだと思うの。なんとなくだけど・・・。」     

「マリンの勘というよりもただ食べたいだけでしょ?(笑)」

「ぷーん・・・」

と、ワクワクしながらプリンを待っていた。

だけど、おやつの時間になってもプリンが出てこない。なんでだろう・・・。

「毎日同じ時間に、プリンはあるのに何で来ないの?」とおかしいなと思いながら、マリンはライチに聞いてみた。

「じゃあ、良いこと思いついた!ママがいつもいるキッチンに行ってみようよ。」と、ライチの提案で2人はママのいるキッチンに行った。

でも、そこにはママはいなかった。2人は戸惑いながらもママを探した。

するとライチがキッチンにあるテーブルに置かれていた、置き手紙をを見つけこう書いてあった。

「究極のプリンを作りに、おばあちゃんのところに行ってきます。」と。

2人は究極のプリンって何だろうと考えたが分からず、とりあえずおばあちゃんの家に行こうと決心した。

赤い水筒を肩にぶら下げ、お気に入りのスプーンを片手に持ち、マリンとライチのプリンによる旅が始まった。

お婆ちゃんの家は、すぐ隣の一軒家。

2人はお婆ちゃんの家につきインターホンを鳴らした。

でもお婆ちゃんは出てこない。インターホンを3回鳴らしてみたけれど出てこなかった。

次第にマリンは苛立ち始め、ドアに向かってこう言った。

「何で出てこねぇんだよ!早よ出てこい。こっちは、ママのプリンが食べたくて来たんだよ。」と。

そうマリンは、苛立つと人が変わったように言葉遣いが悪くなる女の子だった。

それを見たライチは、「お婆ちゃん、開けるね。」と一言。

2人はドアを掴み、開けた。

人がいる気配がなく、居るはずのママとお婆ちゃんを必死に探した。

だけど、探しても見つからなかった。

こんなに探したのに何でいないのか分からなかった。

マリンは疲れ果てたように、居間に座り込み赤い水筒に入っていた梅こんぶ茶を飲んでいた。

そんな時、ライチは二階のある部屋から何かを感じとりドアを開けた。

シーンと静まった部屋から、何かおかしいとある違和感をもった。

とりあえず、マリンを呼ぼうとマリンの居る一階の居間に急いで走った。

そして、ライチはマリンにその違和感を話した。

「ねぇねぇ、マリン不思議な部屋があるの。だから一緒に来て。」と言い、ライチは再び二階の部屋へ行き、ライチが違和感を感じたことをマリンに伝えた。

「マリン何か感じない?この部屋おかしいの。なんか凄く甘い匂いがするの。」

「確かに甘い。でもここにキッチンはないよね。それにしても、この甘い匂い嗅いだことある。」

2人はしばらく考え、ハッと思い出したかのようにこう言った。

「プリンの匂いだ。」

そして、このプリンの匂いが一番強くなっているところを探し、ようやく見つけることができた。

安心したのも束の間、2人はある疑問に思った。

「ねぇ、マリン。何で床から甘い匂いがするの?」

「だよね。ここ床だよ。おかしいよね。」

そう、一番甘い匂いがしたのは床からだったからだ。

2人は床を触り、何かおかしなところはないか調べていると、一部だけ少し浮かんでいるところがあった。

「これって、もしかして隠し扉?」

「まさか。テレビの見過ぎじゃない?」

「だったらなんで、ここが浮かんでいるの?」

「確かにそうだけど・・・。」

「ねぇ、とりあえず引っ張ってみようよ。」

そして2人は力を合わせ思いっきり引っ張り、開けることができた。

先が見えない程に続く、暗い道には滑り台のようなものがあり、2人は驚いた。

「ねぇ、ライチ行ってみようよ。楽しそうだよ。(笑)」

「この先にプリンがある。早く食べたい、絶対私がプリンを先に食べるんだから。」と怖がるどころか、冒険のように2人は楽しんでいた。

そしてマリンが先に行こうとした時、ライチが先に滑って行き、続いてマリンが滑った。

2人は、プリンの匂いがどんどん強くなりたびにプリンの歌を歌った。

「プリン〜プリン〜あま〜いプリン♪ 少し苦味のカスタードプリンにあま〜いチョコレートのプリン♪

今日はどっちかな〜どっちかな〜♪ママの作るプリン〜、少し硬めで口に入れるたびプリンの濃厚なハーモニー〜♪プリン〜プリン〜あぁ、早く食べたい〜ママのプリン〜♪究極のプリン〜♪」

