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第五十話 魔王

祝・五十話!と言うことで今回は少し長めです

魔族の二度目の学校襲撃から数日がたって、今日は休日。

魔王の居城を特定した。

当たり前だが、一度も行ったことがないので転移は使えない。

そのため、どういった手段を使って行くかが問題だ。

それも、魔王に気づかれないように一度鑑定をしておきたいので、できれば目立つような手段は避けたい。

まあ、隠蔽して高いところを飛んでいれば問題ないと思うが。

ってか今更感あるが、ナビゲーション、魔王のステータス分ったりしないか?

『魔族の知識として知れ渡っていれば分かるのですが...今回の魔王はステータスを公開していないようですので、データにはありません』

そうか。

まあそれなら仕方ないな。


「よし、じゃあちょっと魔王とお話してくる」


そう言って扉を開け、外に行こうとする。


「え、ちょっ、どういうことですか!?」


驚いたような様子でリリーが訊いて来る。

まあそりゃそうか。


「ただお話してくるだけだ。仮に襲ってきたとして、勝てないと思ったら転移で帰ってくる」


これなら何の問題もないだろう。


「なんかお話の意味が違うように聞こえるんだけど...」


気のせいだよ、それは。


「まあ、とにかく行ってくる」


「頑張ってください!」


いつの間にか来たフィアも含め、三人の見送りを受けて出発する。

隠蔽を発動し、さらに幻影魔法で透明化する。

この状態で、転移できる場所の中で最も城に近いところに転移して、そこから飛んでいく。

ステータスをフル活用して飛行するため、その辺の魔族や龍とは比べ物にならない速度が出ている。

この速度なら仮に隠蔽を看破できる者がいたとしても、気のせいか、程度で終わるだろう。

魔族の住処である中央大陸に向けて飛んでいく途中、下を見てみたり、探知を使ってみると、魔族の軍が人間の大陸に向けて進んでいる軍がいくつかあることが分かった。

海上も、飛んでいたり船を利用していたりしている。

これ、あと数日したら魔族の侵攻が激しくなりそうだったな。

そんなことを考えながら飛んでいると、だんだんと周囲が暗くなってくる。

別に雲がある訳でもない。

魔界、と言った感じになっている。

植物もあまり生えておらず、川の水も普通の水とは思えないような感じになっている。

あと、所々に魔族の街が見えてきた。

人間とあまり変わらない感じだ。

これを滅ぼすのは気が引ける。

ちゃんと和平条約を結んで来よう。

とは言っても、向こうが攻めないといってもこっち側を止めないといけないからな。

実はそっちの方が難しかったりするかもしれない。

まあ、その時は俺が頑張って結界を張ればいいか。

そんなことを考えながら飛んでいると、大きな漆黒の城が見えてきた。

デカいな。

さすが、魔族をまとめ上げている者の城だけある。

城の屋根の上に降り立つ。

さて、どうやって魔王のステータスをのぞこうかな。

『魔王の部屋は中央塔の最上階にあります』

なるほど、じゃあそこに行くか。

丁度正面に窓があるので、そこから覗く。

...濃い紫色の髪をした幼い印象がある女の子魔族がいた。

見た目の年齢は十歳から、どんなに高く見積もっても十五、くらいな感じだ。

まあ魔族は長寿なうえ成長、老化が遅く、見た目は当てにしないほうが良いな。

てかこれ、本当に魔王か?

