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第6話
翌日、少女の正体がわかった。
ネロは、その話を自室で聞いていた。
わざわざ上司が部屋までやって来てくれたのだ。
上司の顔には、何かを心配しているかのような表情があったが、ネロがそれに気づく事は無かった。
「あの少女は、反政府勢力のメンバーであることが分かった」
「そうでしたか」
ネロは、直立でその話を聞いている。
「明日、処刑が実施される。お前が執行するのだ。いいな」
「……それは命令でありますか」
ネロの口調には、ためらわれている感がみられた。
本人は気づいていないようだが、
「命令だ。命令書については追って発行される」
「了解しました。明日のいつでありますか」
「予定では午前10時。少女は君との面会を要求している。仲間ではなくな」
「…受け入れるべきなのでしょうか」
「それは君自身が考えることだ」
そう言って上司は部屋から立ち去る。
これが出現をしているかどうかのテストであることを、ネロに知らせることはなかった。