第三十六話 マンティコア
マルクスのの所に行ってから数日が経過した。
学校はあと三日でとりあえず安全、と判断され臨時休暇は終わるらしい。
逆に言えばあと三日は暇である。
店のほうは順調に売れている。
魔力は大丈夫かな、とも思ったが全く問題ないらしい。
性格の悪い客が来た時に気分をリフレッシュする魔法を使う余裕までもあるそうだ。
また、マルクスの店も建築と店員の募集を始めていて、こっちも順調そうだ。
商業は心配しなくて良さそうだな。
と、思ったのだが新商品を出したほうが良い、と言われた。
なので適当にマヨネーズを追加しておいた。
これでまたしばらくは大丈夫だろう。
「ハヤテくん、今日は何をしますか?」
リリーが聞いて来る。
「今日は冒険者活動だな」
他にやることないしな。
「分かりました、準備してきます」
「お前らはやりたいことをしてていいんだぞ?」
「私はハヤテくんに付いて行くくらいしかやりたいことはないので...」
「私も」
「そうですね、ハヤテ様達との共闘は初めてですので連携確認をしたいですね」
ちなみにフィアは一応冒険者登録していて、リリー達と同じくCランクらしい。
そう言えばこの世界、遊び関係が少ない気がする。
ボードゲームも外遊びも何もない。
今度玩具店でも開くか。
「じゃあ15分後にギルドに行くぞ」
準備時間は統一して15分にしよう。
俺は準備なんてないから何分でもいいんだけどな。
15分後。
「よし、準備終わったな。じゃあ行くぞ」
『スキル創造、範囲化』
このスキルは、単体にしか効果がないスキル、魔法を範囲化させることができる。
範囲化を転移に使用し、俺と3人を巻き込み転移を発動する。
「ふぇ!?」
驚いたのかフィアが変な声を出す。
フィアだけなのはおそらくリリー達にクトゥルフの時に転移を1度見せているからだろう。
俺は依頼掲示板を見る。
ん、珍しくSランク依頼があるな。
マンティコアの大群の討伐、これでいいな。
「よし、これにするか」
「え、Sランク依頼、ですか!?あ、でも、魔族2体をを平然と倒すような人だと考えれば妥当、ですね」
自分で納得してやがる。
まあいい。
俺は依頼を受注し、目的地に最も近いところに範囲化転移を発動する。
「よし、こっから歩くぞ」
そう言ってマンティコアのほうに向かって歩きだす。
しばらく歩くと、マンティコアの大群がいる場所に到着した。
ってかこの世界こんなに魔物湧いて大丈夫なのか?
まあ今まで何とかなってるんだから大丈夫か。
「よし、じゃあ行くぞ。俺が前衛やるが俺がいないときとかのためにも誰かもう一人前衛担当がいたほうが良いと思うぞ。まあ4人いるときは中衛的な立ち位置でいいと思うが」
このパーティー若干バランス悪いからな。
まあ俺が前衛やってるからには後衛に被害が及ぶことはほとんどないと思うが、万が一と言うことはいくらでもある。
俺が別の所にいるとかの理由で3人で動くときには魔術師3人パーティーじゃきついだろう。
「じゃあ私が前に出るわね」
ミリアか。
まあ性格には合っている気がする。
入試でもリリーより善戦してた気がするから適任だろう。
ってかすごいことを思い出した。
「召喚、ケツァルコアトル」
1回召喚したっきりでかんっぜんに忘れていたケツァルコアトルのコア。
『なんかすごく時間がたった気がするのですが...』
「悪い、召喚したの忘れてた」
「そう言えば私たちも狼使ってなかったわね。ハヤテが強すぎて存在を忘れてた。ついでに召喚」
黒い狼が出てきた。
なんか悲しそうなのはきっと気のせいだ。
なんか可哀想だから経験値上昇とステータス上昇を譲渡しとこう。
「前衛1人と2匹、中衛1人、後衛2人でバランス良いパーティーになったと思います」
リリーが言った。
ふむ、これでいいか。
コアは常に出しておいて俺と3人が別行動するときはリリー達の護衛を任せれば良い。
ミリアを中衛にしようとした意味がなくなった気がする。
まあいいか。
「よし、じゃあ戦闘開始だ」
そう言いながら大規模魔法をぶっ放す。
それと共に狼とコアがマンティコアに向かって突撃する。
コアはステータスが高いだけあって強いな。
かなりの速度でマンティコア倒している。
俺と同じくらいの速度だ。
狼も経験値上昇によってだんだん強くなっている。
これならすぐに活躍できるだろう。
俺達は特に攻撃を受けることなく順調に倒している。
「おっと、ボスの登場だな」
他より一回り大きいマンティコアが出てきた。
鑑定でステータスを見てみると、他より相当強いっぽい。
「よし、俺は雑魚潰してるから3人と2匹でボスを倒してみてくれ」
コアよりステータス低いわけだし大丈夫だろう。
「分かりました、頑張ります」
フィアが答える。
その返事を聞いた俺は全力で雑魚を掃討する。
5秒で終わったので傍観するとするか。
...なんか最近俺が強いっていう自覚が出てきた気がする。
なんというか、余裕が生まれたような。
この余裕が油断にならないようにしないとな。
さて、ボスの方だが、コアは俺の意図を理解しているのか力を抑えて戦っている。
まあ正直コア1匹居ればたいていの魔物は倒せるからな。
本気を出せば3人+1匹の訓練にならなくなる。
ちゃんと理解してくれているのは助かる。
コアと狼はちゃんと3人の魔法に当たらないように、3人も当てないように立ちまわっている。
ってかフィアも無詠唱だ。
いつの間に覚えたんだか。
...ここ数日、眠そうだったのはそれが原因か。
俺の魔力掌握無しで覚えたのか...っと思ったらリリーとミリアが魔力掌握Dのスキルを持っている。
低ランクでも一応触れてさえいれば人の魔力を操作できるのでこれでやったのだろう。
そんなことを考えていると、ボスを倒したようだ。
コア、作者も完全に忘れてました。