これ魔王じゃなかったら女の子の部屋を覗くって、なんか俺が変態みたいじゃないか。

『これが魔王です。まあ、戦略的行為ですから気にしすぎるのもよくないかと』

それもそうだな。

じゃあ、鑑定。


名前:ベルゼブブ

 種族:魔族

 年齢:128歳

 レベル:999

 体力:2946123

 物理攻撃力:2146843

 物理防御力:2864531

 魔力:4976135

 魔法攻撃力:4006451

 魔法防御力:3848652

 速さ:3564912

 魔法適正:火 土 闇 特殊

 スキル:威圧S 魔力掌握A 高速詠唱A 剣神術B 弓術S 指揮A ステータス上昇量上昇B


あー、魔王と言うだけあって、なかなかに強いな。

ただ、俺と比べると弱い。

多分勝てる。

ただ、他の幹部とかもこのくらいのステータスをしているとしたら、十人くらい集まられるときついかもしれない。

入ったら部屋の入り口に結界でも張っておくか。

問題はどうやって入るかだが、転移には見える場所には転移できる、と言うサブ効果的なのが存在する。

そのため、窓がある場合、窓をすり抜けて侵入できる。

普通に犯罪である。

まあこの国、魔族の国で不法侵入が罪になるのかは知らないが。

転移を使用して部屋に入り、入り口に増援対策と消音の結界を張ってから隠蔽と幻影を解く。


「誰じゃ!?」


突然現れた俺に驚いたのか、魔王が大きな声を上げる。

消音結界張っといてよかった。


「俺はハヤテ、ただの人間だ。敵対意思はない。...今のところはな」


「妾はベルゼブブ、魔族の王なのじゃ。...なぜ人間がここにおる?どうやって入ってきたのじゃ?」


のじゃロリ魔王(128)。


「和平交渉に来た。とは言っても公認の使者じゃないのだが。どうやってきたかと言うと、まあスキルと魔法をうまく使ってきた、ってとこだな」


「できることなら妾も戦争はしたくないのじゃが、配下たちがうるさいのでな。それで非公認の和平など、特にそちら側には効力がないであろう」


配下がうるさいのか。

領地は全然余っているように見えたし、何の問題もなさそうなのだがな。

それと、非公認のほうはもちろん対策している。


「和平が成立したらこっち側の軍、特に勇者が攻めるのをやめるまで、俺が中央大陸の周りに結界を張らせてもらう。これでいいだろう?」


少なくともこれで一時的に戦争とをめることができるだろう。

後は勇者さえ攻める気をなくしてしまえば、人間も戦争をやめざるを得なくなるはずだ。

それに勇者は魔族に対して恨みはなさそうだから簡単に止めさせられると考えている。


「大陸の周りに結界を張る、じゃと?そんな物、簡単に破られてしまうと思うのじゃが。それにお主はまだ成人も迎えておらぬ年じゃろう?」


結界の範囲を広げる、と言うのは薄く延ばす、と言うのに似ている感じだからな。

薄くなると思うのも当たり前だ。


「年齢の話はお前も同じだろう。魔族にしては若いわりに魔王なんてやってるんだからな。人間に未成年で強いやつがいてもおかしくないだろう。それで簡単に破られるという話だが、その心配はしなくていい。俺の魔力量はお前の数倍はあるからな」


勇者が力を合わせても割れないだろう。


「妾は強さの限界まで達しておるのじゃぞ?それよりも強いということがそう簡単に起こり得るわけがないであろう」


強さの限界、と言うのはレベルがカンストしている、と言うことだろう。

確かに、限界突破なんてそうそう起こりえないだろうな。

俺のスキルで創る以外にどういう条件で取得できるのだろうか。

もしかしたら、レベル千越えは俺の特権かもな。

『宇宙には千越えがごろごろいますよ』

あっはい。


「すでに起こり得てるんだよ。俺のレベルは今二千くらいだ」


「なんじゃと?さらに強くなる方法があるというのか!」


相当な驚き様だな。

まあ、自分が限界だと思っていたレベルを優に超える人が現れたのだから驚くか。


「まあその話はいったん置いといて、和平の話だ。お互いに攻めない、だけでいいか?他はこれとは別に本格的な外交官と決めてほしいんだが」


これさえあれば問題ないと思うんだがな。


「妾はそれでよいと思うのじゃが、配下がそれでは納得しないじゃろう」


まあそれで納得したら攻めようとなんて思わないよな。


「そこは魔王の権力で何とかなんないのか?」


「できたら困らないのじゃ」


そうだよな。


「じゃあなんで人間の国に侵攻してるんだ?」


これの答えが人間で解決できる物なら楽なんだが。


「人間を奴隷にしたいのじゃろう。あとは人間の料理が美味しそうだから、とも言っておったな」


前半はまあ侵攻するにはテンプレな理由だが、後半...

まあ魔族は個が強い代わりに数が少ないから人手が足りなくなるってのはあり得る話かもしれないな。


「それに、戦わなかったら自分たちは何をすればいいのか、と武官たちに言われたこともあったのじゃ」


なるほどな。

だが、とても良い方法を思いついた。


「人手不足と武官たちの仕事問題を同時に解決する道具がある。和平が成立するのであればそれを渡すが...」


「その道具と言うのはどういう道具なのじゃ?」


まあそこを聞いて来るよな。


「魔力を注ぐとゴーレムが出てくる。ただのゴーレムではなく、家事や仕事をさせられる物だ。見た目も人にそっくりだ。魔族に似せることもできる。懸念点は消費魔力が多い点だが、武官たちは魔力も多いのだろう?」


「なるほどなのじゃ。じゃが、料理の件はどうするのじゃ?」


そこそんな問題なのかよ。


「俺が王国で調味料の店をやっている。それの支店をこっちにもいくつか出す。これでいいか?」


「分かったのじゃ。配下と相談してくるのじゃ」


とりあえず魔王は和平に積極的になったな。

問題は配下か。


「俺も同行したほうが良いか?」


「そのほうが良いと思うのじゃが、最初からいると攻撃されてしまうじゃろう。妾が読んだタイミングで出てきてほしいのじゃ」


なるほど、確かにそうだな。


「分かった、そうしよう」


俺がそう言うと、魔王が立ち上がり、どこかに向かっていくので俺もそれを追って行った。

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