力を持つ者が集うとき
今回は少し長めに書きました。もう終盤なのかな?
まぁゆっくり考えながら書いていきます。(*^_^*)
俺は放棄を持ち直し化け物の様子を伺う。化け物は唸り声を上げながらその鋭い爪を振り上げる。
俺の警戒心は最高潮に達していた。化け物は勢いよく振り上げた爪を俺に向かって振り下ろした。
喰らったらひとたまりもないだろう、ギリギリで躱す。さっきまでいた場所には小規模なクレーターが
できていた。
『おいおい…強すぎやしねぇか?』
苦笑いをしながら冷や汗をかく…。俺は一気に踏み込み化け物までの距離を詰める。
放棄を力強く振る。化け物は少しフラついたがそこまで大きなダメージは通ってないようだ。
だが…俺の持っていた放棄は折れてしまった。掃除用具入れまでは少し距離がある。ジリジリと詰め寄る化け物に俺は一歩、また一歩と後退していく。このままではやられてしまう。
『それはねぇだろぉよ…』
こんな化け物なんかによって死にたくはない…かと言ってこの状況を打開するための策なんてあるわけない。背中が壁に付いた…。もう終わりか…。そう諦めた瞬間だった。近くの窓ガラスが割れ女性の人が飛び込んで来た。
『…え?』
『よ〜し、間に合った!君よく頑張ったねぇ、もう安心しなよこの私が来たからには傷1つ付けさせはしないよ!』
いきなりの急展開に頭がついていかない…。どうして窓から来た?貴方は誰?と言う様な疑問が次から次へと湧き出てくる。その間に女の人は自分の腰についている剣を鞘から抜き出し化け物に向かって叫んでる。
『ここまで暴れて捕獲だけじゃ済まないよ?これはもう重罪だねぇ…。』
女の人は笑っている、けれど目が怖い。殺気だけで相手を殺す勢いだ。
『君はそこでジッとしてて、すぐに終わらせるから…』
さっきの無邪気な声とは違い大人びた冷静な声だ。
『じゃあさっさとやってしまおうか。』
女の人は一気に踏み出した。剣を構え化け物の中心目指して斬る。速い…化け物はその動きにはついていけずすぐに殺された。
『っと、さぁ君。ここから出るよ?立てる?』
俺は差し出された手を払った。
『自分で立てれる。お前は一体なんなんだ。』
女の人は少々驚いた顔をしたがすぐに笑ってこう言った。
『KSB所属の平井優香、貴方を助けに来たんだよ?』
KSB?聞いたことがないな。俺は平井さんに連れていかれ外へ出る。今気づいたがこの人の目の色もオカシイ…ピンク色だ。まぁ関係ない事だから放っておこう。その間色々と聞いた。突如現れた化け物を倒すために形成された組織、それがKSBだと言うこと。他にも3人居るらしい。
安全な場所へ移動させられ俺と平井さんは一息ついた。そして俺は平井さんを睨みながら言った。
『どうして俺なんか助けたんだ?俺は助けなんて呼んでいない。』
俺は命の恩人に対してかなり酷い事を言っているだろう。だが、俺は今まで自分でなんとかして来た。だからこそどうも他人に助けられるのは嫌いになった。女の人は少し沈黙した後口を開いた。
『どうして助けるかって?決まってるじゃない、人間は一人一人が弱い…だからこそ力を合わせて生きていかなきゃいけないの。1人で生きていくことなんて出来ないのだから…それに、力を持っているなら自分のためじゃなくて他の人のために使いたいんだ』
笑いながら言って来た。俺はその言葉を聞き言葉を探してもどれも相応しいものは見つからなかった。ただ一言
『あっそ…』
としか返す事が出来なかった。俺は明後日の方向を向いてこれからどうすればいいか考えていた。
すると平井さんが口を開いた。
『ねぇ君、面白い色の目をしているねぇ?カラコン?』
そうだった、色々な事がありすぎて忘れてた…。
『ちげぇよ、こんな学校にカラコンしてくるかよ』
俺は今思っている事を言った。もう疲労していたのだろう、頭があまり回らない。
『ふ〜ん、カラコンじゃないのか。じゃあなんで赤いの?充血とは違うよね?』
この人にはデリカシーというものはないのか?俺は他人には自分の事を話さない。
『あんたには関係ないだろう?』
数分の沈黙がやってくる。この人といると沈黙が多い、まぁ他に喋る相手なんて俺にいないけどな。でも、苦手なんだよな〜こう言う何も考えなしに質問してくるやつ。
『考えなしには言ってないよ〜!』
『いや、考えな…は?俺何も言ってないぞ?』
まさか、考えている事が読めるわけない、そんな非現実的なものがあるはずない。
『御名答、私の力は心を読むと言うものだよ。それと非現実的っていうけどさっき現れた化け物はどう説明するのかい?』
完全に論破された(自分にブーメランが刺さったのだけど)俺は
『…やっぱ苦手だ、お前…』
苦笑いしながら答える。
『さぁ、行こうか!』
『どこへ?』
平井さんはニヤニヤしながら言った。
『私たちの拠点へ!君をKSBに招待するよ』
…最近驚く事が多いような気がする…。俺は若干引きずられながらもついて行った。
付いた場所は来たこともないデパートのようだ。そして平井さんは俺の手を絶対に逃さないと言っているかのように強く握っている。この人は本当に女なのか?え、こんな事思って大丈夫なのかって?
