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昨日は結局無理でした…。本日11時17時21時頃に1本ずつ更新予定です!
「あら、もう起き上がって大丈夫なの?」
「はい、なんとか…」
「一応食べやすいようフルーツゼリーにしてみたけど…」
「宝石じゃないですか???」
食べるのもったいぶってたら作った意味ないんだけど…と困らせてしまった。高速で食べた。甘酸っぱくて美味しかった。
力を分けるから、という名目で手を繋ぎ、お話することにした。
女王はいつも忙しいから、こうしてゆっくりすることは出来ないのかも。
…女王も休める時間になればいいな。
「相手の状況は確認しているの?」
「いえ、全く。気にしても仕方ないですし」
「それもそうね。…まぁ、一応教えておくわ」
この世界の常識をあまりにも知らなすぎた彼女には、教育係として1週間、リュカとニコラスが付いた。
初日はみっちりお勉強、2日目から討伐と点灯を開始した。
やはり彼女は戦おうとしないらしく、ある程度2人で弱らせたところを浄化しているらしい。
まぁ、私より瘴気を受けやすいから、攻撃のため近付くとすぐにダウンしてしまうというのもあるんだって。私の短銃も、もっと狙いが定めやすかったり、ライフルとかスコープみたいに長ければ瘴気の被害を受けない距離を取れるのに…。
もちろん炎は私よりすいすい点けられるんだって。くそう。
「でも、瘴気を1日毎に抜かないと持たないから、星に行く日と勉強兼ねての休養日を交互にしてるみたいだわ」
「ってことは、現時点では私のが進んでるんですね」
「そういうこと」
ゲームでは最初2回は魔物浄化に行けたけどなぁ…やはりここはゲームとはちょっと違うのか。
なーんかずっと違和感あるんだよねぇ…。
「そういえばペルラってエリオットの事好きなんでしょ?」
「ぶっ!!!!」
「わっ、大丈夫?」
「げほっ、けほっ」
き、器官に入った…!!
なんてこと言うんだ女王は!!恋バナか!恋バナがしたいのか!!
「…まぁ、そう、ですね」
「へぇ!どこが?いつから?告白しないの??」
「しませんよ!エリオットは団長になれないのに!」
「え?なんでそれを」
「あっ…」
そうだ、女王と現団長のジュリオ、ジュリオと同期のニコラス以外はこの話知らないんだった。
聖騎士団団長は、万物の源である天地を司る。
その力は女王に匹敵するとも言われており、先代の団長から譲り受ける。
だから女王専属の護衛·騎士となり、女王と同じ時を過ごす。
もちろん団長なのだから、権力は絶大なもの。
場合によってはその権力欲しさに次期女王に取り込もうとする奴が現れるかもしれない。
もしかしたら次期女王が能力だけで選ぶかもしれない。
それでは意味が無いのだ。
本来の2人の力を引き出すには、真実の愛が必要なのだから。
そんな輩を出さないためにも、このことは最後まで秘密にされ、最後の継承の儀の時に告げられるのだ。
「いやっ、あのー、女王がジュリオ様と、特別仲が良さそうに見えるので、恋仲の人が団長になれるのかなー…って。それに、エリオットはまだ一つ星ですし」
「…まぁ、そうね。一つ星が聖殿内に入ることも異質なのだけれど…」
「それについては申し訳ありません」
だって!エリオットを!攻略したいもの!!聖殿内にいなくちゃ庭園デートも噴水も行けないんだもん〜!!
「っていうか、私とジュリオがそんなふうに見えるの?」
「えっ、はい。なんか信頼しあってるというか、二人の世界というか」
…それを、少し悲しそうに、妬ましそうに見てるニコラスがいるんだけど。
過去はセリフでしか語られていないけど、ニコラスは前回の試験の時に現女王を好きだったってのはイベントで見た気がする。
「……まぁ、確かに、彼は特別かもね」
その目は、とても愛おしそうではあるんだけど、なんか、恋人への感情とは少し違う気がした。
なんだ…?何が違うんだ…?
「…もしかして、エリュシオンについてもなにか知ってるの?」
「いえ、楽園って意味を持つ大陸って以外は───」
大陸?
大陸の名前、だったよね。ゲームでは。
でも、ここでは星の名前。
なんで、なんでだ…?なんか、違和感───。
「……わからないならいいの。ごめんね、変な事聞いて」
私は、なにか勘違いしてる────?