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閑話:First story

10話達成記念!&昨日投稿出来ず申し訳ありません…。

本日本編もこの後投稿予定ですー!



「…ようやく、見つけた」



聖殿内の図書館。

ここには、数万年、下手すると数億年前からの文献が残っていた。

検索システムなんて構築していない上、バラバラに仕舞われている。目的の文献を探すのに8年もかかってしまった。



(…うん、これだ)



パラパラと捲り、粗方の目星を付ける。

この宇宙の起源を語る文献は、古代の文字で書かれており、多分この宇宙に解読できるのはもう居ないだろう。



ただ一人、女王を除いて。



何故なら、この文字を作ったのは()()だからだ。







これは、創造神・エルと名も無き少女の始まりの物語である。










その昔、エルという名の神がいた。

全ての神を従える神、神の王と呼ぶ者もいた。


彼には4柱の美しい女神の妻がいた。

彼女たちはそれぞれ炎、水、風、緑を司っていた。


その自然の力と、エルの持つ天地の力を使い、ひとつの宇宙を作り上げた。


燦然と輝く太陽を中心に、14の星が生まれた。

燃えるような星、水が揺蕩う星、風が吹き抜ける星、緑が豊かな星。

その中でもいっとう美しかったのは、全ての力が均等に行き渡った星だった。



エルは嬉しかった。

子を成すこと以外に出来ることがあると。

こんなにも美しいものが生み出せるのだと。

その宇宙、星に魅せられたエルは、神の王という立場であるものの、その星に降り立った。



その星には、偶然に偶然が重なり、生物が生まれていた。

それぞれが独自の進化を遂げ、生きる術を身につけた。

しかし、永遠に等しい生を持つエルにとっては瞬きのあいだに死んでいくも同然だった。




そんな星で、エルはひとりの少女と出逢う。


その少女は闇夜のような黒髪、白雪のような肌、禁断の果実のような唇を持っていた。

美しい女神の妻がいるエルでさえ、目を奪われるほどの美貌だった。

それは、一目惚れだった。



エルはそれから毎日彼女の元へと通った。

彼女と交わす言葉が楽しくて、彼女と交わす心が擽ったくて、彼女と交わした体が震えた。


少女は、エルが神の王と知っても、驚きはしても拒絶はしなかった。

あなたが王なら、私は女王ね。

その言葉は、エルを嬉しくさせた。


人の命は短い。出来ることならその命尽きるまで傍にいたかったが、エルは神の王。

ずっとこの星にかかりきりで仕事を放っておいたのだ。彼の妻たちはかつてない程の怒りを感じていた。


エルは仕事をするべく天界へと戻ったが、その際少女に自分と同じ力と、自分を模した人形を置いていった。

その力で彼女を守れるよう。その人形で彼女を抱きしめられるよう。

少女は、無事に帰ってこれるようにと口付けを交した。



しかし、天界に帰った彼を待っていたのは仕事ではなく、嫉妬に駆られた彼の妻たちと、彼女たちが力を与えた男たちだった。


妻たちに命ぜられた男たちは、与えられた力をふるいエルを切り刻んだ。

天地の力も、4つの力の前には無力だった。


その刻まれた死体を、妻たちは彼女の元へと持っていった。


ただの人にうつつを抜かした罰よ。

次は貴女がこうなるのよ。



少女は、それをエルと知ると、涙を流した。

わたしのせいでごめんなさい。こんな姿にしてしまってごめんなさい。


純粋にエルを愛していたその姿を見た妻たちは、権力に溺れ神の王を殺めてしまった事の大きさに気付いた。



彼女たちは力を使い、王を弔う為の星を作った。

エルが生み出した星々を見守れるよう、1番外側に。

燭台の炎は明るく照らし、静かな湖は心を鎮める。生い茂る緑は彼を守り、穏やかな風は悲しみを伝えた。

少女はその星を、愛しい人の名前から『死後の楽園(エリュシオン)』と名付け、彼が生み、愛した宇宙を護る女王となった。

妻たちは、それを支えるよう力を与えた男たちに命じた。


亡骸から生まれた宝玉(ぎょく)は、女王が唯一持つ彼の形見だった。

この宇宙全てに力を届けることが出来る、王が最後の力を振り絞って生み出した愛だった。



以来、この宇宙は女王が護っている。

女王が愛した、神の王のために。














「────間違いない」



ずっとなにか引っかかっていた。

本当なら、最初から気付かないといけなかった。


この世界はASKAではない。


その前身となる同人ゲーム『アスカの真珠』だと──────





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