久しぶりの再会
コーヒーショップを出て、俺は、【梅の心】にやってきた。
「いらっしゃい。個室にきとるで」
「ありがとう」
個室に行くと、きざと美がいた。
「お疲れ」
「お疲れ、やり直したん?」
「何でや?」
「それ」
俺は、指輪をさした。
「うん、実はな。」
「へー。よかったなぁ。きざ」
「うん、ありがとうな。九君は?」
「あー。八君とデートのままやわ」
「うまくいったんやね」
「そうやな」
大将が、ビールを持ってきた。
「これ、若ちゃんと芽衣子ちゃんに」
「おっちゃん老けたな」
「美ちゃんが、来るんが久々すぎやったんやで。きざ君もな」
「これからは、ちょくちょく来ますんで」
「せやな」
『大将、開いとる?』
「お客さんやから行くわな。適当でええんか」
「かまへんよ」
大将は、お客さんの元へ行った。
「梅井芽衣子からとったんやろ?梅の心」
「そうやった。梅井芽衣子の心って意味でつけたらしいで。ちょっとしか知らんのに、おっちゃんは情に厚いわ」
「そやな」
「若と芽衣子に」
「乾杯」
そう言って、俺達はビールジョッキを合わせた。
「結婚式は、するん?」
「写真で充分かなって、思ってるけど」
「勿体ないやん。美、綺麗やから、みんなに見てもらわな」
「見てもらうもんやけど、俺はいややな。」
「きざのヤキモチは、変わらんな」
「せやろ?私も、思った」
二人と居るとあの頃に、戻ったみたいやった。
「今日は、九君呼ばんのやったら、誰呼んだん?」
「あー。三呼んだ」
「三君かぁー。久々やわ」
「俺も若の葬式いらいやわ。若は入院中、よう会いよったみたいやけどな」
「えー。そうなんや。俺なんかお見舞い二回ぐらいしか行けんかったわ」
「私は、一回もやし。亡くなったんも、弟君に聞いたよ」
「美は、きざと別れてたしな。しゃーないよ。」
「うん。若と生きてるうちにもっと話したかったわ」
「そやな」
俺は、ビールを飲んだ。
「なんや、辛気臭い顔やな。久々やねんから、もっと楽しい話せんな」
大将は、若が好きやったメニューを差し出してきた。
「若スペシャルやで。自分等きたらこれに決まりでええか?」
「いいよ、いいよ。何も考えんでええから助かるわ」
「きざは、昔からメニュー悩むもんな」
「せやなー。」
「焼酎おろした方が、安いで」
「じゃあ、焼酎ください。」
「はいよ」
大将は、出ていった。
「なぁー。きざのオムライス事件覚えとる?」
「覚えてる。みんな決まって注文運ばれてきてんのに悩んでたやつな。」
「芽衣子がキレて、先帰ったやろ?美もやけど」
「だって、オムライス悩むん一時間やで。それは、私も帰るよ」
「懐かしいなー。そんなきざがプロボーズ、出来るん奇跡やな」
「せやろ?俺かてやる時はやるよ」
「何、偉そうにゆってんのよ」
俺達は、下らない話を繰り返す。
「三君、遅ない?」
「ほんまやね」
そう話した時に、三がやってきた。
「遅れて、すんません」
「あー。懐かしいな。三君」
「きざ君ですか?久しぶりです。」
「あんまり、話した事なかったから嬉しいわ。こっちは、婚約者の夏目美です。」
「夏目さん、初めまして」
「初めまして」
三がやってきて、俺達はまた下らない話を繰り返した。
「あっ、そろそろ。帰るわ。終電ヤバイから」
「俺も帰るわ。これで、足りるか?足りんかったら、また次で」
「気ぃつけて、帰れよ」
「うん、じゃあね」
「またな」
「またね」
美ときざは、帰っていった。
「昔話に花咲きまくりやったね。」
三は、俺にそう言った。
「そやな、高校の話ばっかりで下らんかったんやない?」
「いや、楽しかったよ。知らないたつくんも知れたし…。」
「そやな」
「今日、九は?」
酔っ払った俺は、余計な事を言ってしまった。
「あー。八って人とおるよ」
「なんで?」
「三は、知らんことやから気にすんな」
「付き合ってんのか?」
「なんで、三が怒ってんねん」
「別に…」
「どやろな?九は、好きそうやったけどな。」
「俺、明日早いから先帰るわ。これで、足りる?ごめんな。竹君」
「気にせんで、ええで。気ぃつけや。またな」
俺は、三に手を振った。
酔ったのに寂しいやん。
プルル
『もしもし、竹兄』
「今日、会える?」
『梅の心、今から迎えに行こか?』
「うん、待ってるわ」
プー、プー
俺は、焼酎を飲んで時計を見る、
明日は、有給とっててよかったわ。