0章 1話 プロローグ
青い空が広がり、日差しが時折雲から顔を覗かせる。太陽が段々と照ってきた5月の初夏。ここ、エリュン大平原では3か月前からレギオン大公国と反乱軍を名乗ったデモ隊オーケッドによる小競り合いが続いている。そんななかに僕--篠崎 晴が徴兵され戦地に赴くこととなった。そしてまた今日も僕は戦場を駆ける………
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ここは母なる大地アスタリオン。この地では魔法と機械が交ざりあい、様々な技術が開発され、豊かになるとともに多くの国々で幾度もの発展と滅亡を繰り返してきた。そして1000年前に勃発したアスタリオン大戦により多くの国が倒れ疲弊した。傷痕は深く、遠い昔にも関わらず今も復興できていない国や地域もある。戦争は決着がつかず、一部の国では第二次戦争を望む国もあるという。それがこの偉大なる大帝国レギオン大公国だったりする。
歴史上レギオンは幾度となく他国と戦争を起こしその度に勝利してきた。さすがに全戦全勝ではないが、帝国お抱えの軍師や軍上層部の血気盛んな将軍らのおかげもありこの国はアスタリオンで知らぬ者はいないほどの戦争国家となった。
聞いていて薄々お気づきかもしれないが、この偉大なる我らの帝国、レギオン大公国は一定の為政者による独裁国家だ。主な政治は宰相だが最終的な決定権は当代のレギオン国王「オルファス2世」正しくは、レギオン大公国35世皇帝オルファス・レイ・アトニヌス王だ。この国では国の歴史や特長、レギオンの強大さ、素晴らしさ、宗教といったことまでを学校で徹底的に教えられる。次世代の愛国民を育てるためらしい。要は洗脳教育だ。しかしこんなこと外では口が裂けても言える訳がない。
話はそれたが、オルファス王は今のレギオンにとって圧倒的な支持率を誇る。先ほどの洗脳教育の賜物か王は常に国民の大半に人気を博している。僕は王に忠誠ってのは低いけど、周りにはオルファス王のカリスマ性に憧れているもはや信者も珍しくない。
おっと、いつの間にか国の回し者みたいに話し込んでしまったね。じゃあそろそろ行かないと……って、ん?話が唐突過ぎて分からない?なら続きは歩きながらするとしよう。なに、ちょっとした昔話さ……。