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昨日間に合いませんでした…。
広い広い庭園には、お茶会が開けるテーブルセット、女王のピンクローズに囲まれた女王の小道、更にはハンモックやブランコ、ベンチが置いてある憩いの場、バラ園がある。
他にも女王の泉からひいた水を使った噴水や、寒い時期にもバラに囲まれることの出来る温室庭園、様々な花が咲き誇るフラワーカーペット等、ゲームにも出てこない場所があるがここでは割愛する。
昨日の女王の言葉に多少の引っ掛かりはあるも、わからないことは気にしないことにした。
ぶっちゃけそれよりも今日のエリオットとのデートよ!!!!
昨日の今日だからと午前中は休養に当てたが、エリオットや女王から力を分けてもらったこともあり、微かに感じていた瘴気や疲れは完全に取り除かれていた。
なのでランチとしてスフレパンケーキ焼くよ!
スフレは時間が経てば潰れて美味しく見えなくなってしまう。
なので約束の時間直前に焼けるよう準備する。
ふわふわが命なので、メレンゲは潰さないよう大事にさっくり混ぜる。
時間かければ潰れてしまう。手早く、でもしっかりと。
蓋をし蒸し焼く。
…うん、上手くいった。
手早く準備をし、約束の場所へ。
トッピングは向こうで!
「ん!凄いよペルラ、しゅわって溶けてなくなった!」
「上手くいったようで何より」
バターやメープルシロップ、生クリームに各種フルーツ等の定番から、ランチ用として厚めのベーコンとスクランブルエッグ、ミニサラダを用意した。
元々パンケーキが好きなエリオットには、不思議食感のスフレパンケーキは大変お気に召したようで、すぐに食べてしまった。
こういうところ、いいなって思っちゃうよねぇ。
足りなくなるかなと思って普通のパンケーキも焼いといたけど、それもみるみるうちになくなった。十数枚焼いたはずなんだけど…エリオットの胃袋恐るべし…。
食後のお茶も綺麗に飲み干し、満足気に笑うところを見ちゃうと、また作ろうと思ってしまう。…次は何がいいかなぁ。この考える時間って楽しかったりするんだよね。
ゲームでは好感度上げに相手の好きなお菓子ばかりを作ってたから…毎回出されちゃたとえ好きでも飽きがきそうだもん…。
「じゃあ、そろそろ歩こうか」
「うん」
いつの間に身につけたのか、手を繋ぐのではなく、差し伸べた。
…格好が聖騎士団の制服だから、本当に騎士みたく見える…かっこよ…。語彙力吹っ飛んだ…。
なんとか手を置き、エスコートされるがまま女王の小道を進んだ。
「そういえば、ペルラは女王になったらここになにか植えるの?」
「うーん、薔薇がとても素敵だから、それは出来たら活かしておきたいなって」
メインキャラには、女王のピンクローズのようなイメージカラーから連想されるイメージフラワーっていうのがある。
告白の時に花束として渡すのだ。
なのでグッズにはそのイメージフラワーが使われていたり、モチーフアクセ作る時は重宝してたりする。
エリオットにはなかったから、色んなサイトで花言葉を調べたりして勝手に付けてたりしなぁ、懐かしい。
その時は確か───
「かすみ草なら、いいかなぁ」
「かすみ草…?」
「うん。白く、小さい花なんだけど、色んな花束に重宝される名脇役って言うのかな?」
「それが、なんでいいの?」
「エリオットみたいだなって思ったことがあってね」
エリオットの制服は白を基調としたもの。…というか、攻略キャラ以外の聖騎士団は白なんだけどね。
そして、ゲームではずっとアスカにアドバイスを送っていた脇役。
それ単体では目立たないけど、花束には絶対なくてはならない存在。
確か、花言葉も素敵だったんだよね。…覚えてないけど。
ペルラは確かダリアだったかなぁ。
花言葉的に牡丹のが似合いそうな気はするけど、ダリアは西洋牡丹とか、天竺牡丹とかって呼ばれてたりするからそこから連想したのかも。
「かすみ草が、僕────」
「小さい花だけどね、両手いっぱいの花束はとても素敵だと思うの」
告白イベント前のボス戦で死ぬことは確定してるんだからありえないんだけど、もし女王になれたら────エリオットに告白されるなら、かすみ草がいいな。
「かすみ草、ね─────」