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竹の恋

「ほんなら」


「待ってや、話しよや」


「ごめん、予定あるから無理やわ」


俺は、若を見ずにそう言った。


歩きながら、スマホで電話をする。


プルルル


『はい』


「あの、はるさんに紹介されて」


『あー。成人式のお兄さんですね』


「はい」


『じゃあ、駅で待ってます。目印は、緑のマフラーです。』


成人式、会場近くの駅に男子中学生は立っていた。


この近くの中学の制服を着ていた。


「あの、竹です。」


「あー。お兄さん。昴です。よろしく」


キラキラ輝いていた。


「今日は、どうしたらいいんかな?俺、初めてやから」


「じゃあ、僕に任せて。」


そう言うと彼は、恋人繋ぎをしてくる。


「どこまで、いきたい?僕は、どこまででもいいけど」


「旅行は、無理やな。明日、バイトやし」


「ハハハ、お兄さん、天然?そっちじゃないから」


俺は、顔から火が吹き出そうになった。


「まさか、童貞じゃないやんね?」


「まさか、ちゃんとそれは卒業してる。」


「そうやんね。お兄さんみたいなイケメンが、初めてなんてないやろうし。気にしないで」


「ありがとう」


「何で、こっち側に?興味あんの?」


「わからん。幼なじみの弟にキスしてもうて。ほんで、そっちかな?って…」


「で、僕で試してみようと?」


「あー。ごめんな。」


「謝らんといてよ。むしろ、こんなイケメンに会えるなんてラッキーだから」


昴は、思ったよりも可愛くて…。


俺は、すぐに気に入った。


出会いは、おかしかったけれど…。


俺は、昴を大事にしたかった。


それは、5回目のデートが終わった夜だった。


「お兄さん家の近くにきちゃってんけど」


「えっ?今、でるわ」


俺は、家から飛び出た。


「昴、寒いやろ?どないしたん?」


俺は、コートを着せた。


制服にダウンもコートも羽織ってない昴はガタガタと震えていた。


「家に帰りたくないねん。」


「何か、あったんか?」


昴は、マフラーで隠してる頬を見せた。


「殴られたんか?」


「うん。お父さんに…。怖いよ」


「せやな。家は、無理やからどっか泊まろか?お金とってくるから待ってて」


「うん」


俺は、急いでお金とダウンを持って走ってきた。


「行こうか?」


「うん」


昴と行こうとした、俺の腕を誰かが掴んだ。


「竹、それ淫行やぞ」


「若、離せや」


「そいつに、騙されんなや」


そう言って、若はスマホを見せてきた。


「何これ?嘘やろ?昴?」


「ああー。邪魔せんとってくれへん。やっと、ホテルに行けたのに。邪魔すんなや。おっさん」


「邪魔するわ。俺の親友をはめようとすんな。クソガキ」


「ああー。うぜー。」


「昴?どないしたん?」


(さわ)ろうとした腕を振り払われた。


(さわ)んなよ。キモいからおっさん。」


コートを投げ捨てられた。


「はるさんの知り合いじゃなかったん?」


「知り合いだよ。はるさんは、しらんから大丈夫。最近、つれんからはるさんの紹介相手で遊んでたんやけどね」


「昴、嘘やろ?」


「嘘ちゃうし。その人が見せた通りだから…萎えたし帰るわ。じゃあ」


「昴」


「もう、やめとけ」


俺は、若に腕を掴まれた。


「離せ、離せや。若に何がわかんねん」


「わからんよ。やけど、竹は15歳でおかん亡くして自分がとまってるから、その歳の子を好きやって勘違いしとるだけや。自分の欠けた部分を補いたいだけや。」


そう言われて、俺は膝から崩れ落ちる。


友達のスキと恋の好き、俺にはちゃんとわからなかった。


あの頃は、スキと好きの境界線が曖昧だった。


ただ、昴を好きになりかけていたのは確かで。


昴のお陰で、(きゅう)への気持ちが消えていったのは事実で…。


俺が、逮捕されないようにしてくれたのは若で…


若を悲しませる事は、これ以上したくなくて…


俺は、未成年を好きになった自分の気持ちに蓋を閉めた。


その蓋が、また開く事になるなんて思わなかった。


俺は、また若を裏切るのだった。



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