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三(さん)の秘密

【今日、おいでな。待ってるで】


竹君からのLimeを見つめていた。


(きゅう)が、こーへんのやったらお腹痛いって断ろうかな?


たつくんは、亡くなる3ヶ月前、俺だけを病室に呼んだ。


「しんどいんやない?」


(さん)の顔見たら、元気になった。なった。」


たつくんが、少しずつ痩せていくのを感じていた。


(さん)九你臣(くにおみ)に合わせて、合コンに行かんでええんやで」


そう言って、たつくんは笑ってくれる。


「無理してへんから」


「嘘つくな。その気持ちは、もう恋やで。(さん)


「な、わけないやんか。こんなん恋なわけないやんか」


「それゆったら、嫌われる思ってんのか?」


たつくんは、俺の頭を撫でる。


「ちゃんとゆうてみ、嫌いにならへんから」


「たつくんは、(はち)さんが好きなんやろ?」


「ちゃんとゆうてみ。(さん)


「俺の答えも聞かせてよ」


「好きやで。(はち)が…。でも、会われへんから。いつか、(きゅう)が会ってくれるやろう」


「ほんで、(はち)さんが(きゅう)を好きなったらどうするん?それで、ええのん?許せんの?」


たつくんは、ポタポタと涙を流した。


「許すしかないやん。死ぬんやから」


「そんなんゆうなや。俺、(きゅう)が、(はち)さんと付きおうたら殴ってまうわ。俺には、嘘つかんでよ。たつくん、こんなに、こんなに、こんなに」


俺は、震える手で泣きながらたつくんの頬に手をあてる。


(さん)、ゆうてみ」


「こんなに、俺はたつくんを愛してるんやー。」


(さん)、声デカイから」


頭をワシワシ撫でられた。


「キスぐらいしたるで、それ以上できるかな?でも、やったるよ。おいで。(さん)


「好きやないのに、ええよ。」


「関係ないやん、死ぬんやから」


「好きな気持ちないのに、そんなんされて。たつくんが死んだら罪悪感しかないやんか」


出ていこうとする俺の手を握りしめてきた腕は、細いのにしっかりとした強さを感じる。


(さん)、行くな。何で呼んだかわかるか?相手しろや。一生のお願いやから、俺としろや」


「たつくん、一生のお願いは使うんずるいで。」


(さん)(はち)のかわりにはせんから。おいで」


そう言われて、キスをしてきた。


(さん)は、(きゅう)と違ってちゃんと童貞やろ?」


「なんで、知ってるん?」


「ちゃんと見とったから…。ほんまに、17歳の時に、俺にファーストキスを事故やって言ってくれた時と同じかなーって。ずっと、したかったんやろ?」


「なんか、読んだん?」


「おかんが、読んでる漫画。ボーイズラブやった。(さん)やったら、いややないよ。ほら、(さわ)らせてみ」


「いやや、もういなくなるってわかって優しくされたない。」


ボロボロと涙が(あふ)れて止まらない。


(さん)にやったって、(さん)が、童貞のままやん。俺の事、全身で覚えててや」


「なんで、意地悪するん?」


「誰かにちゃんと全部覚えてて、欲しいねん。怖くないんやったら、(さん)にもしたるから。同じこと」


「怖いよ。」


「旅行行こか?」


「何、行ってんの?」


「近いうちに、返事してや。一泊二日でもええから、旅行いこう。近場で、ええから…。(さん)に最大の意地悪したるわ」


頭をくしゃくしゃ撫でられた。


「惚れた弱みやで、我慢せな。(さん)は、俺のゆうこと聞くねんで。俺を忘れられへん魔法かけたるからな。」


そう言ったたつくんは、俺にキスを何度も繰り返した。


熱を持った下半身を感じると嬉しそうに笑った。


たつくんの計画通りに全ては、進んだ。


「竹にいつか好きな人の話してや。俺も竹に秘密告白しとくから」


その秘密がいったいなんだったのか、俺は知らなかった。


もしも、竹君が知っていたら。


(さん)、お前が若の寿命を削ったんやって殴られただろう。


(きゅう)にも、おじさんにも殴られ続けるであろう事を俺はした。


たつくんが、望んだからとゆう理由でやった。


愛するたつくんを失って、心の空っぽは埋まるどころか、どんどん広がっていった。


行くしかないよな。誘ってくれたんやし…


俺は、重い腰をあげた。



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