第四十六話 古代魔法
今日は訓練をすることになったので、俺は空間魔法で訓練場を作り出し、そこに入っていく。
「こんなに広い空間が作れる空間魔法、聞いたことがないです...古代関係の資料とかも頭に入れているはずなのですがそれ以上です」
と、フィアが言う。
「そうなのか。まあ人は進化するものだ。古代になんか負けてられない」
「確かにそうですけど、古代には今よりもずっと発展した文明があったのですよ...強力な魔術師は古代の魔法を習ったりもしているそうです」
そんなことをしているのか。
今度時間があるとき...いや、俺の訓練内容を古代関係の魔法にしようかな。
「私たちからしたらそんなことするよりハヤテに習ったほうが強くなれると思うのよね...」
「俺は魔力値が高いだけだからな。ただ魔力量に物を言わせた力押しだ」
経験値系のスキルを二つ、途中からは三つ、すべて最高ランクで掛け合わせているからな。
さらにレベルが上がった時に増えるステータスの量も多い。
「何を言っているんですか、変換効率も発動速度も制御も過去最高ですよ。魔王も簡単に倒せちゃうんじゃないんですか?」
とリリーが言う。
魔王はまだ勝てるかわからないな。
相手の戦力が不明なため、いくらステータスがあっても不安が残る。
「まあそれは置いておいて訓練をするぞ。ここの空間の中にボタンを押すごとに対戦相手を創り出す装置を置いてある。創り出される相手はボタンを押した人より技術的に少しだけ強い。俺は魔法で特殊な世界を作ってそっちで大規模魔法の練習をする。入口は開けておくから何かあったら呼んでくれ」
これにより、自分より上位の技術を吸収し、突破することで成長を実感することができる。
また、こちらを殺さないようになっているのでその面についても安全だ。
俺は空間から出て、万物創造で新しい小世界を創造する。
大規模魔法の練習、と言ったが今回はさっき話に出た、古代の魔法の練習がメインになるだろう。
ナビゲーション、古代魔法ってどんなのがあるんだ?
ってか古代の知識についても入っているのか?
『現代までのすべての時代の知識についてが記憶されています』
なるほど、それはすごいな。
『古代魔法は、現代とは違う魔法言語を用いて詠唱されていて、詠唱文が長めな代わりに魔法の改造がしやすい構造になっています。そのため、詠唱をする場合でも魔力を込める量を調節でき、最大まで込めれば現代の再高威力の魔法の数十倍の威力を出すことができます。また、一度に三本の矢を放ち、それぞれ別々に操作できる、などの高度な魔法が多いです。また、生活関係で便利な魔法も多いようです』
なるほどな。
ただ、この情報はすべて詠唱魔法の物っぽいな。
無詠唱についての情報はないか?
『簡単な魔法の無詠唱は行われていたようですが、現代と比べて高度な魔法については無詠唱の術者はほとんどいません。これは魔力の制御等が非常に難しく、集中力が必要で、実践向けでないこと、また詠唱をしても魔力調節ができるなど、無詠唱に関しての利点がないことが原因です。ただ、無詠唱で行使できるようになると、魔法の大幅な改造や再構築が行えるようになります』
となると、生活関係の魔法は無詠唱でできるようになった方がよさそうだな。
まあ無詠唱のスキルがあるから問題ないのだが。
というかそんなことしなくても魔法創造で創ればよいのだが、まあ魔法を知ることで新たな開発案が出てくるので完全に必要ないということはない。
具体的にはどのような魔法がある?
『変身魔法、通信魔法、私のようなアシストを脳内に召喚する魔法、人造人間に魂を吹き込む魔法などが特徴的です。現代の生活魔法のようなものもたくさんありますが、どれも現代よりも所要時間が少なく、便利なものです』
順に使っていこう。
変身魔法。
これで魔族を味方に引き入れる、もしくは降参されたときに幻影による偽装ではなくこの魔法で変身すればよくなるだろう。
龍人の見た目を思い浮かべながら自分を対象に変身魔法を発動する。
すると体が光に包まれる。
数秒後、光が晴れると俺には角と羽が生えていた。
ご丁寧に服は背中の一部、羽の付け根に穴が開いている。
羽は手足のように動かすことができ、飛行のスキルを使用しなくても飛ぶことができる。
ただ飛行のスキルランクが高いからか、飛行スキルのほうが速度が出るようだ。
通信魔法。
コアが使っていた念話のようなものから想像したイメージを直接送ったりできるものもあるらしい。
今回は念話と同タイプの物を使って、念話で返信できそうなコアに連絡する。
『お前も訓練に参加したらどうだ?』
『あ、念話を習得されたのですね。...いや、念話とは少し違いますね。そうですね、私も参加してみます』
ちゃんと伝わったようだ。
フィアたちは返事ができないので後にしよう。
アシストを脳内に召喚する魔法。
これはすでにナビゲーションがあるのでパス。
人造人間に魂を吹き込む魔法。
これも仲間に困ってないのでパス。
...パスし過ぎたか?




