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第四十四話 遭遇

情報収集を再開してからしばらくたった。

ここまで新しい情報はほとんどない。

最初の一時間で得た情報がほとんどすべてだったっぽいな。

そんなことを考えながら、次の聞き込みをすべく歩いていると、

ドスッ

誰かとぶつかってしまったようだ。


「あ、すみませ「ガキィ、ぶつかりやがったな」」


あー、めんどくさいタイプの...って例の勇者だ。


「だからすみま「すみませんじゃねえ!慰謝料だ!慰謝料払え!」


こうやって金を巻き上げてくんだな。


「慰謝料?怪我なしのただの事故でか?」


さすがに馬鹿馬鹿しくなってきたので反論する。


「ガキが口答えすんじゃねえ!黙って金出せ!」


「なんで金を出さなきゃならないんだよ。どっからどう見てもどちらにも非は無いだろ」


「てめえは俺達がなんなのか知らねえのか?勇者だぞ?この国の勇者だぞ?」


「適当な理由を付けて金を巻き上げようとするような奴が勇者?それは面白い冗談だな」


勇者と言う言葉の意味を理解してほしいものだ。


「なんだてめえ、喧嘩売ってんのか?買ってやるよ。俺達に逆らったらどうなるか教えてやる」


そう言って三人の自称勇者が襲い掛かってくる。

まったく、どっちが喧嘩売ってるんだと思っているんだ。

まあいい、ステータスを覗かせてもらったところ三対一でも問題なく勝てそうなので叩き潰させてもらうか。

あ、要らないと思うけど一応火属性魔法を打ち上げて置く。

正直巻き込まれないように来ないでほしいのだが、まあ問題ないだろう。

一番体格の良い男が剣を抜き、俺に向かって振り下ろしてくるが、俺はそれを回避し、続いて飛んできた魔法も避ける。

もう一人が槍で攻撃してくるがそれもしっかりとかわす。

避けているだけでは目的を果たせないので、少しずつ反撃の魔法を入れていく。

殺そうかとも思ったがそれでは面白くないので四肢を奪ってこれ以上好き勝手にできないようにするか。

そう思ったので剣をアイテムボックスから出し、まずは大柄な男の剣を持っていない左手を落とす。


「グアアアア、てめえ、やりやがったな。だが勇者を傷つけたとなったらお前も終わりだぞ」


勇者の実力がこの程度なら教国に追われても逃げ切れる気がするので大丈夫だろう。

そもそも教国側がこいつらの扱いに困っている感じなので、追われることもないと思うが。

続いて魔法を撃っている男の両腕を落とし、さらに槍持ちの右手を落とす。

そのまま剣持の右手、槍持ちの左手を落として脚を斬る作業に入る。

斬り終わったらだるまの完成!...止血はしとこう。

あ、うるさいから意識を刈り取っておく。

そんなことをしていると、教国の騎士団である神兵団が到着した。


「君がこの名ばかりの勇者を討伐してくれたのか。こいつらは勇者と言う肩書と貰い物の力でやりたい放題してたんだ。討伐、感謝する」


貰い物の力...それ、俺もだな。

いや、まあ俺は基礎をもらっただけで自分で努力したり考えたりして強くなったわけだから、こいつらよりはマシだろう。


「勝手に勇者を戦闘不能にしたがお咎めなしか。随分と手を焼いていたようだな」


「勇者は相当強いから、捕まえるとしたらこちらの被害が大変なことになる。それさえ無ければすぐにでも捕まえたかったからな。その力を魔族にも向けてほしいものだ...それにしても子供一人でよく討伐できたな」


魔族に対してはもう向けているんだがな。


「こう見えてもSランク冒険者だ。強さだけには自信がある。それで、俺はもうこれでいいか?早く帰りたいのだが」


「ああ、通行人によれば先に襲い掛かったのは勇者側らしいからな。非があるのはこっちだ。あとはこちらで処理しておく」


そう言われたので、辺りを見渡す。

リリーたちを発見したのでそちらに向かって歩いていく。


「本当に勇者倒しちゃったんだね...」


「そうだな。まあ、コアでも行けたと思うぞ。三人でも一人くらいなら倒せるだろう」


まあ、召喚されて三日目だからってのはあるだろうけどな。

これが一ヶ月とかでレベルが高かったらきつい戦いになっていたかもしれない。


「まあいい、帰るか」


「折角教国に来たのですし少し観光していきませんか?」


あー、確かにな。


「そうだな、ちょっと回ってみるか」


そう言って、観光客向けのエリアに向かって歩き出した。

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