第四十五話 教会、帰還
勇者討伐が無事に終わり、観光をしよう、と言うことになったのだが、この国、観光できそうなところがあまりない。
まあ教国なんだから仕方ないとも思うが、それにしても何もない。
ただ、俺たちが暮らしている王国にも観光地があるかと言われたら微妙なのだが。
魔物と戦わないといけないこの世界で観光地、と言うのは難しいのかもしれないな。
ただ、この国は教国と言うだけあって教会が多い。
その中の一つに適当に入ってみることにした。
中に入ると、そこには一体の大きな像とその左右に四体ずつの像が置いてある。
その中に一つ、左から三番目の物が見覚えがある気がする。
確か、俺を転生させた女神があんな感じだったと思う。
「あちらの像は、生命神様の像となっております」
女神の像を見ていると、シスターと思われる人が声をかけてきた。
なるほど、生命神か。
だから俺の転生を取り扱ったわけだな。
「そうなのか。どこかで見たような気がしたんだがな」
「生を得る前に一度生命神様を見た、と言う人はたまに居ますので、おそらくそこで見たのでしょう」
ふむ、俺みたいなやつが他にもいるのか。
もしくは皆生まれる前に一度会っていて、ほとんどの人は忘れている、と言うだけかもしれないが。
「そう言う方は大抵、国を興したりSランク冒険者だったり、大商人だったりしますね。初代ギルド総長もそうだろうといわれています。あなたも何か大きな肩書をお持ちで?」
あー、俺以外にもチートスキル持ちの転生者がいる感じだな。
「一応Sランク冒険者だ。肩書はそのくらいしかない」
他は学生とかその辺くらいだな。
「やはりそうですか。ただ、お若いようですのでこれからさらに何かを成し遂げられるかもしれませんよ」
目先の物で言うと魔王討伐だな。
ただ、勇者が居るのでできるかはわからないが。
「まあ、頑張るさ。あ、この神様たちを紹介してくれないか?」
「分かりました。左から軍神様、豊穣神様、破壊神様、生命神様、真ん中が我が国の主な信仰の対象の創造神兼主神様、そして魔法神様、商業神様、武神様、冥界神様です。また、神界、と呼ばれる場所にはこのほかにもたくさんの神がいらっしゃるそうです」
なるほどな。
神界、なぜかは分からないがいつか行くことになりそうな気がする。
「そうか。ありがとう」
「礼には及びません。多くの人に、神の救済があらんことを」
そう言い、シスターは別の人の所へ行っていった。
「よし、じゃあ帰るか」
「そうですね、では広いところへ」
そう言って俺達は人目のつかない、ある程度の広さを持つ所に向かった。
目的地に着いた俺達はコアに乗り、王都に向けて飛び立つ。
道中、魔族の軍を見つけたので広範囲殲滅魔法を数発撃って片付けて置く。
「ハヤテくん、今何かしました?」
「ああ、下に魔法撃っただけだ。気にするな」
「だけっていう規模の魔法じゃない...」
そんな会話を交わしながらコアに乗って移動してしばらくすると、王都に到着した。
もうすでに辺りは暗くなっている。
そのため、寮に到着したら最速で夕食を食べて風呂に入って準備して寝た。
最近いろいろやっているため忘れそうだが、あさってからは学校再開である。
ただ、魔族の軍は王都に着くまで一週間近くあるので殲滅するのは次の休みで大丈夫だ。
明日は準備の日になる、かな。
次の日。
起きて朝食を食べた俺達は、今日は何するか、と言う話になっていた。
「明日から学校だが今日は何する?準備は何かすることあるか?」
「特にないですね。あ、あと、明日から臨時教科ができるとのことです」
臨時教科か。
なんだろうな。
まあそれは置いとこう。
うーん、特にやることがないな。
「じゃあ今日は何するんだ?俺はやりたいこととか何もないんだが」
「私も特にないですね」
と、リリー。
「同じく」
ミリアも特にない、と。
「私は訓練かレベル上げをしたいですね」
フィアは戦力強化がしたい、か。
なんで一番大人しそうな王女が戦闘系の意見を出すのだろうか。
と言うかレベル上げって、そんなゲームの用語みたいなのがこの世界にもあるんだな。
まあ、仕様がゲームに近いっちゃ近いからそうなるのも必然と言う物か。
「じゃあそれで行くか。レベルは魔族の討伐の時に上がってるから訓練でいいか?」
「そうですね、それでいいと思います」
っというわけで今日は訓練をすることになった。
深刻なネタ切れです。
さっさとストーリー進めないと...




