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ブレードステーション  作者: カラサワ
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報告書9「格差社会、業界最大手と新興企業とのさまざまな差について」

 機動鎧甲の装着も完了し、その他諸々の物資も持った。後は駅ダンジョンに向けて出陣するだけだ。


「さて、どこの駅ダンジョンに行くんだ?東京?それとも新宿?まさかの横浜遠征か?」


「あんたやっぱり馬鹿ね。そんな大型駅ダンジョン私達だけで行けるわけないでしょ。今回は任務に必要な資源が回収できる、千葉駅ダンジョンよ」


「千葉駅ダンジョン〜?」


 トナイエリアに比べると、チホウエリアは数段規模もレベルも落ちるのが普通だ。イクノさんは技術者だから回収には直接参加しないから、俺とチトセの2人だけで挑むんだから仕方ないとは言え、少し残念なのも事実だ。千葉駅ダンジョンねぇ……


「はいはい、新人の癖に文句言わないの。あんたも私も東京駅ダンジョンなんかに行って死にかけた同士でしょ。ウチの社訓はね、"稼ぎは高望みしないで確実に"なのよ」


「社訓なんてあったのかこの会社。初めて聞いたな」


「でしょうね。今考えたんだもの」


 ズコッと転びかける。まぁここはチトセの言い分にも一理あるか。東京駅ダンジョンで死に掛かけたってのも過程はともかく結果的には事実なんだし。


 トナイエリアでは無いが、千葉駅と言えどもトランスポーターに乗ればあっという間だろう。と思ってたが、チトセは何故か格納庫内に停めていた普段使い用のはずの高機動車の荷台にコンテナを積み始めた。


「いつまでボサッと立ってるのよ。早く乗って乗って」


「なるほど、トランスポーターの駐機場までこの車で行くんだな」


「何言ってるのよ。これが我が社のトランスポーター、コーギー号よ。これで千葉まで行くに決まってるじゃない」


 チトセの一言に、トランスポーター=ヘリと言う先入観を、今の今まで持っていた事に気がつかされた。てことは目的地までこの車で行くのか……


 運転席にはイクノさんが座り、後部荷台の座席に俺とチトセが座ったが、自衛軍の払い下げ装備だけあって、機動鎧甲を着込んだのが2人乗った状態でも余裕の広さだ。


「乗ったかの?目的地も設定したし出発するぞ。自動運転とはいえ、そんなにはかからんじゃろ」


 走り出すトランスポーターことコーギー号。それにしても任務開始前から業界最大手と零細……いや、新興企業との設備の差を見せつけられ、なんだかショックの受け通しだ。ま、それでもあんな企業には2度と戻りたいとは思わないが。


「それじゃ現場着くまでの間にちゃっちゃとブリーフィングしちゃうわよー」


 携帯端末を操作して、車内に立体映像を映し出すチトセ。ちゃんと資料作りしてるのか、意外だ。


「今回私達にシンジゲートオブ……なんだったかな」


「Syndicate Of Unknown ResourCEs、未知なる資源のシンジゲート、略してS.O.U.R.CE、じゃろ。政府と軍事資源回収企業が資金を出し合い設立した、資源の売買と加盟企業への任務の斡旋、スペキュレイターの管理を目的とした団体じゃな」


 イクノさんは技術者だけあって賢いなぁ。俺でもS.O.U.R.CEの正式名称なんてすらすら出てこない。


「それそれ。今回私達がS.O.U.R.CEから斡旋された任務は、指定資源の回収ね。依頼主は国友重工、回収対象資源は……え〜っと……そうこれこれ、ハウンドの外殻と、コモンテクノロジーよ。それぞれ規定数を納品した時点で報酬が貰えるけど、規定数を越えた分とレアメタルやレアテクノロジーはボーナス対象だから、とにかく倒せるだけ倒して、持てるだけ持ち帰るわよ!以上!」


 チトセの勢いだけのブリーフィングが終わったが、俺には一つの疑問が浮かんでしまい、どうにも気になって仕方なかった。それは、S.O.U.R.CEはスペキュレイターや企業の管理もしていると言うが、BH社なんかはそんな事全く意に介しないで、好き勝手やっていたという事だ。


「しかしS.O.U.R.CEは本当に管理をしているのか?駅ダンジョン内は文字通りの無法地帯だけど」


「そりゃ実際のところS.O.U.R.CEはBH社のような力のある大企業や管轄する特殊資源管理庁と近しい人物が私物化してるのが内情だからね」


 本来スペキュレイターを管理するはずの組織までも私物化する大企業……だからBH社はあんなに悪どいことが平気でできるのか。入社する前に知りたかった情報だ……



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