と今の感情を、そのまま歌にした。

そして、もうすぐ着くところなのか奥から光が見え、進むにつれ次第にその光は大きくなり遂に到着した。

先にライチが着いて、後にマリンが来た。。

2人の目の前には、大きなキッチンがあった。

そして、嬉しそうに「見つけた!」と大きな声で大喜びした。

辺りを見渡したが、ママとお婆ちゃんの姿は見当たらなかった。

でも2人の目の前にはプリンの材料があり、ここが ”究極のプリン”がある場所ということは分かった。だから、その究極のプリンを求め前に進むことを決めた。

しばらく歩くと、ピンク色の扉がある部屋があった。

何やら話し声が聞こえたので、2人はドアのところまで行き、その隙間からそっと耳を近づけた。

すると、2人は顔を合わせて「ママとお婆ちゃんの声だ。」と小さい声で言った。

そう、やっとママとお婆ちゃんを見つけ2人は思いっきりドアを開けた。

ママとお婆ちゃんは驚いた顔をした。

でも、ママは優しいから怒らず一度落ち着き、ニコッと微笑みながらこう2人に言った。

「よく頑張ったね。」と。

2人は、その言葉を聞きママに抱きついた。

そして、2人はママに問いかけた。

「ねぇ、ママ。プリン食べたい。究極のプリンが食べたいの。」

ママは、嬉しそうに話した。

「出来ているわよ。とても美味しい究極のプリンだよ。一緒にプリン取りに行こうか。」と言い、3人は、プリンのある場所に向かった。

そして到着し、ママは冷蔵庫を開けプリンを取り出した。

「はい、究極のプリンだよ。」と見せられたのは、チョコレートプリンとカスタードプリンが半分ずつになって、それが一つのプリンになっていた。当然、2人は予想外でとても嬉しくて堪らなかった。

ママはこの究極のプリンの説明を始めた。

「カスタードプリンは、カラメルソースを少し硬めにつけていて、チョコレートプリンと混じらないよう工夫したの。マリンもライチも両方好きって言ってたから、お婆ちゃんに教えてもらって今までとは違う究極のプリンを作ったの。どう?喜んでくれた?」

「うん。とても嬉しい。早く食べたい。」と2人は、目をきらきらにさせていた。

「じゃあ、食べようか」とママは2人に話した。

そしてママは、マリンとライチのプリンを冷蔵庫から取ろうした時ハッとした。

究極のプリンが一つなくなっていた。

ママは、2人に悲しそうな顔で謝った。

「ごめん。プリンが一つ足りないの。2人で仲良く食べよう。」

2人は唖然とした。

マリンは少し苛立っていたが、食べられることには変わりないと思い、ママに「早く食べよう。」と言った。そして、冷蔵庫からとった究極のプリンを2人に渡した。

その時、マリンが先に掴んだ。

ライチも負けじと掴み、引っ張り合いになった。そしてその引っ張り合いにより、お皿ごと宙に舞い、そのまま究極のプリンは地面へと落下した。その時の光景はゆっくりと見えた。2人はさらに唖然とした。

次の瞬間2人の目には究極のプリンが映った。

あるはずもないもう一つの究極のプリンが、なぜかお婆ちゃんの口に入っていくのが見えた。

そしてその希望を2人は掴もうと、お婆ちゃんの元へ行き食べさせてもらおうとした時、もう遅かった。

マリンとライチは、また唖然とし言葉を失った。

そして、執着心の強いマリンはおばちゃんに言った。

「それってもしかして、マリンとライチの分のプリンだったよね?」

お婆ちゃんはその問いにこう答えた。

「てへ、作ってたら食べたくなっちゃって我慢できずこっそり食べちゃった。(笑)ごめんね。(笑)」

微笑みながらマリンに謝った。

おばあちゃんは、マリンとライチがここまで来れると思わず、ママにも内緒で自分の冷蔵庫に隠していた。

怒り狂ったマリンとライチは、そのことを知り2人はママにこう言った。

「なんでお婆ちゃん、私たちもプリン食べちゃったの。悲しいよ。食べたかったからここまできたんだよ。」2人は疲れ果て、それを伝え終わるとママの膝枕に2人は泣きながら最後にポツリといって眠りについた。

「ねぇ、私究極のプリンが食べたの。」













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