プロローグ 旅立ち
アルビ村と言う小さな村の近くにある森。
積極的に人間を襲ういわゆるモンスターと言う存在こそいないけれど、野生の動物が数多く住み着いているその森の少しだけ奥まった所に3人の少年がいた。
まるで森にぽっかりと穴が空いたみたいに木が生えていないその場所は、小さな泉と少年たちが少しづつ持ってきた玩具や本、そして宝物が入った箱があった。ここは少年たちの恰好の秘密基地だったのだ。
畑の近くにあった綺麗な何かの欠片、言われれば花の形に見えなくもない石などほとんどが道端に転がっているようなものだったが、3人にとっては大切な宝物であり思い出の品々だった。
……まあ、その宝物達も今は箱の中に仕舞われ泉の横に放置されているのだが。
「ねえソラ。 ソラも一緒に追いかけっこしようよ?」
「んーもうちょっとこれ、読ませて」
クリーム色の髪をした少年が黒髪の少年との追いかけっこをやめ、木の下で本を読んでいたオレンジのような茶髪を持つ少年に話しかけた。
「それ、なんの本なの?」
「俺の父ちゃんが買ってきてくれた冒険者の物語だ!」
黒髪の少年の問に元気よく答えると読んでいた部分に栞をはさんで本をペラペラとめくり、今まで読んだ所のあらすじを語り挿絵を見せる。
少年が読んでいたのは冒険者の物語だ。
故郷を離れ、1人旅に出た少年が冒険者となり、心強い仲間を得て厳しくも楽しい冒険をして成長していくストーリー。
「凄いだろ? 砂の国にどこまでも続く氷の大地、それから喋る動物まで!」
「……そんなのいるの?」
「これは物語なんだからあるわけないでしよ」
「別に俺はここに行きたいって訳じゃないよ。俺はただこの主人公みたいに世界中を旅してみたいんだ! あ、でも主人公が食べてた砂の国の名物の肉は食べてみたいなー」
「結局肉じゃんか」
「なんだとー!」
「やべっ」
父親から貰ったお気に入りだという大切なはずの本をぽいっと放り出し、怒った様に逃げ出した少年を捕まえようと走り出した少年だったが、走ってる内に怒りを忘れてしまったのかそのままいつの間にか参加していた黒髪の少年と3人でいつもの追いかけっこが始まる。
『冒険者になって世界中を旅をする』
1人の少年の夢はいつしか3人の夢となる。
これは、小さな村から飛び出した3人の少年達が、仲間と世界を旅する物語。
プロローグなのでこの話は短いですが、大体3000字位を目安に書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。




