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10話!ここまでなんとか来れました。読んでくださってありがとうございます!

明日の更新はお休みさせていただきます。その代わり、活動報告にAnother episodeを挙げられるよう頑張ります。



「まず、エリュシオンでの活動だけど」



がらがらとホワイトボード(なんであるかは突っ込まないで)を持ってきて、図式を描いていく。



「魔物を浄化するのは1日2回までで抑えておいて。それ以上はいくら俺たちがいても体が耐えられなくなっちゃう」



そういえばゲームでも力と瘴気のパラメータがあったな。

それぞれの行為にどれくらい力を使うか、瘴気が溜まるかを上手く計算してよく最速を狙ったものだ。

あれなかったらスイスイ進むもんね。



「次に炎を灯す作業。慣れれば3回くらいは行けると思うけど、ペルラは炎と相性が悪いんでしょ?」



「はい、全然ダメでした」



「なら余計な力を出す場合もある。暫くは1日1回に留めておくこと。それ以上はぶっ倒れるね」



ぶっ倒れる、の言葉にエリオットが素早く私の手を握って来たけど、うん、今じゃないからね?

スーリヤはちょっと声を荒らげて続けた。



「一応寝ればある程度回復するが、完全ではない。そのまま続ければ力が空っぽになり、使えなくなる。そうなる前に聖殿での休養日を作ること」



「なにをするのがいいですか?」



「1番は女王陛下の力が込められたお茶やお菓子なんだけど…毎回作れるわけじゃない。陛下の力が強いバラ園や、女王の泉に行くと回復が早くなると思うよ」



おお、デートってやつですな。

前日のうちに次の日の同行者を指名するから、その時に休養日を選択すると、翌日誘ってきたりしたんだよねぇ。

私室でお茶したり、バラ園でまったりしたり、女王の泉で告白したりされたり…。

バラ園と泉はそういう役割もあったのね。外から見てるだけじゃわからなかったよ。



「やることはとりあえず以上かな。早速行く?」



「はい」



懐の短銃に無意識に触れていた。








エリュシオンは燭台の関係上、道で地区が格子状に区切られている。

京都みたいって言ったらわかりやすいかな?

小神殿に1番近い地区に降り立った。

上を見上げても、明かりがほとんどない。

月の代わりになる衛星がないから、ここエリュシオンは月が存在しないそうだ。



察してくれ。瘴気がやばい。



「ぉぇっ…」



「やっぱりかなり篭ってる。…エリオット、魔物の位置はわかる?」



「うーん、なんとなく感じるかもってくらいです。よくわからないですね」



「そうか。…ペルラヤバそうだから支えてて」



エリオットに抱き寄せられ、少し回復する。それでも込み上げてくる吐き気や気持ち悪さはなかなか治まってくれないけど…。



スーリヤはサーベルを鞘から抜き、ゆっくりと息を吐いて目を閉じた。

────これは。



しん…と静まり返った中で、微かな音が鳴る。



「そこだッ!!」



炎を纏ったサーベルが魔物を捉える。

耳を塞ぎたくなるような断末魔が辺りに響く。スーリヤの炎が燃え移ったようだ。



「エリオット手伝え!ペルラも大丈夫だったら」



「大丈夫です、やります」



ダリウスさんに習ったように、力を込める。

ゴロゴロとのたうち回る魔物の動きを止めるよう、エリオットの剣は突き刺さっていた。

あと一撃、加えられれば───!



銃を持つ右手を添えるように支える。

狙いを定め、1つ深呼吸。…大丈夫。


覚悟を決め、引き金を引いた。





『ぎぃあああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!』



「この地に根付く悪しき魂よ!女王のゆりかごで安らかに眠りなさい!!」



私の放った弾丸は、魔物の唯一にして最大の弱点であるコアを撃ち抜いた。

その弾丸を媒体に私の力を注ぎ込み、確実に浄化する。

この数年でダリウスさんと編み出した、力も弾も無駄のない浄化方法だ。



「すごい、すごいよペルラ!コアを撃ち抜くだけじゃなく、そこから浄化するなんて!」



「これが、女王の力なんだね…僕たちじゃコアに傷1つ付けられないのに…」



ころり、と転がっていたエメラルドのようなコアを拾い上げ、女王謹製のガラスポットに入れる。

うん、濁りのない、綺麗なコア。これなら再び魔物になる心配がない。



「エリオットもさすがだったよ!暴れ回る魔物を1発で動けなくしたんだもん!」



「僕のはたまたまですよ!スーリヤ様の炎で弱ってたから出来ました」



魔物が浄化されたことにより、辺りの瘴気が引いていく。

暗く、重苦しい空気がいくらか軽く感じられた。…やっと息が楽になる。



「じゃあ、そのまま燭台に灯してみようか。確かこっちにあるはずだよ」



私たちは地区の中心にある燭台を目指した。







「燭台ってか、灯台に近いね」



「ここは林の中だからね。木より高くないと意味が無いんだよ」



広さのある地区全域を照らすんだから当たり前っちゃ当たり前なんだけど、特に小神殿を囲む林がほとんどのこの地区は、1番高い丘に、木より高い燭台が必要となる。

そうするとこういう形になるのだ。


螺旋状の階段を登り最上階に着くと、聖火台をイメージしてもらえると分かりやすいと思うけど、大きな大きな燭台があった。



「灯してみようか」



力を具現化するにはイメージをする。

火、炎───メラメラと燃え上がり、熱い。

両手を前に出し、燭台へと翳す。

少しずつ、少しずつ気を流す。

燃えろ、燃えろ、燃えろ。


暖かい空気が流れ込む。

このまま、このまま───



「手、借りるよ」



「あっ!!」



右手を取られ、組むように繋がれる。

そこから熱い、熱い気が流れ込む。



「俺の気を感じて。そう、そのまま──」



ごうごうと燃える炎。

纏う気が少しずつ燃え上がる。

もっと、もっと。

繋がれた手がきつく握り締められる。

青白く、静かに燃えるイメージが伝わった。



「火が灯った!」



目を開けると、最後のイメージにあった青白く燃える炎がこの地区を明るく照らしていた。



「ありがとうございます、スーリヤ様」



「どういたしまして。でも、元々惜しいとこまで来てたよ?」



多分、ダリウスが水の力を使うのが得意だから、それがそのまま影響しちゃったんじゃないかなぁ。最初水蒸気だったし。

なんてからからと笑う。

水蒸気て…どんなよ私。



「はいはーい、いつまで繋いでーん、のっ!」



すぱんっ、と手刀が降ってきた。

あ、手、繋っぱ。



「うわああああああごっ、ごめん!!!!」



「いえ、大丈夫です。協力してくださったので」



「ほらペルラ、帰りは僕と手を繋ご?」



「はいはい」



階段を降りきった頃には体力の限界が来てしまい、結局エリオットにおぶって貰った。

は、恥ずかしい…!!




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