僕の物語
夕方、沈んでいく太陽を見ていたら
僕は急に死んじゃうことが怖くなったから、
君に活字の中に閉じ込めてもらうことにした。
僕が文字である限り、僕は生きられると思うのだけど、
君は、どう思う。
僕が君を殺してしまったら君は死んでしまうけれど。
だけど君がまた僕を文字にすれば、
僕は生き続けられるよね。
窓に映った君は、面倒くさそうに少しだけ頷いた。
帰り道、僕は学校の近くにある文房具屋さんに寄った。
君はいつも僕の書く文を褒めてくれた。
もし死ぬのならば君の文の中で死にたいよ
と以前に言っていたこともあった。
君は、いつもどこか生きたくなさそうで、退屈そうで、
僕と話す時もあまり笑ったりしなかった。
毎日、この世界が終わればいいのにと思っていたけれど、
最近少し 死ぬことが怖いことなのかもしれない と思いはじめた。
彼には、全部見通されている気がして、あのような頼みごとをした。
だって同じだから。
彼も気付いているはずだと思う。
ぼーっとする頭の中で、僕はゆっくりと眠りに落ちていく感覚がした。
彼に話しかける。
あとは頼んだよ、僕。
ゆっくり深い海に沈んでいくような、そんな感じがした。
君は、やっぱり面倒くさそうに、少し頷くのだった。
-END-