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第4話
ネロのような兵士は、寝不身と呼ばれていた。
遺伝子の改良によって、常に眠らず、常に集中力を維持でき、そして、表向きは忠誠を誓わせることができた。
また、体力は尽きることなく、夜でも昼間のように見通すことができ、
だが、その裏にあるのは、研究所も知らない真実だった。
ある日の夜。
いつもと同じようにネロは見張りをしていた。
そこに、一人の怪しげな影が近寄ってくる。
「だれだっ」
腰に下げているホルスターから拳銃を抜き、その人に向ける。
すると、急に角度を変え、そのままこちらへ突進をしてきた。
「止まれっ」
言った瞬間、発砲する。
きゃぁという女の声とともに、その人はその場で足を滑らせたようにしてこけた。
発砲音を聞きつけ、誰かが走ってくる音がする。
それを聞きながらも、ネロはその人へ銃を向けつつも近寄る。
「だれだっ」
もう一度訪ねるが、彼女は、全く答えようとしなかった。