別に自分の心を覗かれてもこれが本音だし別にいいやって感じ。
デパートの地下へ行くとそこには3人の人がいた。
『連れて来たよ〜!』
平井さんは3人の人に向かって言う。
『本当に連れて来たのか…。』
『えっとようこそ?』
『自由にも程があるんじゃない?』
皆呆れているようだった。平井さんはショボンとした顔をしていた。この人表情豊かだなw
弄り甲斐がありそうだ。
『あ、この人達は数少ないKSBのメンバーだよ。ほら、自己紹介して!』
メンバーの方々は戸惑っているようだが、男の人から自己紹介して来た。
『俺の名前は柊木優だ、なんか知らないがよろしく頼む。』
『えっと…私の名前は木原楓、です。よろしくお願いします…。』
『私の名前は森雲雫石、よろしく。』
なんて言うか…個性豊かだな?この場合俺も自己紹介した方が良いよな?
『新咲、白斗…よろしく。』
パチン、と手を叩く平井さんはどことなく嬉しそうだ。
『さて、自己紹介も終わったし私たちの、KSBの結成された目的を話そうか。ここ最近今日みたいな化け物が出てたんだよね、それで逃げている途中この人達と出会った。皆何かしらの力を持っているの。それで化け物の親玉を倒そうと思ってるんだけど4人だけじゃ心細いから君をスカウトしたってわけ。これで良いかな?』
え、え?倒すの?ボスを?いやいやいや、こんなレベル一程度の俺じゃなんの戦力にならねぇよ!?足手まといだよ!?
『だ、大丈夫ですか?』
この人は確か木原さんか。
『あ、大丈夫、です』
ここで落ち着かなければ…。平静を装い言う。本当…どうしてこうなったんだ、こんなにも他人に干渉する日が来るとは思わなかった。だが、この状況仕方ないのかもしれない、干渉するのは嫌だが自分の身を守り方を教えてもらおうかな。俺は一つ咳払いをし口を開く。
『取り敢えずここに入れば戦い方を学べるって事で良いんだよな?だったら俺は入る。』
メンバーの方々は少し困惑している。ただ1人を除いて…
『そう言う事で良いよ。まぁ君には辛いことがあると思うけど頑張ろうね』
なんだろうこの感じ…。まぁいいや、俺は気になることを質問した。
『さっき皆何かしらの力を持っているって言ってたけど具体的にどんなの?』
さっきからイライラが溜まってしまって仕方がない。
『そうだな、俺から言おう。俺の持っている力は【エンチャント】だ。炎と氷を剣や銃弾にエンチャントする力だ。』
『次は私ですね。私の力は【創造する】力です。私の知っているものであればなんでも作ることができます。ただし、少し目眩を起こしてしまいます。』
『最後は私か…私の力は【千里眼】。あなたの学校のことも私の力で特定したのよ。』
様々な力があるんだな。それに力を持つ人間の目は色が付くのか。平井さんも柊木さん、木原さんに森雲さんだって色が付いている。俺と同じようにあの羽に触れたのだろうか?
そんな事はさて置き、早速力を制御できるようにしなければまたあの化け物に襲われてしまっては終わりだ。だから俺は率直にこう言った。
『どうやったらあんたらみたいに力の制御ができるんだ。』
メンバーの人達は(まぁ自分もメンバーなのだが)少し話し合った後、柊木さんが俺の方へ歩いてきた。
『新咲と言ったな。こっちに来い、俺がお前を鍛えてやる。』
見た目や口調は怖いが優しい人だ。他人との干渉を避けて来たからなのか力の所為なのか洞察力は一般の人よりかは見る目があると思う。俺が連れて来られた場所はいかにも練習場、と言う場所だった。
あたりは開けており障害物はコンクリートの柱くらいだ。その柱にはいくつか切り傷やらが残っていた。
俺は辺りを見回しながら歩いて行く。ピタリと動きを止めた柊木さんはこちらへ振り向きいきなり短剣を俺に向かって突き刺そうとしてくる。
『ッ!?』
間一髪のところで避ける。柊木は一息つきこちらを見据える。
『どう言う事だよ!あれは嘘だったのか!』
どうして殺そうとしたのか分からない、俺の目は間違っていたのか?他人との信頼を築こうとは思わないがここまでされたのは初めてだ。きっと俺の目つきは最高に悪いだろう。自分でもわかる。そこで柊木が口を開いた。
『さっきの攻撃は一般人の人なら避けれなかった、それにあれで死んでしまっては化け物なんかには勝てない。だから試す必要があったのだよ。』
『・・・』
俺は黙ってしまう。この人が言う事は正しいのだから言い返そうにも言い返せない。だから俺は黙るしかなかった。それから特訓が始まった。初めは苦だったが、徐々に慣れ始めて言った。目の力も制御出来る程度まで使えるようになった。どうやら俺の力は【身体強化】のようだ。だけど強化しすぎると体が動かなくなってしまうと言うリスクがあった。そこは気をつけないとな。
そして力の制御ができるようになり化け物の親玉を倒しに行くことになった。
全勢力を持って親玉を倒すと言うなんの作戦もなしに行くのだ。作戦は?と、聞いたところ『化け物なんかには作戦はきかない。それに細かい事を考えると倒すことに集中できなくなる』だそうだ。無謀にも程があるが、俺も作戦とか面倒なのは避けたかった。森雲さんの【千里眼】で相手のボスの位置を探る。
場所は山の頂上に建っている施設の中だと言う。俺たちは準備をし、そこへ向かう。
武器は俺が剣を二本、平井さんは剣を一本、柊木さんは短剣を腰に下げ銃をメインにする。木原さんと、森雲さんは戦闘向きではないので護身用の銃を一丁ずつ。さぁいよいよ、この化け物を作り出した元凶とのご対面だ。俺の平穏な生活を奪った罪は海よりも深いぞ……。
To Be Continued……
ここまで読んでいただきありがとうございました!
特訓している描写は飛ばしてしまいましたがそこは皆様の想像力で
繕ってくれたら嬉しいです(*^_^*)
では、次回も暇つぶしにみてください